国政リポートNo.481
◆時効撤廃の救済法案は 安倍政権の救済策 腐りきった社会保険庁 選挙で変えていくしかない年金制度
●益々不安が高まる年金制度 政府・自民党は当初「百年安心の年金制度だから大丈夫」と、民主党が指摘していた年金記録不明者の調査要求にも重い腰を上げようとしませんでした。ところが記録の不備がマスコミに流れ、そして内閣支持率の急低下に慌てて、一晩のうちに5000万件にのぼる調査報告をだしてきました。これによって5年の年金時効を撤廃する特例法案が提出されたのですが、国民の怒り、不満、不信の高まりは益々増しています。
●拙速すぎる救済法案通過 政府は5000万人にのぼる年金記録不明者がいることを認めながら、実質的な審議にも入らず、年金受給者を救済するという、名ばかりの特例法案を衆院で可決させてしまいました。民主党は、「これは救済ではなく、年金を貰えない受給者への補償である」との考えで、情報を明らかにし確かな運用を求めると同時に、責任の所在はすべて社保庁にあるとして、二度と不祥事が起きないよう、その原因を明らかにするための審議を厚生労働委員会に求めてきたのです。ところが「議論は出尽くした」と、僅か4時間程度の審議で強引に委員会を打ち切っての強行採決となってしまったのです。加えて、これも中身がいい加減な社保庁改革関連法案を通過させてしまいました。年金受給者への早急な補償が求められているとはいえ、これでは法案の採決が拙速すぎます。参院選を控えて、とにかく救済の形だけを整えて幕引きをはかろうとする姿は見え見えです。ズサンな管理のツケを国民に負わせる、これでは公的年金の不信が高まるばかりです。責任の所在をあいまいに、これだけ短期間のうちに、そして強引に重要法案を次々と可決させることは民主政治にとって好ましいことではありません。先の衆院選で、「郵政民営化、イエスかノーか」の二者択一選挙で、与党が圧倒的多数を占める最悪の状況がつくられてしまいました。これが、今回の強行採決の乱発につながっているのです。早期に改めなければなりません。
●抜け穴だらけの社保庁改革 ところで、信じられない社保庁のデタラメはどれくらいあるのでしょうか。 1、支給漏れが約22万件 2、該当者不明の保険料加入記録が約5000万件 3、住所不明などの徴収対象外(不在者)が約69万件 4、納入業者からの金品授受 5、甘いコスト意識で保険料徴収の経費が税金の6倍 6、物品購入の99%が随意契約 7、年金データの不正アクセスと外部流出 8、保険料の不正免除(意図的な納付率のごまかし) 9、出版物の監修、組織的な関与で監修料が5年で6億円。無駄遣いにいたっては全国の保養施設、グリーンピア、そしてスパウザ小田原など、採算性度外視の施設運営や二束三文の施設売却で国民からの預かり金に大きな損失をだしています。政府・自民党提出の社保庁改革法案では、社保庁が2010年1月に非公務員型の年金機構へ変わったとしても、問題の本質は改善されない仕組みになっているのです。
●信頼回復の民主党改革案 民主党は社保庁を解体する「歳入庁設置法案」と、社保庁の不祥事・不適切処理を是正するための2法案「年金保険料流用禁止法案」と「消えた年金記録被害者救済法案」の、年金信頼3法案を衆院に提出しました。歳入庁設置法案には、社保庁を解体して業務を国税庁に統合した上、歳入庁を内閣府の外局に設置すること、業務の引き継ぎについて基本計画を定めることなどを盛り込んでいます。 |