闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.486
2007年8月13日

 

◆緊張感高まる参議院

 与野党逆転で参議院に課せられた民主党への重い責任

 多くの国民から支持を得て参議院のかなめ、議長、議院運営委員長が私たち民主党から選出されました。今、その参議院に不要論がわき起こっています。衆議院のカーボンコピーだからというのです。国会の最高機関、良識の府がコピーであっていいわけがありません。衆議院からの法案を専門的な立場で再検討するのが参議院です。その意味では極めて重要です。たとえ定数を半減してでも存続させなければならないのです。
 今回の参院選で自民党は結党以来、初めて議長席を私たち野党に譲ることになりました。勢力が与野党逆転したことで、少なくても今までのように強行採決で法案を決めるような、何でもありのやり方に歯止めがかかり、参議院本来のチェック機能が働く国会になっていくことが期待できます。

 

■核廃絶で平和国家の樹立を

 8月15日、62回目の終戦記念日を迎えます。日本は被爆国であることを忘れてはなりません。それなのに、前・防衛大臣は「しかたない」と被爆国の閣僚であるまじき発言をしました。世界に向けて核の廃絶を訴えていかなければならない日本。原爆投下を容認し正当化するような発言は決して許されるものではありません。非核3原則を日本の憲法に明記するくらい核の廃絶には強いメッセージを発し続けなければならないのです。
 戦後62年経って、日本はアメリカと本当に戦争をしたのか、広島、長崎の悲惨な現実を知らない子どもたちが出始めています。日本の教育がずさんになっているからです。近代史教育を考え直すときです。そして戦争のない平和な社会の大切さを訴え続けていかなければなりません。
 「北朝鮮が核を持つなら日本も」などと平気で口にする政治家もいます。国会議員そのものが戦後生まれが多くなっているところに戦争の悲劇が形骸化され、原爆投下を正当化するような考えがでる、事態は深刻です。近代史教育の必要性を踏まえ、日本が戦争、核、平和に対する思いをしっかり持つことが世界平和につながっていくのです。

 

■政治が成すべきこと

 参院の与野党逆転、そして次期衆院選での政権交代を目指して、国の方向性を示していかなければなりません。私は常々「長寿国家日本は年金、医療、介護を中心に社会保障を充実させること」と訴えています。政治家は自分のための政治ではなく、この国をどうするか、しっかりしたポリシーのもと国政に臨んでいかなければならないのです。私は32歳から政治活動に携わってきました。この間、国をどうするかを真剣に考え、厳粛にものごとを見つめ、変わらぬ感性のもと、強い信念を持ち続けています。これが政治家として必要だと思っています。世界の変化がこれだけ激しいときに、国の方向性を明確にしていかないと日本は世界から相手にされなくなってしまいます。国の方向づけは若い政治家だけではできません。豊富な経験も必要になってきます。迷走を続ける安倍政権。経験の少ない安倍首相に日本の舵取りを任せることは早過ぎたのかもしれません。

 

● 地震対策の公共事業

 地震多発国日本は公共事業費を削るだけでなく、ハコモノの公共事業から地震対策の公共事業へと方向転換すべきです。共同構を造って電柱の地下化を進める。街のバリアフリー化も進め、道路の整備も必要です。東京オリンピックを機に建設された高速道路は構造的に問題があると指摘されています。また交通網のネットワーク化を進めていくことも必要です。例えば神奈川から東北方面に向かう道路は、混雑する都心部を経由しなければなりません。このような高速道路は本来あり得ないこと。バイパスを造ることで都心部の交通渋滞の解消を考えるべきです。

 

● 温暖化を防ぐ道路整備事業

 温暖化防止対策も重要です。日本は京都議定書で定められた削減目標の達成が難しい状況です。原因は自動車の排出ガスなど化石燃料によるものです。交通渋滞による経済的損失は時間的ロス、燃料のムダ、排気ガスの処理費用などを含め年間約20兆円を超すと試算されています。首都圏の道路整備で渋滞を解消すれば経済的ロスも大気汚染も解消します。

 

● 国民主体の政治を実現

 しがらみの官僚政治から、一日も早い脱却を図らねばなりません。社会保険庁の問題は以前からわかっていたこと。自民党をはじめとする政府与党、官僚が一体となって今日の社会保険庁の問題を容認し、不祥事が続いても誰一人責任をとろうとしないのです。
 民主党は、しがらみがないことで、社会保険庁のさまざまな問題点を掘り起こしてきました。ところが宙に浮いた5000万件の問題でも、十分な情報がだされません。安倍政権でできないことが小沢民主党でできるかとの疑問の声も聞かれますが、その時の政権はしがらみを断ち切れない自民党政権です。しがらみを断った小沢民主党の方が可能性は大です。このままの政治ではいけないと自民党を飛び出し、しがらみを断って新党をつくったことの意味がここにあるのです。自民党は役人と一体で日本の政治を疲弊させてきました。官僚任せの自民党では政治を変えていくことはできません。政治の制度疲労をただし、正常に戻すことこそ民主党に課せられた大きな課題であり、責任なのです。