闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.497
2008年1月14日

 

 今週、再延長の臨時国会が閉幕し、通常国会が召集されます。安倍前首相が命をかけて臨んだ臨時国会でしたが、前首相の辞任から福田内閣が誕生するまで、政府・自民党は約1ヶ月間、国会を空白状態にしてしまいました。このために、テロ特措法への取り組みが遅れ、インド洋での補給活動が不透明な中、問題点が十分に審議されず、国民への説明も不十分なまま、テロ新法の衆院再議決となってしまいました。テロは世界から撲滅し、日本も最大限、協力していかなければなりません。それは国家国民にとって共通の認識です。この観点から、日本にとっては北朝鮮の拉致もテロです。忘れてはいけないのです。政府の対応を求めていかなければなりません。

 

◆問題点を曖昧にするな
 テロ新法の成立で薄れてはならない油の転用と防衛省疑惑


●参院の存在が否定された

 中国もロシアも、世界の国々がテロには敏感になっています。その中で日本は国際貢献の名のもと、同盟国アメリカの要請でインド洋上での給油活動を続けてきました。参院での継続法案否決で、一時補給活動を中断していましたが、その間、給油に支障をきたしたとも、国際的信頼を失ったとも、不都合な話は聞かれません。日本はこの機会に国連のもとで独自のテロ対策、国際貢献を考えて、日本がやるべきことへの議論を深めていくべきです。
 今までの給油活動で油がどこにどのような形で使われてきたのか、国会での承認もない中で戦略上の「機密事項」として扱われ続けてきました。今回成立したテロ新法案も、国会への承認が必要ないものとなっています。何処で何をやっても「機密事項」だからと、伏されてしまうのです。これで民主主義国家と言えるでしょうか。6年間の給油に300億円以上ものカネが注ぎ込まれてきたこともわかりました。これはすべて国民の税金です。本来なら産油国から安く油を購入すればいいのに補給した油は日本の商社がアメリカから高く買いつけ、これを無償でアメリカなどの多国籍軍艦船に提供してきたのです。テロ対策にからんで金儲けをする、あるいは防衛省が隠し金をつくって飲食に充てていたことなどもわかりました。前防衛事務次官にからむ不正、政官業の癒着も明らかになりました。国を守り世界と協力しようとする防衛省がこれでいいのでしょうか。これらは、自民党が長きにわたり安定多数を占めることで生じさせてしまった政治の弊害です。絶対に許してはならない政治の歪みなのです。
 衆院でテロ新法案が57年ぶりに3分の2条項の憲法規程によって、ごり押し可決となったわけですが、衆院での自民与党の多数議席は2年半前の郵政解散で民営化を問い、そして得た議席数です。その議席数を使って今回のテロ新法案を処理してしまったのです。直近の参院選での民意が反映されない法案成立は、参院の存在を否定したことになります。本来なら廃案にするべきものなのです。テロ撲滅について協力し、国を挙げての対策を講じることはやぶさかではありませんが民意にそわない法律が、あらゆるところに拡大していったら、国という組織はもたなくなってしまうと思うのです。
 法案の審議で、今まで知らない多くの問題点が浮彫りになりました。これらがウヤムヤにならぬよう、政府・自民党への追及を続けていかなければなりません。

 

 

●通常国会は景気対策最優先で

 原油の高騰がとまりません。これは原油不足からおきているのではなく、投機によるものです。日本には8ヶ月分の備蓄があります。これを放出して価格の凍結をはかっていく。あるいは、ガソリンにかけられている高い暫定税率を撤廃し、税の上に消費税をかける、いわゆる税の二重取りもやめるべきなのです。輸送や原材料費など、コストアップにつながるあらゆる要素を取り払っていくことが必要です。景気の先行き不安に対し、購買意欲が湧きあがる状況を政治主導でつくりだしていかなければならないのです。
 アメリカの住宅ローンの焦げつきが世界経済に打撃を与え、日本の銀行でも貸し渋りが再燃しています。また、耐震偽装で改正された建築基準法を、あまりにも極端に厳しくしたために、建築関連業界にとって法改正は死活問題ともなっています。特に煽りを受ける中小、零細企業にいたっては大変です。政府は景気対策を小だしにしていくのではなく、抜本的な政策を示し、実行にうつすべきです。
 年金、医療、介護の負担も上がっています。政府は後期高齢者などと勝手に名前をつけ、お年寄りに対して安易に税負担を強めています。また、消費税アップは景気に水を差すことになります。今の政府には税金のムダ遣いがいっぱいあります。民主党では予算の組替えを含め、15・3兆円のムダを減らすことで財源を賄えると試算しています。政府・自民党の言うように、このまま増税をすすめるか、それとも制度全体を見直して、民主党主張の徹底的にムダを省いていくのか、そのどちらかです。今の日本にとって、どちらが良いかは火を見るより明らかなのです。