闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.485
2007年7月30日

 

◆参院選勝利

  二大政党制への幕開け
 「年金、税金のムダ遣い、政治とカネ」で、安倍政権に不信任

 

●民意を受けて大躍進

 政権交代への足がかりとなる参院選の投開票が行われました。結果はご承知の通り民主党の大躍進となりました。神奈川も厳しい闘いの中、2議席を獲得することができ、県民の賢明な選択が今回の結果につながったと思っています。選挙期間中、候補者と共に「官僚を中心とする今の政治でいいんですか、従来の自民党のしがらみ政治でいいんですか」と、政治改革を訴えてきました。選挙の結果次第では衆議院で強行採決が繰り返されたように、何でもありの強権政治が議会制民主主義を危うくしてしまうところでした。今回の参院選で、年金問題など民主党の政策に評価をいただき、民主主義政治はまだ捨てたものではないとの感を受けました。
 政治には国民自身の生活がかかっています。国民の多くがもっと政治に関心を持つ状況を作っていかなければならない、そんなことも強く感じています。

 

●おかしい今の政治を是正

 小泉・前自民党政権は国際競争力をつけなければ日本経済は駄目になってしまう。アメリカ型のグローバルスタンダードこそが生き残る道だと、極端な成果主義で経済の活性化を図ってきました。貯蓄から投資へと積極的な外資導入論を掲げ、投資家からは「金儲けがなぜ悪い」とまで言わしめたほどです。多額の投資ファンドによるマネーゲームの横行が、日本にとって大切なモノづくりの精神を失わせ、日本人が持つ勤勉さ、額に汗して働くことがバカらしいとまで思う風潮がまん延してしまったのです。また、2年前の衆院選では「郵政民営化イエスかノーか」で国民に選択を迫り、それ以来、結果的に地方切り捨て、弱者切り捨ての政治が生じ、格差社会を拡大させてしまいました。
 親米主義、ブッシュ大好きの小泉さん、その流れを受け継いだ安倍政権。日本は強いものだけが生き残る世の中に大きく変わってきてしまったように思います。私たち民主党の鳩山幹事長は「農業も大きければいいが、小さい農業はやめてもいい。事業も大きいほどよい、中小企業は勝手にしなさい。個人でも、お金持ちは税制で優遇するが、そうでない方は負担がどっしりかかる。こんな世の中はおかしい」と、今回の参院選の応援演説で、政府・自民党の格差を生じさせた政策を非難しました。小泉、安倍と続く自民党政権は、お年寄りや中小零細企業などを救うと言っておきながら、実は痛みを感じない官僚主導政治に引きずられ、結果的に社会的弱者切り捨て、大企業、金持ち優遇の政策を進めてきてしまったのです。
 本格的な景気回復も遅れています。民間企業では1円たりとも疎かにできず、1円の領収書すら必要なことは常識です。ところが、政治とカネの問題で自民党与党は領収書を5万円以上と決めました。あまりにも民間とかけ離れた金銭感覚が政治をおかしくしてしまったのです。

 

●暮らしはもっと楽になる

 民主党の政策は明快です。「人間の生命、財産を大切にし、国民の生活を第一に考える」と言うものです。待ったなしの少子高齢社会は年金、医療、介護を中心に老後を安心して暮らせる社会を目指していかなければなりません。そのためには確かな年金制度が必要です。政府・自民党与党は3年前の年金改革で「百年安心の年金制度」だと負担増、給付減の年金制度を国民に強いてきました。ところが安心どころか支給は60歳から62歳に、そして65歳へと、年々繰り下げられ、まるで逃げ水のように将来は70歳支給などとも言われています。今の年金制度は崩壊状態です。小手先だけの改革では国民への負担と不安は解消されません。ミスを認めず、財源・権限を手放したくない社会保険庁、厚生労働官僚。150兆円の年金積立金もしっかりキープされているのか疑問です。収支を明確に示す必要があるのではないでしょうか。
 民主党は年金制度を抜本改革し、すべての年金制度を一元化し、国民が同じ年金に加入する仕組みをつくり、その財源は消費税で賄う税方式を提言してきました。消えた年金問題で、安倍首相は「不安をあおるべきでない」と、ひたすら事実を隠し続けてきたのです。その政府に抜本的な年金改革などできるはずはありません。また、官僚支配の自民党政権では天下りあっせんも絶対になくなりません。
 国から地方への税源移譲で、政府は課税の総額は変わらないと説明しています。これも、とんでもない話で庶民の税金は確実に上がっています。小泉、安倍政権の6年間で国民の生活負担は9兆円も増えたのです。そして、この6月からは年金生活者にも税金を課し、市民・県民税は今までの倍以上になっているのです。健康保険も介護保険も値上げにつながっています。弱者狙い撃ちの大増税を、役人の言われるままに平気で進める安倍首相の気持ちは民意とかけ離れています。姑息な手段で増税しなくても、当面する問題としてやるべきことは行政の無駄を廃し、特殊法人改革などで財源を確保することです。そうすれば、国民の暮らしはもっと楽になるはずです。