闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.514
2008年9月8日

 

◆惑わされるな人気取りの自民党総裁選
 拉致、年金、後期高齢者医療制度は先送り。

 9月1日防災の日、突如、福田総理が退陣を表明しました。参議院で野党が民意として総理の不信任決議案を可決した時には辞めなかったのに「ほかの人に(総理を)やってもらったほうがいい。お世話になりました」と、今回の唐突な辞意表明は、まったく無責任と言わざるをえません。安倍さん同様わずか1年、「総理、あなたもか」との虚しい思いと、怒りが込み上げてきます。洞爺湖サミットでは世界から大きな関心が集まり、曲がりなりにも議長国としての役割を果たしました。そして、安心実現内閣として第2次福田内閣をスタートさせ、9月12日からの臨時国会を開くことまで決めたばかりです。それなのにわずか1年で辞めてしまう。「総理の責任」を、一体どのように考えているのでしょう。物価対策、年金問題、後期高齢者医療制度、公務員改革など、早急に議論をつくさなければならない案件はたくさんあるはずです。

 

◆国民はもう騙されない

 9月1日に、改めて物価の高騰が新聞各紙で報道されました。値上げは生活必需品にとどまらず、自動車、テレビなどの高級品にまで及んでいます。総理を辞めようとしたのは景気対策がうまくいかなかったからなのか、これから開かれる臨時国会で議論を深める民主党を手ごわいと感じたからなのか。自分が行き詰ったから「できません」と、能力のなさを認めるのなら、それはそれでいいでしょう。しかし民主党が話し合いにのらないからと、責任を野党に押し付けるのは責任転嫁で筋違い。議論も話し合いも、国会において、いくらでもできるはずです。
 「もう政権が持たない、このままでは次期選挙が戦えない」と、国政を放り投げ無責任にも職を辞することとなった総理ですが、はっきり言って政治を軽く考え過ぎます。総理の辞任が国家国民のためではなく、選挙目当てで有利に戦おうとする自民党自身の党略によることぐらい、賢い国民はすでに見抜いています。

 

◆衆院選には冷静な判断を

 総理には国民の苦しい台所事情がわかっていません。ガソリンの値上げでも、投機による原油高騰で「原油高は世界的傾向だから仕方ない」と、まるで他人事。暫定税率を廃止すれば安くできるガソリンを、税源が確保できないからと役人の言うままに、衆議院の数の勢いで暫定税率を復活させてしまいました。そのために物価が上がり続け5、6、7月の3ヶ月をみても、どれだけ日本の資金が海外に流出したことか、国家の大損失です。
 日本は相次ぐ総理の辞任によって国際的な信用力を失い始めています。それだけ総理の責任は重いのです。資源のない日本は付加価値を高め、世界から信頼を得るために総理のリーダーシップが必要であり、それが政治に課せられた本来の姿なのです。1年で辞めてしまっては信頼どころの話ではありません。石の上にも3年、この諺を忘れてはいけないのです。
 信頼を失った政治をどれだけ回復させられるのか、自民党のたらい回しの茶番劇で日本の政治はよくなりません。政治の空白は一日たりとも許されないのです。北京五輪を機に好転し始めた日中間の諸問題。また「命をかけて取り組む」と約束した北朝鮮問題など、すべてが先送りです。拉致家族にとっては、やりきれない思いがつのるばかりでしょう。喜んでいるのは北朝鮮だけなのです。
 喜ぶと言えば官僚も同じこと。政治がコロコロ変わっていては、主導権を握る官僚にとって好都合。税金のムダ遣い、天下りはなくならず、公務員改革も逆戻りです。
 消えた年金で社会保険庁の解体が決まっています。しかし年金機構に名前だけを変えても中身が改まらない限り社会保険庁の解体とは言えません。自民党も同様、人気取りのために総裁の首だけをすげ替えても何も変わりません。まさしく国民不在の政治となってしまいます。
 自民党総裁選は候補者を乱立させ、お祭り騒ぎの様相を呈しています。民主党の代表選投票が21日とわかっていながら、後追いで22日の投票を決めました。これは民主党代表選を意識した、まさに妨害工作。自民党総裁選を盛り上げて民主党の代表選を埋没させる。それを狙って解散総選挙に打って出る、明々白々です。政権を維持するには何でもありの自民党。次期衆院選はどの政党、どの候補者がいいか、目先の動きに惑わされず、よく見極めた選挙であって欲しいと思います。