闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.512
2008年8月11日

 

◆五輪を機に隣国中国の近代化を期待

 聖火リレーの時から開催が危ぶまれていた北京オリンピックが開幕しました。アジアでは東京オリンピック、ソウルオリンピックに続いて20年ぶり3度目となり、中国政府も国の威信をかけた意気込みに凄いものを感じます。周到な準備と目を見張る開会式からも、その意欲が十分に伝わってきます。日本は東京オリンピックを機にインフラの整備が進み、その後の経済発展へとつながっていきました。韓国も同じく、インフラ整備と国の民主化が進んでいきました。中国もこの機会に、真に世界を牽引する民主国家となって欲しいと思うのです。福田総理はじめ80カ国を超える首脳が終結し、スポーツ外交が行われる時にこそ、中国の近代化と世界平和の道筋を立てる好機にするべきと思います。
 ただ、言えることは日本の自由主義社会とは違って中国は共産主義国です。このような国家体制を考えていくと、今回のオリンピックで情報公開はじめ、人権、環境、特許侵害、安全保障の問題など、中国政府がどこまで開かれた近代国家になっていけるのか不確実性は残ります。思い切った脱皮を期待しています。
 北京の空は一時的に大気汚染から守られた形となりました。しかし、「オリンピックが終ったら元に戻ってしまった」では何にもなりません。「中国の空はこんなにきれいだった」と思われることで、中国政府はじめ中国人民13億の意識が変わっていくことに期待が膨らみます。
 反面、中国の「食の安全」は大きな問題です。中国冷凍ギョウザ事件で、日本での毒物混入を主張していた中国が1ヶ月前にこれを撤回。中国国内での混入を認めざるを得ない状況に、国内報道を抑えたり「日本の嫌がらせ報道だ」と非難する姿勢が見られました。近代国家を目指すなら、情報操作や制圧はあってはならないことです。それにしても、日本政府は洞爺湖サミットの首脳会議前にこの事実を知らされ、中国側の要請に応じて公表を差し控えていたと言います。総理の開会式参加に影響がでるからとの判断だったのでしょうか。そうであれば、日本国民の大事な食生活の安全軽視と言わざるを得ません。既に、中国での「毒物混入の可能性有り」の連絡を受けていた福田総理、高村外相は日本国民の安全を、一体どのように考えているのでしょうか。

 

 

◆国民生活軽視、遅すぎる政府の景気認識

 景気後退が顕著になってきました。国民の暮らしを次から次と物価高が襲っています。私は既に小泉元総理の時から「投機による原油高騰は日本経済をダメにする」と、早期の対応を求めてきました。しかし、当時の総理は「市場原理にまかすだけ」と、何ら対策を執ろうとしませんでした。それが今、心配していた原油投機を引き金に、物価高が現実のものとなってしまったのです。
 政府はようやく景気判断を下方修正し、緊急経済対策を打ちだそうとしています。しかし、ハッキリ言って遅すぎます。景気が後退していることは中小零細企業、地元商店街の動きを見ていればわかること。今までにも、景気は持ち直したと政府は言い続けていましたが、持ち直しているのは一部の業種と大企業だけ。全体的にはよくなっていません。建築確認の厳格化による官制不況、今回の原油高騰によるガソリン高、加えて暫定税率復活が決定的となって景気をさらに悪くしてしまったのです。政府の間違った景気判断は明らかです。官僚が組み立てる政策は、いつも数字だけを分析し国民生活の実態を後回しにしているから判断ミスを起こすのです。自民党政権が官僚の言うことを鵜呑みにし、政策の丸投げが最悪の結果を招いてしまっているのです。
 多くの国民はガソリンが安くなるのを望んでいます。しかし、、政府・自民党による暫定税率の復活で元に戻されてしまいました。このことで運輸も漁業も大打撃を受けることになってしまったのです。原油高騰によってガソリンだけでなく、電気、ガスの公共料金も値上げされます。反面、給料、年金は下る一方です。このような状態が続けば、スタグフレーション(景気後退下での物価上昇)が国民生活に重くのしかかってくることは間違いありません。私たちは高速道路料金の無料化、ガソリンの暫定税率廃止でコスト軽減など、緊急経済対策の必要性を訴えてきました。やっと腰を上げる政府の対応は遅すぎます。
 また、福田改造内閣は「5つの安心プラン」を提言していますが、何も期待することはできません。たったの10ヶ月で大臣、副大臣、政務官をなぜかえなければならないのでしょう。次期衆議院選の人気取りのために人事をたらい回ししたに過ぎず、役人はひとりもかわっていないのです。
 福田改造内閣は財政再建、増税重視内閣であることは明らかです。消費税アップを議論する前に一般会計とは別枠の240兆円ある不透明な特別会計にメスを入れ、予算を必要なところに手当する。そして税金のムダ遣いを徹底的になくしていく、これが景気対策につながるのです。