航空幕僚長が政府見解に反する論文を発表しました。これを放置し続けてきた政府の責任は追及されるべきです。インド洋に自衛艦を送りだし、集団的自衛権についても法解釈がどんどん広がっています。その考えが航空自衛隊の中にまん延し、幕僚長論文となったのです。そして定年で6千万円の退職金を手にする。その出所は国民の税金なのです。この理不尽を許してもいいのでしょうか?
迷走を続ける麻生総理。「政局か景気対策か」が論じられたのは10月末。
景気対策が最優先と総理自ら5つの柱を打ちだしました。2兆円の定額減税はその内のひとつ。連立与党から求められた単年度だけの政策は、その後定額給付金と形を変え、呼び方も生活給付金となりました。
当初は「全世帯に支給」だったのが1800万円の所得制限を設けたり給付の取り扱いを地方に委ねるなど、政策決定に一貫性のない総理の対応はリーダーシップに欠けています。党内、閣内不一致からも給付金は景気対策にならないことは確かなのです。
政府はいつでも給付できると言っていますが、それどころか現実は2転3転。景気対策はより分かりやすくスピーディーでなくてはいけないのに無駄な時間を費やしています。実施には法改正が必要だと、さらに先送りをして来年の通常国会冒頭との話まで出る始末。バブルが弾けたとき、株価下落と金融危機で公的資金が導入されました。しかし、その規模、対応は迅速かつ適宜とは言えません。今回も、その二の舞であってはならないのです。
GDPの6割が消費で支えられ国民の消費活動が頼りです。ところが生活給付金は1回限り、さらに消費税増税の法案が2年後に提出され、3年後には実施するとの総理の発言では、消費拡大どころか心理的にもマイナスで景気を悪化させるだけです。1999年に地域振興券で同じようなことを経験しています。経済効果は3割程度と言われています。善し悪しは別にして、この経験を生かし景気対策に取り組んでいかなければならないと思います。
●単年度の給付より恒久減税が必要だ
消えた年金、改ざんされた年金問題も解決されていません。年金の給付は下がる、税金は上がる、さらには医療費も上がって将来の不安は募るばかり。これを解決しない限り、どんな景気対策も効果は期待できません。
景気が回復したと定率減税、高齢者、配偶者、所得控除など減税措置がなくなりました。景気対策に必要なのは一時金より恒久減税です。まず定率減税を復活させる、後期高齢者医療制度を廃止する、暫定税率の廃止でガソリンを値下げする、高速道路の無料化を実現するなど、景気対策はより分かりやすく複合的に進められるべきです。
政府の打ちだす生活給付金、中小企業対策、住宅ローン減税、児童手当、そして年金・医療・介護の福祉政策の成案は政局そのもの。掛け声だけで何も手付かずで国民の暮らしを支援するには至っていません。
輸出依存の日本経済は円高、株安によって厳しい状況です。鉄、自動車、電器などの基幹産業は生産調整を余儀なくされています。タイムリーに外需から内需へとシフトしていかなければならないことは明らかなのです。
ブッシュ政権はオバマ政権に引き継がれます。次期政権は減税、雇用など、国内問題を最優先にした政策を掲げていますがアメリカの動きを見ても、今までのように外需依存は再検討しなければいけないことが分かると思います。
●政権交代が日本を救う
アメリカはじめアジア、ヨーロッパでは大きな変革期を迎えています。60年続いた日本の自民党政権、官僚依存政治もあらゆるところに限界がみえてきています。今こそ国民の暮らし、生命・財産を大事にする政治、税金のムダ遣い、天下り、特殊法人をなくす政治の枠組みをつくっていかなければ日本の再生は望めません。
官僚の政策はデータを追いかけているだけ。これでは商店街、中小企業の実態を掴みとることはできません。そのために実態経済を見過ごしているのです。自民党の政策も官僚丸投げです。民主党を「政局絡み」と批判する総理。しかし「政局より政策だ」と言い続ける総理こそ、自身の椅子を手放すまいと結局は景気対策につながらない政局絡みのバラマキにこだわっているのです。