●海の道路「シーレーン構想」
道路特定財源は昭和29年、戦後の道路建設を目的にできたものです。暫定税率はオイルショックの昭和48年から続いています。本来、道路だけに使われるべき財源が、カラオケセットや職員旅行などにムダ遣いされていることが国会で明らかになりました。「高速道路1万4000キロをつくらなければいけない」という前提で毎年ムダが繰り返されてきたのです。
人の移動、荷物の運搬では確かに道路は必要です。しかし、車と道路だけが運送手段ではありません。海に囲まれた日本は海運をもっと活用すべきです。例えば神奈川のはしけ協同組合では東京湾を挟んで神奈川と千葉との荷物の運搬にプレジャーボートを改良したプッシャーバージ(輸送船)を運行させています。トラック84台分に相当するコンテナ84個を1度に1隻で海上輸送を可能にしています。東京湾を2時間足らずで横断し交通渋滞もなく、混雑による時間のロス、排出ガスの削減で環境対策にも寄与しているのです。今はテストケースとして7隻が運行されていますが、もっと海を活用する「シーレーン・ハイウェー構想」とでもいうべき、インフラ整備を考えてみてはどうでしょう。輸送コストを削減し国際競争力を高めるためにも発想の転換が必要なのです。この機に、税金を道路建設だけに使うのではなく、環境を含めた社会資本整備全般を含め、考えるべき時代ではないでしょうか。
●流れを変えた与野党逆転
4月1日、ガソリンの暫定税率が失効しリッターあたり25円、軽油17円が事実上値下げになりました。値下げの時期、金額に地域間のバラツキがあるとはいえ、減税の動きは確実になっています。政府は日本経済や国民の暮らしに混乱をきたし、特に地方財政は大変なことになると危機感をあおっています。今まで続いた暫定税率が、今回のように国民の高い関心事になったことがあったでしょうか。自民党が多数を占める中では審議すら、まともにできなかったのです。
暫定税率だけではありません。今後10年間で59兆円をつぎ込もうとする道路計画、そして当時の小泉総理が「百年安心」と胸を張った年金制度もウソばかりでした。宙に浮いた年金5000万件でも、新たに2858万件が特定不可能であることもわかりました。2年前に野党の大反対を押し切って強行採決に及んだ「後期高齢者医療制度」も、4月の実施段階になって高齢者いじめの心配が現実となって表われています。官僚支配のもとで民意とかけ離れた法案が乱暴に決められてきたのです。それが、参議院の与野党逆転を国民が選択したことによって、役人が今まで隠し通し、利権を手放す心配のなかった問題点が次々と明らかになったのです。如何に今まで、国民不在の官僚支配政治が進められてきたかがわかると思います。
官僚の利権とチェックの甘い特定財源はガソリンだけではありません。たばこ、牛肉、中央競馬会などもあり、今までは不明朗な特別会計にメスを入れてこられませんでした。これらを含め、税の仕組み、使われ方を根本からただしていかなければならないのです。国民の損得に関わる問題です。既に役割の終えたものは廃止する。今がその絶好のチャンスなのです。
●年金の公約違反棚上げ
長寿を祝えない年金制度
2年前に高齢者の医療費が増大するから大変だと、私たち野党が反対する中で当時の小泉総理が認めたひどい「後期高齢者医療制度」が始まりました。私の地域でも死活問題だと、不安を抱え相談にみえるお年寄りが後を断ちません。
この制度は75歳になったら今までの保険に関係なく全員が加入しなければならないというものです。そして、今まで保険負担がなかった扶養家族のお年寄りからも全国平均で月6000円の保険料を負担さようとする制度なのです。わずかな年金受給者からも容赦なく天引きする。厚労省は「高齢者にふさわしい制度」というが、お年寄りを対象にした「差別医療」でしかありません。これで、どうして暮らしていけるのでしょうか。「これからは医療費が足りなくなる。その原因は高齢化にある。だから、その恩恵を受けるお年寄りからも応分の負担をさせる」と、お年寄りへの狙い撃ちは血の通わない役人の机上論です。これを容認した自民党に「年金は安心だ」などという資格はありません。戦前戦中を必死に働き抜いてきたお年寄りには冷たい仕打ちです。
3月末までに宙に浮いた年金の照合を終らせるとの約束も守れず、未解決の年金から新たに保険料を徴収する。評判の悪いネーミングを「長寿医療制度」と改めてみても、制度の中身はそのままです。増大が見込まれる医療費を弱者から負担させる前に、天下り法人に流れる年間12兆円超のムダ、250兆円の特別会計など、官僚の握る利権をすべて洗い出し、適切な予算配分が可能となるようにしていかなければならないのです。