闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.489
2007年9月24日

 

◆民意置去りの総裁選

 政治で一番大切なのは民意の反映です。ところが、今の政治は民意が何処にいったのかわからない状態です。実質、首相となる自民党総裁選が行われましたが投票といっても自民党議員と各県連の3票だけ。国民が直接投票できない総裁選です。それなのに大々的に街頭演説を繰り返すパフォーマンスに、活路のない自民党を感じます。

 

●早期解散で民意を問え

 日本企業は正社員が6割を切りフリーター、ニートが定着。ワーキングプアが増え、ネット難民などという差別用語までできてしまいました。利益中心主義から生まれた格差社会を是正して一億総中流社会に、これが私たちが求めるものです。そして人を大切にする社会の実現を政治主導で進めていかなければなりません。ところが今回の自民党総裁選は次の選挙を乗り切るためには、との思惑が見え見えの党利党略の総裁選を展開したのです。
 新総裁は決まりました。しかしアメリカ追従で市場原理主義を我が国に持ち込み格差社会を拡大させてしまった小泉改革のツケを清算できる人物は今の自民党に見当たりません。誰がなっても同じこと。結果的には国民が直接支持しない首相が2代続いて誕生したことになります。早期の解散で民意を問わなければなりません。 安倍首相が辞意を表明してから臨時代理も置かず、国会は空転を続けています。会期中なのに年金問題や格差問題、政治とカネなど、大事な委員会も開かれず国民生活にはマイナスです。国際会議にも出られない状況をつくりだし、国益を大きく損ねてしまいました。
 国民に対する謝罪を後回しにする反面、自民党の総裁選を華々しく繰り広げるパフォーマンス。参院選の大敗イメージと党の危機感を払しょくしようと、今までにない熱の入れようです。自民党はリーダーの資質に欠けた安倍さんを選挙に戦えるから、拉致で国民的人気があるからと、それだけで首相に担ぎ上げてきたのです。
 役人は安倍政権の崩壊で自分たちの出番がきたと喜んでいます。新総裁が調整型の福田さんになったことで役人の意向が尊重されることになるからです。民主党にとっては誰が総裁になろうとスタンスは変わりません。「密室の談合をやめて開かれた中で国民に分かる議論をしよう」これが私たちの考え方だからです。
 新総裁がどのような政策で日本の舵取りを行っていくのか。「20年先30年先の高齢社会を見据えたバリアフリーの公共事業、地震対策、防災へのインフラ整備、交通渋滞緩和で地球温暖化防止、環境対策、社会保障は国がしっかり面倒をみる、大企業優先から中小零細企業を大事にした産業構造をもう一度やらせてください」と、これならわかります。美しい国とか戦後レジームなどと漠然とした政策では駄目。ハッキリと最重点課題を示し、国づくりに向けてのビジョンを掲げて欲しいのです。

 

●中・長期的な政策を示せ

 対米関係についても、日本政府はアメリカの要望に応えてきました。しかし、時と場合によって「日本が大切だ、同盟国だ」といっておきながら、アメリカの認識は変わってきています。例えば北朝鮮問題について、核放棄には真剣ですが拉致問題ではどれだけ日本の立場を尊重しているのでしょうか。今やアメリカにとってのアジア外交は日本を頭越しに13億の魅力的なマーケットをもつ中国へと移っています。これがブッシュ外交のあり方です。中国も中・長期的な戦略をもってアジアのリーダーたらんと虎視眈々と出番を狙っています。日本はアメリカ追従の外交から脱却し、主体性をもった中・長期的な戦略を示していくことです。さらに、新総裁が今の官僚主導型の政治を変えられないなら、何も期待することはできません。必ず民主党の出番がくると確信しています。

 

●参院選が国会を変えた

 もうこれ以上出ないだろうといわれていた年金の横領が新たに判明しました。年金の不祥事は解決どころか却って泥沼状態に陥っています。また、テロ特措法の延長がいわれる中、2003年にインド洋に派遣した海上自衛隊の補給艦がイラクへの空爆を担った米軍艦船に、政府発表の量を4倍も上回る給油を行っていたこともわかりました。私たちが反対し続けても耳を貸そうとしない高齢者医療費の負担増、児童扶養手当、障害者自立支援法なども抜本的見直しがいわれるなど、弱者を直撃した政府・自民党の政策に方向転換の動きが見られるようになりました。これは参院選の大敗を受けて、負担増の抑制や格差是正に取り組む姿勢をアピールする狙いがあるからです。これは民主党が参院で与野党逆転できたからこそ可能になったこと。政府・自民党の強行採決乱発の強権政治から、ようやくまともな政策論争ができる国会に戻ってきたのです。
 国民は緊張感あふれる健全国会を望んでいます。厳しい視線が政治家に注がれていることを忘れてはならないのです。