期待されたサミットも総論賛成各論反対で幕を閉じました。地球温暖化、脱CO2は地球規模の問題であり、それぞれの国が自国のエゴで諸課題に対応すべきでないと思うのですが、そのようにはなっていません。すでに北極の氷は溶け始めていることが確認されています。この実態を踏まえれば、早急に地球環境保全のためにできる限りのことをしていかなければならないはず。ましてG8では長期目標を示し具体的に2050年までに排出ガス半減を決めました。しかし数値目標は示されていません。中間の目標値も出されていないのです。
主要国G8として、新興国である中国、インド、ブラジル、メキシコ、アフリカなどに対しての温室効果ガス削減の具体的な取りまとめもできませんでした。G8自らが取り組んできた京都議定書の数値目標すら守られず、むしろ後退していることから考えて、新興国が削減要求をスンナリとは受け入れ難いというのが現状です。
これから、地球の環境問題にどのように取り組んでいけばいいか。例えば石油の代替エネルギーを考えるならば、資源のない日本は技術力を活かし、水素ガスを中心とした新エネルギー開発を進め、技術革新へとにつなげていくことが喫緊の課題です。
もう一つ、電気の使用量は昼夜で違いがあり、夜の使用量は半分以下です。設備容量は昼の使用量を全体のキャパシティーに合わせてあります。その分を蓄電できれば昼の限界的容量が少なくてすむことになります。蓄電技術の開発に、国策として積極的に取り組むことも脱CO2につながる効果的な方法だと思います。
●原油の投機規制は必要だ
さらに、今回は原油価格の高騰による影響をどうするかがテーマとなりました。特にアフリカの飢餓状態が深刻です。1兆円の財政援助だけは話し合われましたが、それだけで物事が解決するわけではないのです。それなのに食料不足、食料価格高騰に対し、真剣に議論が交わされたとは思えません。穀物を食料にするのか、それとも石油の代替品としてのバイオ燃料にするのかの議論もありましたが、穀物は本来の目的である食料とするべきなのです。
また、この原油高騰による家庭への影響も深刻です。中小企業の倒産が前年対比で約30%増となってしまいました。原油高は産油国の減産ではなく、投機によって価格がつり上がっていることがわかっています。投機に対してG8は申し合わせをしておく必要があったと思うのですが上辺だけで、これも真剣な議論がなされたとは思えません。何らかの打開策が示されると期待していただけに残念です。
この問題では、私は4年も前から「原油を投機の対象にすべきではない」との主張を繰り返しています。それは石油がエネルギー以外に、薬、衣料、建築資材など、産業、工業などさまざまな分野で生活に欠かせないものとなっているからなのです。
●緊急の経済対策が必要だ
ガソリンの値段がレギュラーでリッター180円を超え、200円に迫る勢いです。早急に暫定税率を廃止し、石油の備蓄分を放出すればガソリンは安くなります。
原油高騰の原因の一つである投機資金には、透明性を高め、何らかの規制枠をかけ、価格高騰を抑えて物価の安定をはかるべきです。アメリカのサブプライム住宅ローン問題に端を発し、行き場を失った投機マネーは世界の燃料、食料、金融の3つの分野に波及し、結果としてアメリカだけでなく日本経済も、そして世界経済をも減速させることとなってしまったのです。物価が上がり、給料は下る、このような景気停滞下のインフレをスタグフレーションというのだそうです。これは甚だ異常なことで、本来ならあってはならない現象なのです。
生活を苦しめるだけのインフレに加えて税金の負担が二重、三重にもなって、重くのしかかってきています。この状況から一刻も早く脱却するために、政治が強い決断をもって臨んでいかなければ、国民生活はさらに厳しさを増すことになってしまいます。
「物価が上がるのは世界的に原油価格が上がっているから仕方ないこと」と福田総理は人事のような考えを示しました。それを何とかするのが政治の責任です。ガソリン税の引き下げ、所得補償の切実な訴えなどに対し、福田総理からは景気対策への政治決断が十分に見えてこないのです。
サンマの大漁がいわれていますが、日本の漁業は原油高によって出漁が困難なほど大変な状態です。漁業、農業、そして深刻な状態が続く運輸業などには機敏な対応をとるべきです。秋の臨時国会を待たず、国会閉会中でも予算委員会を開き、緊急の経済対策が必要だと強く感じています。