闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.490
2007年10月8日

 

テロ特措法延長、イエスかノーか 二者択一は郵政民営化のときと同じ

◆参院選に勝利し民意を得ても説明責任を果たさなければ
 国民の理解は得られない

 民主党はテロ特措法延長の反対理由を責任をもって説明する必要があります。このままでは説明不十分です。郵政民営化のときと同様、「賛成」「反対」だけで民意の選択を迫るようにしてはならないのです。

 

●民主党もテロ特措法反対の説明責任を果たすべき

 10月1日から郵政の民営化が始まりました。民営化については2年前の小泉政権のもと「民営化賛成か反対か、改革を止めるな」と衆院選が行われ、その結果、神奈川選挙区では民主党が完敗してしまいました。当時、私たちは郵政民営化そのものに反対したのではなく、民営化によって起こりうる事態、例えば全国均一のサービスが維持されるのか、過疎地には金融機関も農協もなく特に生活弱者であるお年寄り、障害者にとって年金の受け取り窓口になるなど、郵便局だけが頼りの生活に支障をきたすのではないか、民営化の名のもとに収益の上がらない郵便局が一掃されることで過疎地と都会とで地域間格差が生じないかを心配し反対したのです。今、利益確保が難しい地域の郵便局は次々に閉鎖され、心配が現実になっています。
 また、民営化で世界一の取り扱い高を誇る保険・金融機関になることで外資参入をどのように捉えていくのか、あるいは競争原理によって影響を受ける中小の保険、地域の信金信組はどうなるのかなど、性急な民営化はさまざまな問題を抱えての見切り発車となってしまったのです。
 小泉さんは日本が世界で生き残るためにはグローバル化が必要だと市場開放を進めました。そして経済を活性化するには外国資本の積極的な参入が不可欠だと競争原理を導入してきました。世界一の貯蓄量を誇る郵政事業に米国が目をつけないわけがありません。郵政の民営化は米国圧力によるものでもあったのです。
 中身の問題点も解決されないまま、ただ民営化すればいいという無責任な「小泉さんの郵政民営化」に反対しただけで民主党は民営化すべてに「反対している」とのレッテルを貼られて大敗を喫してしまったのです。格差拡大を含め、小泉政権がもたらした郵政民営化の問題点を早急に問うべき時であり、テロ特措法も同じ状況になっているのです。

 

●テロ特措法の問題点が与野党逆転で浮き彫りに

 今まで自民党が多数の議席を確保していたために、私たちが、例えば政府のいう「百年安心の年金制度」は間違いだと申し立てても実のある審議すらできませんでした。それが参院で与野党逆転したことで緊張状態が生まれ、法案の是々非々をハッキリ示すことができるようになったのです。テロ特措法の延長が国会では十分な審議もないままに2回延長されました。特措法も延長法案も、民主党は一貫して反対し続けていますが、今までと違って今回のように延長が騒がれるようになったのは、参院での与野党逆転があったからなのです。
 安倍政権は3週間も国会の空白期間をつくりだし、審議をできない状況にしておきながら間際になって「テロ特措法の期限が切れる」では無責任です。その一方で、民主党が国連決議に基づかないから反対しているとの理由に、国連の謝意を表す決議案を取り付けるなど、策を弄していますがまったく無意味です。インド洋での給油活動が国会の事前・事後承認も得ず、何ら情報公開もない中で行われていること自体が問題なのです。給油がどういう目的で、どういう方法で、どれだけの量を、これらが明確に示されずにテロ特措法が施行されています。シビリアン・コントロールが効かない状況なのです。政府は否定していますが給油がテロ対策以外にイラク戦争にも転用されていた疑いもでています。知らんふりをしていたのか本当に知らなかったのか、どちらにしても大問題です。
 民主党も国民に対し、今の特措法のやり方になぜ反対なのか、責任をもって反対理由を説明する必要があります。民主党が国際貢献の中ではテロ撲滅に反対しているわけではないこともわかりやすく説明すべきです。世論の動きは当初の延長反対から賛成へと微妙に変わってきています。それは「テロ撲滅、国際貢献、国益」のキーワードが国民の心を動かしているからだと思うのです。私たちもこの点では反対どころか大賛成です。問題は政府が通そうとしている法案の中身なのです。
 小沢民主党が反対のための反対をしているように国民の目には映っています。説明不足が前の郵政民営化と同じ状況に陥って、「イエス」か「ノー」かの二者択一を迫るようになっては大問題です。議論が憲法改正にまで及ぶかも知れませんが、国民が納得し理解が得られるまで何度でも説明を繰り返して欲しいのです。