衆院予算委員会で50年以上も前にできた道路特定財源の審議が行われています。特定財源は当時、車が貴重で贅沢品であったこと、また戦後間もないことで道路の整備が必要との社会背景から、受益者負担の考えに立ってできたものです。しかし今、当時とまったく同じことを続ける必要があるのでしょうか。道路計画を進める四全総(第4次全国総合開発計画)も20年前にできた計画。小泉内閣のとき、14000キロを9342キロまで減らすことを決定。ところが自民党道路族や官僚によって元に戻されてしまいました。そして予算も、高速有料道路以外に通学路や歩道橋整備を含めて10年間で59兆円が必要だと言うのです。10年先がどうなっているかも分からず根拠も曖昧です。事情をよく知る地方に任せればいいことです。道路の特定財源は特別会計であり、その上高い税率(暫定税率)が課せられています。単年度で予算審議される一般会計は約84兆円。これに対し特別会計は毎年度繰り越しで国会審議もなく、その規模は一般会計の約3倍、250兆円もあるのです。
これを役人は自分たちの裁量で動かしています。特別会計には、積みあがった言わば「霞ヶ関の埋蔵金」が50兆円もあると言うのです。特定財源は道路目的以外に使わないと言いながら、天下り先の確保や民間では考えられない法外な退職金、宿舎やレクリエーションの福利厚生費にまで勝手に使われていたのです。社会保険庁のムダ遣いとまったく同じ構図です。特定財源は廃止して、道路造りについては改めて対応していけばいいのです。また、オイルショックのとき、落ち込んだ景気を回復させるためにできた暫定税率は文字通り2年間の暫定でした。ところがそれ以来、暫定が34年間も続いているのです。道路族も役人も、一度手にした権限・財源は絶対に手放しません。利権があるから、でたらめな使い方をしても平気でいられるのです。ムダ遣いは年間10兆円と言われています。これを年金、医療、介護の福祉予算に充てれば増税なくして十分に賄うことができるのです。
●明らかになる官僚政治の問題点
国民の賃金が9年連続減り続け、社会保障費や税負担は重くのしかかっています。民間サラリーマンは給料から天引きされ、増税感が十分に湧いてきません。一方、何度も天下って法外な退職金を手にする役人。官民格差は確実に広がっているのです。既得権の温床、特定財源は廃止する。そうしていかないと不公平感はさらに増すばかりです。この状況を許すことは絶対にできません。
地方に対し国が使い方を決める、いわゆるひも付き補助金から、地方の裁量で独自に使える一括交付金にしていくことで、予算配分も自由に選べて、ムダをなくしていくことができるはずです。
今までは衆院、参院とも、自民党が多数を占めることで様々な問題が表面化することはありませんでした。ところが参院で民主党が第一党になったことで、道路も年金も役人がフタをしてきた問題点が明らかになってきました。この動きに慌てているのが官僚の言うがままに政治を動かしてきた自民党です。全力を挙げて官僚による自民党政治を変えていかなければならないと思います。
●食の安全と生産性の向上を
日本はもっと食の自給率を高めなければなりません。ところが、今や自給率は39%まで落ち込み、先進国中最低となっています。そもそも自国の食糧を6割以上も海外に頼ること自体、異常です。最低でも自給率7割は確保しなければならないと思います。
安全保障とは、一般に武器や戦争に関するものだけを考えがちですが、食についても言えることです。自前(じまえ)による安定供給と安全性を確保した徹底した食の安全保障を考えていかなければならないのです。
今回の中国製ギョウザ中毒事件は日本人の食生活に警鐘を鳴らすこととなりました。冷凍食品が家庭の食卓に大きな影響を与え、広く学校給食にまで使われている状態に国はもっと関心を高め、改善すべき点は改めていくべきではないでしょうか。
食材の安定生産が国にとって如何に大事なことかを教えるためにも、食育である子どもたちの給食は大切です。国内生産者と消費者とを結ぶ食の生業(なりわい)の大切さを教え、主要な食材は基本的に国内産で賄えるようにしていく必要があるのではないでしょうか。「地産地消」を真剣に考えて欲しいと思います。
国はマネーゲームなど、金融市場を中心とした経済政策を第一に進め、生きる上で最も大切な食糧政策を後回しにしてきました。その結果、日本の食文化を形骸化させ、同時に食に対する安全認識もどんどん希薄になってしまったと思うのです。
また、農業は環境対策にも大きな役割を果たします。環境保全のためにも農業文化を守っていくべきです。都会への一極集中で、山も放置され森林管理もできなくなってしまいました。第二、第三次産業を大事にし、第一次産業政策を置き去りにしたことが農山魚村の過疎化にもつながっていったのです。
この機会に食の安全、自給率の向上、生産農家の価格補償政策など、食糧問題へ政治が確かな指導力を示すべきです。地方の文化を守り、農業を守り、その特性を十分に発揮して誇りある地域社会をつくる。個別地域の生産性を高めて、地域間格差を埋めていく政策が今、求められていると思います。