闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.487
2007年8月27日

 

◆格差社会をただせ

●生活にプラスの政策を

 今回の選挙を機に、参議院は衆議院のコピーから脱却し良識の府にならなければなりません。参院選の結果、政府自民党が提出法案をいくら衆議院で通しても、これまでとは違って私たち野党が過半数を占める参議院で再考を促す機会が生まれたことは、自民党のおごり政治にストップをかける上で意味深いことです。いいものはいい、悪いものは悪いで、国民にとって、また日本にとってプラスになるのかマイナスになるのか、見極めのできる国会になったことはいいことだと思います。
 今までのように提出法案が何でも通ってしまえば、ますます小泉政権が生んだ格差のツケを国民が払わされることになります。今年からの増税もその一つ。既に医療費や介護保険にも影響が及んでいます。負担が増えたからといって中身がよくなっているわけではありません。官僚のムダ遣いもそのままに、財政再建のツケをすべて弱者に押し付けているのが今の政府、自民党のやり方なのです。国民はもっと怒るべきです。
 元気のでる、景気がよくなる政策を執ってもらわなければならないのに、企業の倒産件数は改善されず自殺者も9年連続3万人を超えています。景気はよくなるどころか、却って弱者にしわ寄せが及び、生活の実態は厳しくなるばかりです。自民党が大企業中心の政策を進めていくのなら、民主党には中小零細企業をしっかりと支えていかなければならない役目があるのです。
 小泉政権下、当時の竹中大臣は水が上から下へと流れるように、大企業に元気がでれば中小企業にまで恩恵が及ぶと、大企業中心の政策を執ってきました。ところが利益の再分配は行われずにむしろ大企業は国際競争力をつけなければと人件費を削り、コスト削減で得た利益を内部留保に回し続けています。日本経済を支えているのは99パーセントの中小零細企業です。この中小零細企業が元気を取り戻さない限り生活の安定、安心はありません。

 

●格差拡大の認識なし

 格差問題について、所得格差の大きさを表す2005年のジニ係数が過去最大になったことが3年ごとに行われる厚生労働省の調査でわかりました。その主な要因は、一般的に所得が少ない高齢者世帯の増加にあるというのです。そして、厚労省は社会保障の効果も加味すれば格差に大きな変化はないとの認識を示しています。この判断はとんでもない誤りで、増税による負担を加味すれば、生活の実態はジニ係数で示される以上に拡大し、厳しいものになっているはずです。現実に、6月からは年金生活者にまで地方税が掛かってきています。これで何で格差に大きな変化はないなどといえるのでしょうか。役人の世間知らずは救いようがありません。役人は救われなくても、救わなければならないのは国民の暮らしなのです。
 ちなみに厚労省の発表による数字では世帯の所得額は前回調査の510万8000円から465万8000円と45万円減少。世帯の種類別では一般世帯の609万5000円が578万2000円と約31万円。高齢者世帯では92万円が84万8000円と7万2000円減少しています。母子世帯では10万2000円も減っているのです。
 政府がどのように説明しようと、小泉改革のツケが格差の拡大となって表れていることは紛れもない事実です。税負担の増加と合わせれば、政府の執った政策は国民の生活を二の次、三の次に考えたものといわざるを得ません。高齢者への行き過ぎた税負担を軽減し、低所得者へのサポート、非正社員への能力開発、子育て家庭への育児支援など、きめ細かな政策を進めるべきです。

 

●官僚を支配できない新内閣

 秋の臨時国会に向けて、安倍政権の内閣改造が行われました。政治とカネ、失言問題など、閣僚の不祥事が相次ぎ、内閣を人心一新するといっての組閣ですが、今の自民党政権では誰が大臣になっても同じこと。どっぷり漬かった官僚とのなれ合い政治をただし、官僚にハッキリとモノのが言え、官僚を国民の奉仕者として使いこなせる大臣が必要です。しかし、自民党与党の組閣で生まれた大臣には多くを期待できません。官僚をコントロールできず、官僚に操られているのが今の自民党政権だからです。