6月に入り、原油の高騰が収まるどころか高値更新を続けています。ガソリンが全国平均でリッター175円、軽油も150円。これは昭和48年のオイルショックを上回る異常な状態です。原油高の原因は産油国の減産によるものではありません。投機マネーが原油価格を押し上げているのが大きな原因のひとつにあります。ガソリン価格が200円を超すようなことになれば、日々の暮らしが圧迫されるばかりか日本経済にとって大打撃となってしまいます。今、日本の景気は急速に悪化しています。景気、経済は生きものです。政府は景気対策、国民の暮らし最優先で取り組んで行くべきです。
アメリカはサブプライム問題での景気減速を受けて、大幅な減税を行っています。大統領候補になったオバマ氏も緊急経済対策として、法人税、所得税の大幅減税を提言しています。しかし日本では、福田総理は原油高への具体的な手立ても景気対策も打ち出していません。ガソリンの高騰は自動車の購入意欲を削ぎ、ドライブも控えられて消費にマイナス作用となって表われています。今すぐできることは二重課税の暫定税率を廃止し、ガソリン、軽油の値下げで消費を喚起することです。生活の活力を引き出す思い切った減税策が必要なのです。
●問責決議に責任感なし
政治のリーダーシップが問われています。ところが総理はガソリンの暫定税率も道路特定財源も年金の照合も、そして後期高齢者医療制度も、すべて役人任せでリーダーシップが見えてきません。これらの動きに対し、参議院では総理に対する問責決議案を提出し、可決させました。総理にとって大変不名誉なことなのです。
また、直近の参議院選挙で与野党が逆転しました。そして自民党の牙城といわれた山口の補選と沖縄の県議選でも自民党候補が敗れました。なぜ敗れたのか、国民の厳しい審判が下されたわけを問責決議と合わせ総理は素直に理解するべきです。
3年前の郵政選挙。小泉元総理がドサクサ紛れに行った医療制度改革。また、グローバルスタンダードのもと、儲かれば何でもありと、市場原理主義を導入して勝ち負けがハッキリする社会をつくりだしました。そして、この流れを受け継いできたのが安倍、福田政権です。小泉元総理は今回の問責決議には、「大した問題ではない、いじめみたいなもの」と評していることがテレビ放映されました。参議院で民意が示した問責決議はそんなに軽いものではありません。総理の「真摯に受けとめる」とは、言葉だけ、国民認識とのズレを強く感じてしまいます。
今までは官僚支配の政治がはびこり、まる投げ政治が長年にわたっておこなわれてきました。これが自民党政治の実態です。今、大切なのは政治の信頼を取り戻すことです。国民は政治家一人ひとりに対し、厳しい目を向けていることを自覚するべきです。
先週末、北京で行われた北朝鮮との拉致問題に関する話し合いで、大した進展がないのに政府は拉致家族の複雑な思い、国民の厳しい声をよそに制裁の一部を解除しようとしています。これでは政治への信頼失墜です。総理の強いリーダーシップを望みます。
●殺傷事件は格差社会に一因
日本は世界の中でもトップクラスの治安を誇っています。その日本の秋葉原で凄惨な無差別殺傷事件が起きてしまいました。悪いのは勿論、事件を起こした当事者ですが問題になっているのはネット社会、格差社会の歪みが露骨に表われる社会になってしまったということです。
「格差は何処にでもある。ある程度は、やむなし」と、小泉元総理、竹中元大臣はセーフティーネットの必要性を後回しにして格差容認の政策を進めてきました。その結果、努力しても報われない使い捨て社会ができてしまったといっても過言ではありません。半数近くが非正規雇用となり将来に希望を見いだせなくなって、絶望や不安を抱く若者が急増したことは紛れもない事実です。いたずらに競争をあおり立て、敗者復活が困難な不平等な社会をつくりだし、格差、貧困から抜け出せずにやり場のないうっぷんが凶悪犯罪へとつながっているのなら、今後第2、第3の秋葉原事件が起きてもおかしくありません。
若者にとっては使い捨ての弱肉強食社会となってしまいました。お年寄りにも75歳で切り捨ての厳しい医療制度が始まっています。若者もお年よりも希望が持てる、安心できる社会にしていかなければなりません。それが今、政治の責任として求められているのです。
●岩手・宮城内陸地震にお見舞い
震度6強の想像を絶する災害に対し、被災された方々には心からお見舞い申し上げます。一日も早い復旧を願っています。