◆国民はもっと賢くなろう
参院国会の与野党逆転で、無視できなくなった野党の意見。急きょ持ちだされた大連立構想は壁にブチあたった苦し紛れ、福田政権の打開策。これを受けた小沢代表は辞意を表明。辞意が国民の信頼を裏切るものであってはならない。
11月1日、テロ特措法が期限切れとなりました。自民党は「特措法を継続するための審議を」といっていましたが首相交代で2度の所信表明を行うなど、前代未聞の政治空白を招いてしまったのです。国民の生活が第一と考える私たち民主党に対し、自民党政権はテロ特措法の期限切れを日米同盟に亀裂、国際貢献にマイナスだと非難しています。しかしその前に自らが招いた事態の悪化を重く受けとめるべきです。
多数を占める自民党与党のために、今まではテロ特措法継続の中身が伝わってきませんでした。それが参院の与野党逆転でさまざまな問題点がわかってきたのです。「アメリカはじめ諸外国が給油・給水活動を望んでいる、国益にかなうから続ける」というだけでは納得できません。国民の税金を使っていながら、国会の承認もなく、どれだけの油が本来の目的以外で何処に使われているのかわからないからです。アメリカのキティーホークに80万ガロンを給油しておきながら20万ガロンと訂正し、ウソがばれたら単なる記載ミスで済ませる。イラク戦争に転用された疑いもあるなど、重大な事実が指揮官のトップである首相にも防衛庁長官にも報告されていなかったのです。都合の悪いことを隠ぺいし続ける官僚体質の最たるものです。シビリアンコントロールが利かない状況下ではテロ特措法を簡単に受け入れるわけにはいきません。
政府・自民党は6年間の給油活動の実績をことさら強調しています。「日本の石油は中東に依存している。インド洋における日本の石油タンカーの9割がこの海域を通る。だから航行の安全には海上自衛隊の派遣が必要だ」と。しかし、最初にテロ特措法ありきで、何でもひと括りにしてしまう。イラクへもアフガンに対しても、主要諸国は段階的に撤退しながら、新たなテロ対策への模索を始めています。アメリカが切望する給油活動延長とタンカーの安全確保とは別に考えるべきなのです。
世界からテロを排除するならば、アメリカの主動的立場から国連を中心に世界平和、テロ廃絶のしっかりした決議を行うことです。その上で日本ができる役割は何か。人的、物的支援策を明確にさせるべきではないでしょうか。
●テロ特措法の給油問題、防衛事務次官の接待問題、年金のズサン管理、肝炎問題などは共通する役人の隠ぺい体質。すべて国民の前に明らかにせよ。
政府は来年3月末までに「消えた年金5000万件の照合作業を終える」と明言。しかし、総務省の年金記録問題検証委員会では特定が難しいことが示されました。年金のムダ遣いや社会保険庁のズサン管理に対し、どのように責任をとらせるのでしょうか。これもはっきりしていません。いい加減な役人のやることは厚生労働省も防衛省もすべて同じです。
防衛省の事務次官が11年間にわたり200回以上も接待ゴルフを続けていました。夫婦でゴルフセットをもらう、バッグを贈られる。業者も裏ガネづくりや政治家への車代捻出など、利権が働かなければ考えられないことです。まさに政官業の癒着です。倫理観に欠けた役人をいつまでも在任させていた政府の責任は重いといわざるをえません。
ガソリン価格が大幅な値上がりをしました。ガソリンの半分は税金です。道路をつくるための暫定税率で一般の税率より高くなっています。その上に消費税がかけられ二重課税となっているのです。ガソリン本体の値上げに便乗して、ガソリン税額も上がります。なぜ上げなくてはならないのでしょう。私たちは何度もガソリン税の見直しを要求してきました。しかし政府・自民党は改めようとしません。これは役人が手放さない既得権そのものだからです。長く続いた自民党政権下では、官僚が絶対に手放さない既得権と隠ぺい体質を変えることは、もはや至難の業です。
大連立構想、小沢代表突然の辞意表明にも、国民はメディアの報道に惑わされることなく確かな目を持って、賢い判断をして欲しいと思います。