闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.513
2008年8月25日

 

◆誇れる大和撫子、日本の力となれ

 テロ、人権、大気汚染など、多くの問題を抱えての北京オリンピックが幕を閉じました。メダルの有無に関わらず一生懸命競技に挑む日本選手の活躍に連日一喜一憂しながら声援を送り、世界が一つになった「夢と希望と感動」の17日間でした。
 日本にとって、特に今回は女性陣の活躍が目を見張ります。今や女性の力はスポーツだけでなく、社会活動においても中核を担うようになりました。主婦である女性の主導権が家庭においては大きいのに、なぜ政治の分野に女性の進出が少ないのでしょうか。家庭を守る、子育てがある、おカネが掛かりすぎるなどの理由があるからでしょうか。女性はときには家庭において財務大臣であり文部科学大臣であり、また厚生労働大臣であり、国政に準ずるあらゆる仕事を自らが体験しています。これを政治の分野に生かさない手はありません。そうすれば日本の国はもっとよくなるはずです。 
 オリンピックで女性パワーに驚いてばかりはいられません。世界は今、想像を絶する激動期にあります。それなのに、日本だけが自民党と官僚による旧態依然のしがらみ政治を続けていてもいいのでしょうか。これも驚きです。ますます国力は衰退してしまいます。官僚主導の政治は、時として「国のため」を錦の御旗に、国民の意志とは相反する政治を行っています。臨時国会の召集が定まらないのも国民生活を後回しにする、国民不在の政治を行っているからなのです。

 

◆増幅する生活不安 緊急の景気対策を

 内閣府が行った「国民生活に関する世論調査」で日常生活に不安を感じる人が1981年の調査以来初めて7割を超えたことがわかりました。10人に7人が日常生活に不安を感じ、今後さらに悪くなるのではと危機感をつのらせています。国にとって緊急事態です。社会保障の充実、物価の安定を国民が強く望んでいるのに何の手立てもしてこない福田総理。通常国会が終ってから僅かの間にガソリンや食料品などの物価が50パーセント近くも上がっている状況に、本来なら間髪を入れずに臨時国会を召集するなり予算委員会を開くなど、緊急の景気対策を打ちだしていかなければならないはず。ところがそのようになっていません。政治の怠慢と言うほかはないのです。
 ようやく政府、自民党は8兆円の総合経済対策を明らかにしましたが遅すぎます。政権維持だけに没頭し臨時国会の召集日を決められないでいる自民党。景気動向に鈍感で国民の暮らしはどうでもいいと思っている表われです。一体どこが「安心実現内閣」なのでしょうか。
 4月にガソリンの暫定税率廃止でガソリンが安くなりました。しかし衆議院再可決によって暫定税率が復活し、5月からはまたガソリンが値上げされました。原油価格の高騰によって5〜7月の3ヶ月間だけで日本経済は約7兆円も損失をだしてしまったのです。これを年間に換算すれば約28兆円にもなります。GDPの約5パーセントにも当たる計算です。
 この損失を取り戻すのは大変です。海外に流出した損失を確実に取り戻すことができるのは、今や政治の力をおいて他にはありません。それなのに「原油高騰はしかたないこと」などと、対岸の火事のような受け止め方しかできない福田総理。3年前にさかのぼれば、当時の小泉総理も原油高騰に懸念を持つ私の予算委員会での質問に「市場にまかすだけ」と冷ややかな対応しか返ってきませんでした。その時、「エネルギーをマネーゲームの対象にしてはいけない」との私の考えを日本から世界に発信していれば、少しは状況が変わっていたかも知れません。原油高騰に指をくわえて、ただ見ている政府と小泉、福田総理の無策は残念でなりません。
 GDPの約6割を占める消費が日本経済を支えている現状では、国内消費を活発にしなければ本格的な景気回復は望めません。政府は安心して消費を行うための消費者庁設置の準備を進めていますが、消費への政治判断を誤らせては正しい消費者行政はできません。
 暮らしイコール政治です。しかし今、国民の暮らし向きと政治は、余りにもかけ離れています。給料が減り、ガソリンや食料品が値上がりしてスタグフレーション(景気低迷下での物価上昇)の状況にあるときに、介護保険料をあげたり定率減税をなくしたり、また後期高齢者医療制度を導入したりと、役人の発想は消費意欲をなえさせることばかりです。国民の暮らしを見誤ることなく、消費者の権利がシッカリと守られた形にしていくような、暮らし中心の政治でなければいけないと思っています。