闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.506
2008年5月19日

● ミャンマーのサイクロン、中国の地震、想像を絶する災害に対し、お見舞い申し上げます。中国は阪神淡路、新潟地震と、災害救助活動に経験豊富な日本からの支援を要請。これを受け、日本は国際緊急援助隊を形成し現地入りしました。胡錦濤国家主席は訪日したばかりで、中国とは近い印象が残る今、災害時に持てる力を発揮してこそ日中の信頼関係が築かれていきます。日本政府には最大限の協力をお願いしたいと思います。
地震の被害を大きくしているのが建物の倒壊です。この機会に日本でも緊急時に避難場所となる公共施設や学校など、耐震強度の再調査と地震対策の徹底を望みます。被害を最小限に食い止めるためにも道路特定財源のムダ遣いを含め、予算配分の見直しを急ぐべきです。
 一方、軍政が人的支援を拒否し続けるミャンマー。国際社会からの孤立と被害の拡大が心配です。中国への支援同様、政府は人的支援の受け入れを強く求め、何よりも人命最優先の日本の考えを訴えていくことが大切だと思います。

 

◆本当に大丈夫なのか日本

●総理のリーダーシップ欠如

 政治は国家国民のためにあります。ところが、今の政治は財政中心主義で国民の生活や人間の存在感が後回しにされています。ガソリン税収59兆円を今後10年間道路特定財源に充てることへのムダ、道路を造り続けることへの問題点が議論されてきました。その結果、国民の意志として参議院で法案が否決されました。しかしその後、衆議院では3分の2以上の賛成(憲法59条の規定)で強引に再可決となってしまいました。道路を造り続けるためだけの「59兆円、10年間」がそのまま温存された形となってしまったのです。
 一方で福田総理は道路特定財源を2009年度から一般財源化する基本方針を閣議決定しました。国民に気に入られようと形だけの一般財源化を口にして、その片方で官僚、族議員の顔色を伺って道路特定財源法を成立させる。この矛盾した総理の発言に国民は戸惑うばかりです。日和見的な姿勢に、総理としてのリーダーシップを感じ取ることはできません。
 「イエスかノーか」、二者択一を迫り、そのうえ刺客まで放った乱暴な郵政解散で多数の議席を得た2005年の小泉政権。このために競争社会が格差を広げ、年金も後期高齢者医療制度も、すべてにおいて数の勢いで強行採決されてきたのです。

 

 

●「3分の2」は小泉改革、負の遺産

 福田政権になってから、衆議院再可決で成立させた法案は1月の新テロ特措法、ガソリンの暫定税率などの租税特措法、そして今回の道路特定財源で3例目にもなります。今回の道路特定財源の賛否も小泉郵政解散で得た3分の2が使われたわけですが、衆議院の多数勢力がこんなところにまで乱発されるようになって、憲政史上汚点を残すことになってしまいました。
 そもそも3分の2条項(憲法59条)とは戦後の混乱期、マッカーサーによって日本国憲法の中に与えられたもの。政治の混乱で衆議院を解散する事態が生じ、尚且つ3分の2以上を与党がとらなければならず、国政を二分するようなときにだけ使われる重い憲法なのです。
 国民の多くがガソリン税の引き下げを好感し、継続すればよかったと思っています。年金問題が解決しないのに、後期高齢者医療制度で保険料を年金から天引きすることへの怒りの声が至るところから聞こえてきます。国民生活の厳しさを政府も官僚も理解していません。いつも足りなくなれば国民に財源を求める財政中心主義が日本の文化、家族制度までも崩壊させようとしているのです。
少子化、子育て、教育、そして環境、食の安全など、十分な予算付けが必要なものがたくさんあります。年金、医療、介護を中心の社会保障制度も同様です。道路だけを最優先におカネを費やす予算付けのあり方は変えていくべきなのです。

 

 

●改めるにはばかることなかれ

 自民党内でも後期高齢者医療制度の手直しや廃止の声がでています。官僚の組み立てた医療制度を2年前の成立から今年4月の施行まで「2年間何をやっていたのか」との政治に対する厳しい声がでています。「政局がどうの」と言う前に国民の暮らし、長寿国家日本を考えたとき、改めるにはばかる事なかれ、長寿国家日本が滅びていかないように間違いはただしていかなければならないのです。