闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.520
2008年12月1日

 

◆麻生総理の迷走、展望開けぬ日本経済

 

●国民の暮らしを助ける景気対策先送り。世界経済の流れにも逆行。
 先週、小沢代表対麻生総理による党首討論が行われました。年末を控え、資金繰りが悪化する中小企業対策など、2次補正が必要だとする小沢代表に、1次補正で十分と応じた麻生総理。来春までに非正規雇用の3万人が失職し、新卒予定者の300人以上が内定を取り消されるなど、異常な事態に日本経済が悲鳴を上げています。それなのに総理は2次補正の先送りを決めてしまっています。「政局よりも政策」と言いながら2次補正を棚上げし、政治空白を生みだしているのです。これは総理の景気認識のズレ、日本経済に対する危機感の欠如としか言いようがありません。

 

●立ち遅れる日本の景気対策

 アメリカのサブプライム問題に端を発した金融危機は株安、為替レートの激変など、世界経済に未曾有(みぞう)の緊張状態をもたらしました。これを踏まえ、先進7カ国と新興国を含めたG20の金融サミットでは各国が協調体制をとっていくことを確認。さらにリマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)でも世界経済、金融不安への取り組みが俎上に上がり、世界中が公共事業をはじめとする内需拡大に具体的アクションを起こしていくことを明らかにしました。
 さすがに責任の発端国アメリカでは、ブッシュ大統領からオバマ次期政権に向けて早々と経済首脳会議のメンバーを立ち上げ、また金融危機の対処にも新たな財務長官として、FRBのガイドナー氏の起用をいち早く決定しました。景気対策の規模も最大67兆円とするなど、迅速且つ果敢な動きを見せています。
 イギリスも景気対策の一環として消費の拡大に付加価値税(消費税)を1年間に限り2・5%引き下げることを決め、即実施。好調を続けた中国もインフラなど公共投資を含めて57兆円の内需拡大策を発表。またEU加盟国でも財政赤字がGDPの3%以内とする義務づけを2年間緩和し、中小企業、雇用などに25兆円規模の景気対策を発表しました。さらに付加価値税を再検討するように申し合わせが行われています。
 イギリスのブラウン首相は具体的な内需拡大や景気対策を先延ばしにし、結果として世界の流れに逆行する日本の景気対策の遅れを指摘しています。
 世界的な金融の悪化で日本も多額の損失を受けています。より多くの国民から理解を得る景気対策をわかりやすく、スピード感をもって取り組むことが一番大切なことです。これを踏襲(とうしゅう)していかなければいけないのに、逆に総理は選挙に不利と、2次補正を通常国会へと先延ばししてしまったのです。
 1回だけの定額給付金も、その効果は疑問だらけ。世界各国から見てもこの規模ではまったく評価されません。総理の場当たり政策、2転3転する軽い発言。日本は、各国一丸となって世界規模での経済再建に立ち向かわなければならないときに、その流れを遮断してしまうのではないかと・・・。これは杞憂でしょうか。

 

 

●先を見据えた経済政策を

 遅々として進まぬ麻生自民党政権の経済政策に対し、民主党では給付金バラマキの対案として、貸し渋り・貸しはがしなどの中小企業対策、雇用の確保、医療費など社会保障対策の必要性を主張しています。さらに単年度限りの給付金よりも5年10年先を見据えた大幅な恒久減税を打ちだしていくことこそ大切だと思っています。そのための子ども手当の創設、道路特定財源の暫定税率廃止、高速道路無料化、地域金融の円滑化、非正規雇用・労働者支援、中小企業の法人税半減など、生活関連の広範な政策をとりまとめています。心配される財源は霞が関の埋蔵金や無駄な支出の徹底的な見直し、行政・特殊法人改革などで賄うことが可能です。
 総理は「医師には社会常識が欠落している人が多い」と言ったり、「何もしない人の医療費をなぜ払う」と言いだす始末。これらの失言もさることながら、自民党内からも「道路特定財源に1兆円が自由に使える交付金」との言及に対し、道路族の反発をかって意見を翻す。あるいは郵政グループの株売却の凍結を言い出す。私たちは凍結には賛成ですが、郵政民営化は来年に見直しが行われます。その中で組織全体としての見直しをしなければいけないのに、小泉郵政族グループからは逆に何の改革だったのかと指摘され迷走を繰り返しています。
 麻生政権の評価は日を追うごとに低下する一方です。コロコロ変わる総理の言葉からは一国の宰相としてのリーダーシップが何処にも見えてきません。安いから、ポケットマネーだからと、高級ホテルのバーに頻繁(ひんぱん)に通い、国民の日常生活とかけ離れた暮らし向きからは、国民のための景気対策よりも自身の総理の椅子が大切としか思えません。これ以上国民に暮らしの不安を抱かせてはなりません。私は政局によらない景気対策が今一番に求められていると思っています