闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.515
2008年9月22日

 

日本の常識は何処へいったのか改めて考え直さなければなりません。福田総理は辞任を決めてもまだ総理。職責を果たさなければならないのに危機管理が希薄になっています。次々起きる常識外れの社会問題、そして経済問題にしっかりと対応してもらわなければ困ります。

 

◆総裁選より食の安全、危機管理を

 食の安全をゆるがす問題が次々起きています。今回、中国でみつかったメラミン混入の牛乳問題が日本にも飛び火してきました。「事故米」問題では本来工業用に使う汚染米を食用に回し、焼酎の原料や煎餅、菓子になったり、さらにはコンビニで10万個のおにぎりとして売られていたなど、国民の食に対する不安が広がっています。農政事務所が行う「事故米」の検査が5年間で97回も行われていたのに、その間、食用として転売されていたことを見過ごしていたのです。検査には事前通告してから入るなど、おかしい話です。官・業の馴れ合い、中途半端な監視態勢と言うほかありません。
 太田農水大臣が「(転売された事故米は)人体に影響はない。だからあまりジタバタ騒いでいない」などと暴言発言したり、あるいは農水次官は当初「食用に回した企業に、一義的に責任がある」と、自らの責任を回避。農水省には責任感と言うものがないのです。食の安全について国民の不安と怒りがどれ程なのかを理解していないのです。
 93年のウルグアイ合意(国際的な貿易自由化交渉)でコメの輸入が義務づけられましたが、なぜ輸入米が「事故米」でなければいけないのでしょうか。03年から07年度に、国が売却した汚染米は輸入米の約7割を占めていると言われています。この「事故米」は市場に流通させずに全部廃棄し、不正な転売ができないようにする。また輸入時に検疫で汚染が発覚した場合は送り返す。輸入後に汚染した場合は廃棄するなど、再発防止策を徹底させることが必要なのです。また農水省の行政の怠慢、縦割り組織のあり方など徹底的な改革を進めるべきと思います。
 事務所費でも不明朗会計がみつかっている太田農水大臣。今回「事故米」の監督責任をとって辞任しましたが、任期途中の辞任は安倍内閣以降2年間で4人目です。また、次官の辞任も前任とあわせて2代続けての不祥事辞任です。この異常事態に総理はまるで他人事。とても責任を感じているとは思えません。
 民主党としては閉会中審査を要求して、「事故米」の問題を追及し、食の安全を確かなものにしようとしたのですが、政府・自民党はなかなか要求に応じようとしませんでした。国民は暮らしの危機を訴え、苦しい生活を押しつけられているのに、自民党は総裁選で政治ショーを繰り広げ、政治の空白をつくっています。これで政治の信頼が得られるとは、とても思えません。

 

◆年金を組織ぐるみで改ざん

 5000万件の「消えた年金」のほかに、今度は「改ざんされた年金」問題が浮上してきました。給与を見せかけ下げて、経営の厳しい会社が負担する厚生年金の掛金を軽減させようとするものです。社会保険庁が組織ぐるみで指南してきた疑いがでています。このままだと年金の受取り額が知らないうちに減額されてしまうことになるのです。「改ざんされた年金」の件数を舛添大臣は6万9000件と公表しましたが、内部告発では20万件以上あると言われ、国民の不安は拡大しています。閉会中審査で実態を明らかにして欲しいと思います。
 長い間の官僚と自民党とのしがらみは、なかなか断ち切ることはできません。自民党が官僚の使い走りをして何でも言うことを聞いてしまっているところに「消えた年金」「組織的に改ざんされた年金」など、あってはならない問題が生じているのです。

 

◆安全、安心、安定の政治を

 サブプライム問題に端を発したアメリカ経済の失速。保険業界最大手のAIGは9兆円の緊急融資をうけて、当面の危機を切り抜けるとしていますが、日本にも多くのAIG生保・損保契約者がいます。国民レベルでも、既にアメリカ経済と日本経済は密接な関係にあるのです。国民が不安をつのらせている中で、総理は証券大手のリーマン・ブラザーズが破たんしたとき「日本への影響は少ない」などと発言し、対岸の火事のような捉え方をしていました。政府の経済対策が後手に回っているのは明らかです。
 ドル安、円高が続き、1円の円高で日本の輸出産業は1千億円の影響がでると言われています。これらへの対策を早急に進めていかないと日本経済はますます深刻な状況になっていきます。金融機関の業績悪化が避けられない状態が続けば、結果として中小・零細企業への貸し渋り、貸しはがしが加速していくことは確かなのです。
 食の安全、年金の安心、経済の安定、すべてが政治の責任、行政の責任です。企業責任、社会責任も大きく揺らいでいます。ひどい状態を放置すると政治の信頼を失うことになります。不安がいっぱいなとき、これ以上、役人任せの自民党政権に日本の政治を任せておくことはできません。国民目線で家計と市場動向をしっかり捉えた政治を行っていかなければならないのです。