闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.505
2008年5月5日

 連休を迎え、暫定税率が復活したことでガソリンが以前にも増して高くなってしまいました。民意に反する再可決は政治のリーダーシップが問われる問題です。
 山口の補欠選挙で自民党の官僚候補を大差で破って、私たち民主党の候補が勝利を果たしました。「後期高齢者医療制度」の不条理が自民党を支持してきた山口のお年寄りの怒りとなって表れたのが、今回の補選だったのです。国の政治は国家国民のものでなければならないことがハッキリと示された形となったのです。
 政府、自民党中心の政治は国民の暮らしがどんなに困っても「自分たちの利権さえ守ればいい」、そんな、よこしまな考えまで透けて見えてしまうほど、国民生活と余りにもかけ離れた政治となってしまっているのです。

◆民意無視の官僚、自民党政治

●お年寄りの気持ちを踏みにじる不平等な「後期高齢者医療制度」

 きょう、5日はこどもの日。総務省が発表した4月1日現在の子どもの数(15歳未満)は前年より13万人減の1725万人(推計)で、27年連続の減少となることがわかりました。低下傾向は今後も続いていくと予想されますが、国を挙げての実効性ある少子化対策が急務です。
 このまま子どもが減り続けると、現役世代がお年寄りを支える負担が大きくなるからと、75歳以上にも負担を求める「後期高齢者医療制度」を強引にスタートさせてから1カ月。当初は保険料負担が減るといっていた説明も、低所得の夫婦世帯では負担増につながる可能性が高くなっていることがわかりました。制度の混乱に、舛添大臣も説明不足を認めましたが、厚生労働省の試算は矛盾だらけなのです。何よりも、2年前に政府と自民党与党の強行採決によって成立した法案は、その根本に問題があるのです。高齢者の意見も聞かず、役人が机上の数字合わせで組み立てた制度は、血も涙もないものとなってしまったのです。健康な老人、病気の老人をひと括りにして差別扱いをする、役人にありがちな偏見的な発想といえるのです。そもそも年金・医療・介護の一元化がいわれている今、75歳以上だけを孤立させるような保険制度が歓迎されるわけがないのです。
 3日は憲法記念日です。憲法が施行されてから61年を迎えました。誰でも法のもとの平等が謳われています。しかし、今回の「後期高齢者医療制度」が平等の精神に反する高齢者いじめの不平等法案であることは間違いないのです。

 

 

●負担増で歳入不足を補うより歳出欠陥とムダをただすべき

 4月のガソリン税値下げ、あるいは暫定税率、道路特定財源が大きな議論となりました。ガソリン税の暫定税率廃止は国民の多くが望んでいたこと。なのにガソリンは値上げされ、ハウス栽培を手がける農家やトラック運送業者の経営を苦しめて、先行きの不安をつのらせています。また、車を下駄変わりに使わなければならない地方の家計をも圧迫しています。
 5月に入ってチーズ、マーガリン、みそ、醤油などが、さらに軒並値上げとなりました。その原因は原油価格の高騰、サブプライムローンの焦げつき、気候変動による穀物の不作、バイオ燃料への流出、中国、インド、ブラジルなどの急成長に伴う穀物の需給増が物価の上昇に結びついているのです。そのような中で、原油価格に上乗せされた税をなくすことで、物価の高騰を少しでも抑制できるのではないかと思います。しかし、物価抑制へ向けての政府の取り組みがまったく感じられません。福田総理の説明からも同様です。
 政府は特定財源も年金も、予算の歳入不足ばかりを主張していますが、まず歳出欠陥をただすのが先決です。ムダな税金の使われ方がこれでもかと、明らかになりました。例えばガソリンの暫定税率分2兆6000億円が歳入不足となるなら、本来なら歳出をどのようにカットするかの議論を深めていかなければならないはず。ところが国も地方も歳入不足ばかりを口にして、国民に負担を強いることばかり考えているのです。これでは改革も進まず、暮らしもよくなりません。
 ムダな象徴である特殊法人に単年度で12兆6000億円余の税金が流れています。ムダをなくして改革を進めれば、半分くらいが節約できると私たち民主党は考えています。そのためには天下りを廃止し、特殊法人、独立行政法人改革を進めていかなければ、税金のムダ遣いはとどまるところを知りません。役人の裁量で不明朗な使われ方が許されている第2の財布といわれる特別会計。これもチェックのきく本来の一般会計に戻していくべきなのです。
 役人は一度手にした利権を手放そうとはしません。その姿が今の官僚政治の歪みとなって表われているのです。そして、政府も自民党与党も役人の代弁者でしかありません。このことは10年で59兆円の道路特定財源を確保しようとしていること、年々上がる年金負担、高齢者への医療保険の負担増など、我が身を削ることをせず、国民に負担を押し付け続ける政府の政策で、ハッキリ見えているのです。