闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.516
2008年10月6日

 

◆臨時国会で限界見えた自民の政権担当能力

 小沢代表と麻生総理との質疑応答で、一体どちらが与党かわからない国会論戦が始まりました。今回、小沢代表の代表質問は「所信表明」と位置づけ、財源を裏付けた異例の政策提言となりました。
 それによると、「一般会計と特別会計を合わせた総予算212兆円を組み替え、また埋蔵金も活用して財源を捻出する。ひも付き補助金は廃止して、自主財源として地方に一括交付し、特別会計、独立行政法人などは原則廃止。また当面は、特別会計の積立金や政府資産の売却なども活用。これらで平成21年度には8・4兆円、22年度と23年度は各14兆円、4年後の24年度には総予算の1割に当たる20・5兆円の新財源を生み出す。また税金の使い方を変えるために、多数の与党議員が政府に入り、政治が役所をコントロールできる制度に改める。新しい政権の初の予算編成となる第一段階(平成21年度)には、ガソリン税などの暫定税率を廃止し、2・6兆円の減税を実施。また、高速道路の無料化、子ども手当ての創設、医療改革などは、21年度に一部実施したうえ、第二段階(22〜23年度)に完全実施。思い切った政策の実行こそ、緊急経済対策として最も有効。農業の戸別所得補償は21年度に法律を制定し、21年度から一部実施、第三段階の24年度に完全実施する予定。さらに最低保障年金に消費税全額を充てる年金改革は、3年かけて新制度の詳細設計、法案化、法律制定を行い、24年度に完全に実施する。このように、三段階に分けて着実に政権公約を実現する。私たちの政権が次に国民の審判を仰ぐ期限である4年後までに日本の新しい仕組みづくりを完了させる」とし、工程表、政策実行の優先順位を明確に示しています。
 「新しい生活をつくる5つの約束」も公表。民主党が国の方向づけを行う中、政府与党の総理が民主党案への逆質問を行うなど、異例となった本会議からは自民党の政権与党としての担当能力に限界が見えてきたと思います。

 

◆景気対策は選挙先延ばしの口実

 外交問題一つとっても、小沢代表に麻生総理は「アメリカをとるのか国連をとるのか」との趣旨の質問を行いました。アメリカを基軸にして、より国連を強化して世界の平和、特に日中、日韓、インド、タイなどのアジア諸国を中心に力をいれていかなければならないことはわかりきったこと。それを「アメリカがいいか、それとも国連がいいか」などの質問は的外れです。とにかく、政府自民党である総理の考えは矛盾を感じます。
 政府は定率減税、高齢者特別控除、扶養控除を廃止し、障害者自立支援法などをつくり増税政策をとってきました。ところが景気が悪くなったからと、唐突に定額減税案をもちだしてその財源、規模、時期も決まっていないうちに実施することだけをぶち上げました。選挙目当てと言わざるをえません。
 安倍、福田が政権を投げ出し、その後麻生と、3代もの総理が国民の信任(総選挙)を得ずに総理に選ばれた状態は不自然極まりないもの。解散して民意を問うべきですが、これに反し総理は「解散より景気対策優先」との意向を示しました。大恐慌を引き起こす危険性のあるアメリカ金融不安に、日本も緊急経済対策が必要です。しかし、原油高騰によるガソリンの値上げ、食料や生活用品の物価上昇など、家庭の台所は火の車になっても政府は景気対策をとろうとしませんでした。そしてサブプライムや金融破たんの危機にも当初は対岸の火事と受けとめて、福田前総理の辞任とお祭り騒ぎの自民党総裁選を繰り広げ、政治の空白をつくってしまったのです。ここにきて総理は景気対策を口実に、少しでも選挙を有利に戦おうと先延ばし作戦にでています。政権の座にしがみつこうとする総理、自民党の維持より、「国民の生活第一」のための選択が何かを考えるべきです。

 

◆政権交代こそが官僚政治を終焉

 官僚の天下り、公務員改革の問題につても不十分。自民党のたらい回しの総裁選で、この間に3人もの総理が代わっていては、役人主導の政治は何ら変わりません。これを繰り返す限り、税金の無駄遣いもなくなるはずはないのです。
 また、食の安全では、事故米転用で農水行政の怠慢と犯罪に等しい行為が発覚。子どもなどの給食に450万食が供給され、コンビニへ出回ったおにぎりも15万個以上。酒、焼酎にも被害が及んで晩酌の楽しみにも影響がでています。農水事務所は5年間で96回も査察を行いながら、業者の不正転売を見抜けませんでした。政府・与党が官、業のもたれ合いを甘やかしてきた結果です。これを放置してきた責任は政治にもあります。
 年金も食問題も、ともに政治の堕落が原因です。官僚のいいなり政治を続けてきたところに問題が生じているのです。安心安全を取り戻すために、官僚支配の政治から国民目線の政治へと早期の転換が必要です。これを実現するには今、政権交代が第一の選択なのです。