金正日独裁テロ国家が核実験を強行
制裁等の強い決意で臨め
安倍首相の中国、韓国訪問中に北朝鮮の核実験実施の情報が入りました。どのような事情があっても許されるべき行為ではありません。世界の平和と安定を脅かす行為には断固とした態度で臨むべきです。
北朝鮮は拉致、ミサイル、麻薬、偽札など、国際社会のルールに反する行為を平然と行ってきました。中・韓・ロの融和政策が北を甘やかすことになったのです。今まで進めてきた6カ国協議も、日朝ピョンヤン宣言もまったく意味をなさなくなり、憤りを禁じえません。日本政府はもっと怒るべきです。日本は戦後61年、非核3原則のもと、一貫して平和国家の道を歩み続けてきました。この際、改めて核を持たないことの貴さを北朝鮮はじめ世界に発信していかなければなりません。日本はでき得る限りの制裁措置を講じ、北への強い抗議の姿勢を示すべきです。
実感乏しい「景気回復」
安倍首相のもとで臨時国会が開幕。所信表明に対する各党の代表質問に続いて衆院では予算委員会が始まりました。外交問題としては、まず北朝鮮へのハッキリした政府の対応を示して欲しいと思います。また、今国会は内政問題として格差社会の是正も重要なテーマです。5年半の小泉改革で生じた歪みを是正するための国会にしていかなくてはなりません。
9月の日銀短観が発表されました。それによると景気を判断するDI(業況判断指数)は設備投資も堅調に推移し、今後も企業の増収増益が見込めて景気の回復傾向は維持される見通しであることが示されました。02年2月から始まった景気の拡大が10月で4年9ヶ月に達し、戦後最長を記録した「いざなぎ景気」(65年11月〜70年7月までの57ヶ月)に並び、これを追い越す勢いだというのです。しかし、いざなぎ景気を越えるといいながら国民にとっては実感乏しい景気回復となっているのが実情です。それは、企業がリストラや雇用カットによる賃金抑制などで利益を確保し高収益を上げているのに対し、決して労働賃金にまで利益分配がなされていないからなのです。
本来、景気を左右するのはGDP(国内総生産)の7割を占める個人消費です。しかし、それ程消費は伸びていません。それは勤労者の所得が増えず、将来不安が解消されていないからです。
従業員の所得総額を示す雇用者報酬は02年に263兆円あったものが05年には259兆円にまで減っています。所得の伸び率がいざなぎ景気では2・1倍、バブル景気(86年12月〜91年2月までの51ヶ月)では1・4倍に増えているのに対し、景気回復といいながら今回は2パーセントも下がっているのです。企業本位で暮らし置き去りの景気回復であることがハッキリわかります。
また、大企業の業況が回復しても、中小企業にはその実感が伴っていません。その中でも特に厳しい状況が続いて改善の兆しが見られないのが個人商店などの零細企業です。企業の99パーセント以上を占める中小零細企業が厳しい状況を強いられる中、就職状況も横ばいが続いて、政府の統計数字ほど雇用環境はよくなっていません。正社員も増えず、これらの状況を考え合わせれば景気が回復したとはとてもいえないのです。
「政治は生活そのもの」です。景気の実態を正確に把握して、国民生活の舵取りを判断していかないと大変なことになります。それなのに政府・与党は景気が回復したと、増税路線に走り出しているのです。
増税で生活不安が拡大
国民健康保険が払えない人たちが100万人になろうとしています。また05年度の生活保護世帯は105万世帯に迫る勢いで、前年度より4・3パーセント増となりました。51年の統計調査以来、100万世帯を突破したのは初めてで、それでも政府・与党は増税政策を続けているのです。
サラリーマンを狙い撃ちした定率減税の廃止に加え、年金受給者まで情け容赦のない増税が行われています。01年には140万円あった公的年金控除が昨年は120万円に減りました。そして48万円の高齢者特別控除、33万円の配偶者特別控除も廃止となって小泉政権の5年半で控除額が101万円も縮小してしまったのです。今年6月からは65歳以上の地方住民税が上がり、8月からは国民健康保険と介護保険料も引き上げられています。介護保険の見直しで、今まで費用の1割を負担していた貸し出しベッドがまるまる自費負担となったことで、3万件もの返却申し入れが出ているといいます。つまり、3万人の高齢者がベッドを利用できない状況になっているのです。そして今月1日からは70歳以上の高齢者医療費が3割に負担増となりました。収入の基準額が引き下げられた結果、税負担が3倍にも4倍にも増えてしまっています。
米国型のグローバルスタンダードが貧富の二極化現象を加速させました。財政が厳しいからと高齢者にまで過分な負担を強いています。このような状況をつくり出してきたのは5年半続いた小泉内閣であり自民党政権なのです。そのツケを高齢者などの弱者に負わせる政治は尋常ではありません。育った環境にもよるのでしょうか、増税を容認する首相の認識は、一般国民の生活実感とにズレが生じているとしか思えません。
一生懸命働けば、老後は安心して暮らせるはずが、金利ゼロ政策を続けたことで退職金など老後の貯えが目減りしています。年金も名ばかりとなってしまいました。格差社会の固定化も、社会保障の空洞化も根本から是正していかなければ日本は首相のいう「美しい国」とはなりえないのです。