闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.504
2008年4月21日

 「3月31日迄には1人残らず1円までもハッキリさせる」といっていた5000万件の消えた年金記録。現実には照合できませんでした。年金機構に衣替えする社会保険庁、看板の掛け替えだけになっては駄目です。年金通帳を発行し、誰でもひとめで分かるような制度が必要なのです。しかし、政府・自民党は分かりやすく納得できる制度には程遠い「後期高齢者医療制度」も強引に始めてしまったのです。

◆小泉元総理のおも〜いツケ

●小泉元総理のツケ・ 年金、医療

 2年前、小泉さんが役人のいわれるままに制度の導入を決めてしまった後期高齢者医療制度。大混乱の中、お年寄りの不安は増すばかりです。年金問題が未解決なのにその年金から天引きを始める、これが「取れるところから取る」血も涙もない役人の財政中心主義の考え方なのです。「痛みに耐えて」といった、小泉さんの言葉も空々しく聞こえます。
 医療改革で株式会社の病院参入や混合診療の方向が打ち出され、そして後期高齢者医療制度も郵政民営化の勢いを駆って、小泉さんは成立させてしまったのです。あれから2年の周知期間が経っても何の説明もなく、乱暴に実施されたのです。福田総理自らも「国民の不評を知った、分かりにくい制度」といっているくらいです。
 本来、高齢者はこの国を支えるために戦前、戦中を必死に働いてきた人たちなのです。貢献度を考えれば、75歳になったら医療費はゼロくらいでなければ、お年寄りにとって安心は得られません。
 年間12兆円が天下り先の特殊、公益法人に流れています。福利厚生施設の50兆円のムダ遣い、不明朗な特別会計もあります。予算の組み替えで医療費は充分に賄えるのです。安心できれば活き活きと生活し、消費も増えてきます。75歳以上の人は生涯現役で社会貢献して貰う、そのためにも、お年寄りは生き甲斐のある医療制度を待ち望んでいるのです。

 

 

●小泉元総理のツケ・ 自衛隊派遣

 自衛隊のイラク派遣に名古屋高裁が違憲判決をくだしました。バクダッドを「戦闘地域」と認定し憲法9条に違反すると判断したのです。当時の小泉総理は非戦闘地域の定義を国会答弁で「どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、私に聞かれたって分かるわけはない」とか、「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域」などと詭弁を弄してイラク派遣を正当化してきました。国民の多くは疑問を持ちながらも、小泉さんのワンフレーズポリティックスに踊らされてしまったのです。テロ撲滅と核保有の疑いでアメリカが仕掛けたイラク戦争は間違いだったことも分かりました。それなのに、現在も空自は後方支援名目で週に平均4、5回の飛行を続け、16日までに694回、物資計約596トンを輸送しています。(4/18付神奈川新聞) 輸送に武器弾薬が含まれているか防衛省は明らかにせず、人数や武装の有無も明かしていません。何が行われているかもわからぬまま、役人の裁量で国民の税金が使われているのです。

 

 

●小泉元総理のツケ・ 外資導入

 政府は外資による電源開発株の買い増しにストップをかける中止勧告を出しました。外資の積極導入は小泉、竹中路線で執られてきた政策です。それを今回、政府が待ったをかけることになったのは皮肉というほかありません。
 グローバルスタンダードの名のもとで進められてきた市場開放政策。しかし軍事産業や国の根幹を成す事業に関しては別です。外資規制を中途半端にしてはいけないのです。外資をどれだけ受け入れるかの問題で今回、電源開発株で政府の方針が示されたわけですが、私も小泉、竹中さんには予算委員会で「外資の導入は慎重であるべき」との主旨を一貫して主張し続けてきました。
 そもそも景気刺激策としての外資導入はアメリカからの市場開放圧力によるもの。企業を食いものにするハゲタカ・ファンドが株式市場のあり方を大きく変えてしまいました。村上ファンド、ライブドアがもてはやされ、活発な投資活動を容認してきたのが小泉、竹中さんだったのです。
 グローバル化の時代、資本主義のあり方を考える上で、開かれた資本主義は必要です。しかし安全保障の分野に外資が入ることは望ましくありません。電力、電鉄など国民の生活に直結する公益性の高い企業も同様です。日本以外の先進国でも投資規制がとられています。そもそも、企業が株主に高配当目的のために最大利益をあげればいいとする欧米型の資本主義と、地域住民、国家、従業員、取引先などにバランスよく利益を配分する日本型資本主義とは違いがあるのです。
 日本は、マネーゲーム中心のアメリカ型資本主義と違い生真面目な「モノづくり」を基盤に発展してきました。日本の産業が根底から覆されるような外資導入は論外です。企業を短期売買する株主と、長期にわたり育てる株主とを明確に区分し、短期保有の株主には経営を左右する議決権を与えないなど考えるべきです。安全対策後回し、改革を進めるための規制緩和だけを先行させ、弱肉強食の市場原理主義を持ち込んで格差社会を拡大させたのも小泉、竹中路線だったのです。