闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.507
2008年6月2日

 景気減速が顕著になり材料費の高騰で利益を確保できない中小零細企業が続出しています。ガソリンの再値上げで運送業の厳しさは限界に達しています。企業の倒産、廃業も最悪。それなのに福田内閣は何ら景気対策を打ち出そうとしていません。
 後期高齢者医療制度が4月にスタートして以来、お年寄りを邪魔者扱いするような制度の廃止を望む声も高まっています。民主党では廃止法案を参議院で通過させ、衆議院での可決を強く望んでいます。これが国民の心からの願いだからです。
 それなのに政府は国民生活が苦しいときに負担を強いる財政中心の増税政策ばかりを打ち出しています。むしろ生活が厳しいときこそ、国民の負担を和らげる減税政策が必要です。痛みに耐えろといった小泉改革は、競争社会の歪みだけが色濃く残り日本の文化や伝統、優れた技術までもが崩壊の道を辿っています。今こそお年寄りを大切にする日本の文化、伝統の良さをしっかりと伝えていくべきなのです。

 

◆日本の存在感を高めるとき

●効果的なODA政策

 地元横浜でアフリカ開発会議が51カ国参加のもとに開催されました。ハイテクづくりに欠かせない希少金属(レアメタル)など、天然資源豊富なアフリカは世界にとって魅力溢れる大陸です。平均5%の経済成長が続き、今後も持続的な成長が期待できることを考えると、日本にとっては積極的な関係強化をはかるべきです。ところが今回の開発会議で福田総理のアフリカ諸国との分刻みの会談では、期待通りの十分な成果が得られたでしょうか。内閣支持率の上昇を狙った外交であり成果は今後を見なければわからないと、的を射た論評もありました。
 アフリカでは飢餓や貧困、エイズなどの感染症に苦しんでいます。気候変動による干ばつ、複雑に絡み合う民族紛争など
が原因です。そのために豊富な資源がありながら手付かず状態が続いてきました。1993年に日本が主導して始まった開発会議ですが、今までの日本の外交姿勢は対アフリカ政策の経過をみると必ずしも効果的ではなかったと思います。
 国連の常任理事国入りを目指す日本にとって投票数の多いアフリカは重要な地域です。政府はこのアフリカに今後5年間で投資額の倍増を決定しました。緊急食糧援助でコメ生産を10年で倍増することも決め、干ばつに強い技術指導を行っていくことになりました。
 アフリカにとっては食糧問題が最優先です。日本はコメの生産技術と中長期的な農業の発展に寄与し、食糧生産を高める役割を果たすときです。さらに植林や道路、港湾などのインフラ整備がアフリカ諸国の成長を加速させ、結果的に日本のビジネスチャンスにつながるはずです。
 今まで日本のODA(政府開発援助)は円借款を行いながら仕事は日本企業が請け負い、その資金が日本に還流される。「仏つくって魂入れず」のことわざ通り誰のためのODAなのか、発展途上国に対しこのような外交が政府開発援助と言う名のもとで行われてきたのです。日本のゆるぎない信頼と存在感が高まるようなODAであって欲しいと思います。

 

 

●効果的なエネルギー政策

 原油高とガソリンの暫定税率復活でレギュラーガソリンが1リッター170円を突破してしまいました。170円を超えたら日本経済は崩壊の危機です。また、食品の値上がりもとまりません。どちらも国民生活に悪影響を及ぼすことは間違いないのです。その原因は投機による原油高騰と、高騰によって食料用穀物がバイオ燃料に転用されていること、さらに値上がりを見込んだ生産国が輸出規制をとっていることなどによるものです。本来、物価は需要と供給のバランスによって成り立つものです。それがマネーゲームによって価格だけが高騰し、極めて不健全な情態になっているのです。
 穀物から生産されるバイオ燃料は「環境にやさしい」との理由があります。しかし穀物は本来、食の目的で確保されるべきもの。アフリカ開発会議でも食糧問題が最大のテーマとなったように、食糧に困っているときトウモロコシを燃料に使うのは間違いです。食用への供給減は家畜用飼料にも影響を与え、食肉価格の高騰にもつながっていきます。
 政府は輸出規制の自粛を関係各国に訴えるべきです。エネルギーをマネーゲームの対象にしてはいけない。このことも声を大にして世界に発信すべきです。バイオ燃料には間伐材や麦わらなど、食糧と競合しない原料を利用する、そして世界のトップレベルにある日本の太陽光発電や水素エネルギー技術を駆使して代替エネルギーの実用化をめざすことです。日本の技術は既に実用化段階にあります。あとはコストの問題だけ。技術立国日本にとって、エネルギー問題は国を挙げて取り組むべき最重点政策だと思います。