闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.466
2006年11月6日

 

国の政策は中小零細いじめ

弱者を救う政策を早急に進めて、消費拡大で元気な日本を

 経団連は大手企業126社の今冬のボーナスが前年比2・8%増の平均87万8千円となり2年連続で過去最高を更新すると発表しました。「景気回復に伴い企業業績の向上を反映したものだ」と言うのです。イザナギ景気を越えたと声高に謳う政府見解を後押しするような形となっています。

 

「景気回復」は政府の誤り

 一方、民間調査会社4社が厚生労働省の勤労統計を基に、従業員5人以上の企業の平均支給額を予測したところ、44万円程度となることがわかりました。この数字は大企業を含めたもので、中小零細企業にとってはもっと厳しい数字となっているはずです。収益確保のために人件費をカットする、賞与もまったく出せない、これが中小の現実です。
 このように格差の拡大が固定化し、税負担が消費を冷え込ませることを考えると景気は回復したとは言いきれません。また政府は失業率が改善してきたとも言っています。しかし、いまだに正社員の雇用は政府が言うほど進んでいないのが実態なのです。特に非正規社員の殆どが年収200万円以下と、所得格差は歴然となっています。

 

企業は健全な姿を取り戻せ

 金融のグローバル化に伴い、自己資本比率(BIS規制)を基に、銀行は経営の健全化を図るために国民の税金である公的資金の投入で不良債権処理を進め、ゼロ金利政策で史上最高の利益を上げました。その一方では、法人税を一銭も納めないという矛盾が生じています。その銀行が中小零細企業には、相変わらずの貸し渋り・貸しはがしを続けています。さらに消費者金融と密接な関係を保ち1〜2%の低利で消費者金融に資金を回し、グレーゾーンと言われる高金利の中で暴利を稼ぐ消費者金融のの手助けをしてきたのです。また、消費者金融は借り手の了承も得ずに、死んで借金を償わせる保険契約まで結んでいたのです。
 消費者金融の法外なグレーゾーン金利の問題が指摘されていましたが、ようやく廃止が決まりました。廃止に至るまで、政府は曖昧な態度をとり続けていましたが、それは消費者金融に都市銀行から75人、旧大蔵省、財務省から23人の事務次官経験者が天下っていたからです。これが消費者金融のグレーゾーン金利の廃止を長引かせていたのです。二転三転しながらも、民主党など野党からの指摘と国民の声、中小零細企業の怒りがグレーゾーンの廃止、特定高金利の猶予期間の廃止へとつながりました。まだ金利は高いとは言え、廃止は一応評価されるものだと思います。
 イザナギ景気の時は経済成長率10%、労働分配率も8%〜10%近い高い分配率がありました。利益配分も従業員、株主、そして経営者へと、3分割によって日本経済は企業の健全経営と共に発展を遂げてきたのです。しかし、今は企業が生き延びるためだとグローバル化が進み、勝ち組・負け組で表されるように成果主義だけが幅を利かせるようになってしまいました。これでは企業として、決して健全な姿とは言えません。

 

今こそ必要な政府系金融機関

 財政再建を言いながら小泉政権の5年間は国の借金は減るどころか却って増え続け、税金は上がる、所得は下がるでは個人消費は冷え込むばかりです。安倍政権になってから「再チャレンジ構想」を打ち出しましたが、まず中小零細企業が元気のでる支援策をとることです。そのためには、勝ち組だけに肩入れする大手都市銀行に対して、中小零細の命綱とも言える政府系金融機関の役割を見直すべきです。何でも廃止ありきでなく必要なものは残すべきなのです。
 かつて金融改革を進めた竹中平蔵さんは「川上の大手都市銀行、大手企業を救えばおのずから川下の中小零細企業も潤う」との主旨を述べていました。しかし、現実は資金力のあるものがより力をつけ、一方、下請けは安く使えと、川下は儲からない仕組みがつくり上げられてしまったのです。神奈川県内の10月の倒産は前月比2割増となっています。市場から資金調達できない中小零細企業の倒産を食い止めるためにも政府系金融の手助けが、今は必要なのです。

 

増税より弱きを助ける減税を

 国民の暮らしにとって、また中小零細企業経営にとって、息の根が止まるような増税は、国としても得策ではないはずです。それよりも社会保険庁の改廃を含め、税金の無駄遣いを徹底的になくしていくことです。
 今、教育の現場で弱者への「いじめ」が問題になっています。日本の産業を支えたのは中小零細です。その支えが失われようとしています。大企業は債権放棄で救済し、中小零細には市場からの淘汰もやむなしでは、結果的に弱者いじめと同じです。今、弱きを助ける減税策を政府は進めるべきなのです。

 

 

◇ 御 礼 ◇

 10月24日、みなさまのご協力のもと、3年ぶりの出版記念と日本再生フォーラム「徹底討論」を盛大に開催することができました。心から感謝申し上げます。
 改めて、政治は生活の現場であり、生活者、納税者のためにあることを確信致しました。今後とも引き続きご支援下さいますよう宜しくお願い申し上げます。