闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.494
2007年12月3日

 

◆税金食い物の「政官業癒着」

 国民には税負担を強いる一方、陰では甘い汁をむさぼり続けた防衛官僚

 12月3日に予定していた額賀財務大臣の証人喚問が中止となりました。前防衛省事務次官・守屋容疑者の逮捕によって2人同時の証人喚問ができなくなったからです。額賀大臣は自身が宴席にでていたとする守屋証言を真っ向から否定していますが、守屋容疑者は以前から日誌をつけ続けていたといいます。そこに今回、大臣の証言とに食い違いがでてきたのです。最近のことなら日誌の誤魔化しもできるかも知れませんが、2年も3年も前のことです。300回もゴルフに行ったことも記され、その中には大臣との接点もでてきているのです。2人同時の証人喚問でないと、大臣が宴席に居たかどうかの真偽はわかりません。居た居ないよりも大臣がどのようにこの問題に関与していたのかが重要なのです。前次官の逮捕でその前提が崩れてしまった今、大臣の証人喚問の中止はやむを得ません。
 証人喚問を野党単独で議決したことに自民党与党は「全会一致の慣例を破った」と反発しています。しかし自民党与党は安倍内閣の時に、委員会で全会一致を無視して17回もの強行採決を行っています。「無視」は、逆に自民党の常とう手段なのです。

 

●国会のチェックが必要

 国際貢献の名のもと、日本は同盟国アメリカの要請で、インド洋の給油活動を行ってきました。給油した油は日本の商社がアメリカから買いつけ、これを無償でアメリカ艦船に給油してきたのです。6年間の給油活動に300億円以上のカネが注ぎ込まれてきました。これはすべて国民の税金です。ところが、油がどこにどのような目的で使われてきたのか曖昧で、国会での承認もない中、戦略上の機密事項として扱われてきたのです。そればかりか使った油に対する海上自衛隊の日報が破棄されていたことがわかりました。民間でいえば領収書を捨てたも同じこと。何でもありの官僚政治を如実に物語っています。国会のチェックが必要なのです。
 税務署は国民に対して税務の透明性を厳しく要求してきます。しかし300億円もの税金を使いながら、その使途を明確にしない防衛省は、不透明でも許されていいのでしょうか。これが贈収賄を引き起こす土壌をつくりだしてきたのです。
 守屋容疑者が4年間も事務次官を続けていれば、政官業の癒着が生じることは十分予測できたはずです。予測できながら長期間、安易に事務次官を続けさせたのは任命責任者である石破大臣をはじめとする自民党の歴代長官なのです。当時の小泉首相はそれを容認し、また福田首相はその時の官房長官だったのです。

 

●不正を容認した首相の責任

 公務員倫理規定、綱紀粛正を強く唱えたのは小泉さんであり守屋容疑者です。その守屋容疑者を小泉さんは首相訪米の際に政府専用機で同行させるなどしていました。側近としてあまりにも破格な待遇が何をやっても許される状況をつくりだしてしまったのです。総理官邸の威光が4年間も続いたことで発言権を増し、今回の癒着に結びついていったのです。
 随意契約で物品調達が進められてきた裏には太いパイプを維持するためにゴルフを300回もやったり、水増し請求をしたり、見積もりを改ざんしたりして、資金の捻出が行われてきたのです。小泉政権下、歴代の防衛庁長官を後ろ盾に、何らとがめられることなく、思うがままに不正な物品調達業務を行ってきたのです。これがすべて税金のムダ遣いにつながっているのです。長年にわたり政権交代もなく、一党支配が生んだ恥ずべき実態なのです。
 国防機密という名のもとに、ひた隠しにされてきたことが一連の贈収賄事件につながりました。もともと、国防とか外交は与野党含めて共通の認識で国を守る問題です。手を汚さないクリーンハンドの原則を守らなければならないのです。

 

●森田氏招き研修会を開催

 納税者がどれだけ厳しい環境にあり、苦しい思いで税金を納めているのでしょうか。地域を回っていて景気がいいとの声は何処からも聞こえてきません。5兆円近い防衛予算の中で約3兆円が装備費です。納税者の気持ちがわかっていたら装備品調達のムダ遣いはできないはずです。ムダが後をたたないのに、財源が足りないからと消費税アップを画策する。納税者にとっては納得できないことばかりです。サラリーマンにとって、定率減税の打ち切りで今年の年末調整の戻りは殆どゼロになるなど、増税色が強まっています。日本は納税者、中小企業の立場にたった政治を行っていかなければ、いずれこの国はおかしくなってしまうと思うのです。
 ねじれ国会がテロ特措法の問題点をあばき、防衛省の問題も明らかにしました。政治・経済の今後の見通しを政治評論家の森田実氏を招いて、研修会を開催することが決定しました。(12月10日、月曜日開催。詳細は田中慶秋事務所迄お願いします。電話045・871・7600)