闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.483
2007年7月2日

 

◆横暴国会に終止符を

  やりたい放題、何でもありの安倍政権に民主政治の危うさ

 社会保険庁を解体する社会保険庁改革法案、そして天下り規制強化の国家公務員法改正案が参院で可決しました。民主党は問題あるこれらの法案に反対し、対案を提出するなどして中身の徹底審議を求めてきましたが、強行採決が続く中、自民党与党は時間がないからと公務員法改正では委員会採決を省略しての「中間報告」という方法で採決に及んだのです。これは激甚災害など、極めて緊急性が高いときにだけ執られる異例な方法です。法案を通すためには、こんな横暴なことまでやりはじめたのです。無責任な政治姿勢やたび重なる問答無用の強行採決、そして今回の中間報告。何でもありの国会運営は民意を踏みにじるものです。横暴国会を許す訳にはいきません。

 

●強行採決の陰で問題発覚

 国民年金の年金記録不明が5000万件、厚生年金は1430万件、船員年金36万件、本人が払ったのに何処かへ消えてしまった年金が2万件、基礎年金番号が複数ある人2万人、未請求で時効になって年金を貰えない人9万人、総額1155億円(99年から03年)等々。衆院で強引に法案を通過させた後に、これらの問題が次から次へと明るみにでて、時間が経つほどに社会保険庁の隠ぺい体質の根深さが明るみになっています。
 消えた年金の額は私たちの推計では9兆8000億円、しかし実際はいくらなのか。また、非効率な保養施設の運営、年金資金の不正流用などについて、満足のいく説明はなされていないのです。
 昨年、年金の流用問題について、自民党は「年金の保険料は給付以外に使わない」と宣言しました。しかし相変わらず福祉、事務費名目で予算案に組み込まれて無駄遣いされていたのです。3780億円が年金の掛け金から流用されていることが柳沢大臣の委員会答弁でも明らかになりました。
 年金法案には「福祉を増進」の名目でグリーンピアや観覧車、メリーゴーランドまで盛り込まれてきました。私たちが無駄遣いを指摘したことで、法案の「福祉を増進」は削除されましたが、今度はもっと使える範囲を広げた「必要な事業」を入れてきたのです。「何でも福祉法」から、さらにひどい「何でも流用法」となって復活させたのです。自由に使える年金資金の用途を絶やしたくない役人の悪知恵が透けてみえてきます。本当に必要なものは税金で措置すべきで、国民を騙すような法案を絶対に通してはならないのです。

 

●繰り返す「百年安心」の過ち

 年金の掛け金は国民が老後の安心を願って国に預けた資金です。社会保険庁が勝手に使った不正流用が5兆円だとか、長官が天下って退職金が5000万円だとか、自分たちで飲んだり食ったり、さらに消えた年金は自分たちの懐に入れてしまったのではなど、ひどい話しばかりです。これらをハッキリさせないで、小泉首相のように、ただ「改革だ」といって、年金問題が解決するのでしょうか。年金が生みだす問題にフタをする政府・自民党与党の改革法案は、3年前「百年安心の年金改革」と偽った誤りを、またも繰り返すことになるのです。

 

◆増税政策に怒り

 国民の大部分は6月からの増税に戸惑いを隠せないでいます。騙されたとの怒りを抱いている人もいます。給料、年金にかかる税制が変わり、定率減税の廃止と合わせて、結果的に大増税となったのです。住民税が2倍になった人もいます。私のもとにも「収入は減っているのに税金が倍になった」と、納税通知書と給与明細を付けて窮状を訴えてくる人もいます。情け容赦ない増税に「食うな生きるなと言っていることと同じ。美しい日本なんて、よく言えるものだ」と怒りをあらわにしています。
 年金受給者にも及んだ今回の増税は65歳以上に認められていた控除も次々と廃止され、年金所得控除も切り下げ、老齢者控除、非課税措置の廃止などで、信じられない負担増となっています。今後、国民年金、介護保険料も上がり、厳しい状況が続きます。「恒久」だった減税が、いつの間にか「暫定」減税にすり替えられてしまいました。政府も自民党税調も情け容赦のない課税が国民を苦しめていることをわかっていないのです。国民に負担を強いる前に、一向に改まらない税金の無駄遣いをやめさせること。しかし、今の自民党与党には不可能です。政権交代でしか実現できないのです。