闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.461
2006年8月28日

 

小泉首相の五年間 公約破りの大増税

 小泉首相は終戦記念日・八月十五日の靖国参拝を公約に掲げていました。参拝前の七月に行った日本経済新聞社の世論調査では「参拝すべき」が二八%、「すべきでない」が五三%と、反対意見が大半を占めていました。それが首相の参拝直後に行った調査(十八日〜二十日)では、「賛成」が四八%、「反対」が三六% と、賛否が一変してしまったのです。僅か、ひと月の間に、なぜ「賛成」が増えてしまったのでしょう。首相が公約を守ったからなのでしょうか。
 首相は、このひと月の間にマスコミを上手に使って、参拝に強く抗議をする中国、韓国、そして国内の反対派に対し「参拝は心の問題」とか、「いつ行っても批判ばかりする」などと抵抗勢力をつくり出し、参拝することは正しいことだとのイメージ戦略を展開し続けてきたのです。実はこの間、首相は世論の動きがどのように変化するかを慎重に調べさせながら、公約である十五日参拝の準備を着々と進めていたと言います。十五日の靖国参拝は、したたかに計算しつくされた上で、さらに国民の心の変化を巧みに読み取りながら政治利用されたものだったのです。
 首相は「自民党をぶっ潰す」と言って、自民党内の抵抗勢力をあぶり出し、また昨年は、郵政民営化に反対した議員を党内外ともに「悪者」と決めつけて、衆院戦で刺客を送るなど、国民受けを狙ってきました。そして今回、首相は靖国参拝を批判する中国、韓国を、「いつ行っても批判する」と、反対勢力を「悪者」と決めつけて、国民のナショナリズムをあおりながら、見事に参拝の賛否を逆転させてしまったのです。そうすることで、同時に首相の支持率も上げてしまったのです。「賛成」か「反対」か、まさに郵政民営化と同様、二者択一を問う手法は、したたかな小泉戦略そのものだったです。
 「自民党をぶっ潰す」や「靖国参拝」などのパフォーマンスに頼る派手な公約は、国民の心を扇動しながら、曲がりなりにも守ってきたかも知れません。しかし、それ以外の首相の五年間は、いったい何だったのでしょう。肝心の暮らしを楽にするための税制については「増税しない」と言いながら、まったく守られていないのです。百年安心の年金制度も、守られる状況にはなっていません。定率減税はなくなる、配偶者特別控除も縮小・廃止と、国民がわかりにくいところで、じわじわと増税政策を進めてきたのです。
 特に、今までほとんどゼロに近かった年金暮らしの高齢者の税金が実質増えています。六十五歳以上の地方住民税が上がり、これを基に算定する国民健康保険料、それに上乗せして徴収される介護保険料も引き上げられているのです。
 例えば、一人暮らしの七十六歳の男性では、非課税だった住民税が、年約六千円。そして国保と介護を合わせて月三千三百円の保険料は七千六百五十円にもなっています。これは、二〇〇四年の税制改正で高齢者控除の廃止、公的年金控除の縮小など、控除額の減少で課税対象となる所得が増えたために、収入は変わらないのに所得税や住民税だけが上がってしまったからなのです。
一般的な年金受給者世帯が優遇措置を受けられなくなって、保険料が数倍に跳ね上がった高齢者も出ているのです。その原因は、「増税しない」と公約しておきながら、実は分かりにくいところから税金をむしり取ろうとする、姑息な増税政策を進めた政府・自民党、小泉政権の五年間にあります。とにかく今、ものすごい増税になっているのです。
 景気が良くなったと言いながら、中小企業の資金繰りが厳しいとの声も相変わらずです。事実上、貸付制度資金が使いにくい状態になっています。通常、貸付契約は二年が経つと担保等の契約内容の見直しが行われます。土地が僅かながら値上がりをみせていることを考えれば、土地の担保価値も当然上がっていかなければならないはず。ところが「価値は下がっている」と、銀行からは追い担保(担保の追加)を要求される事例も聞こえています。形を変えた貸し渋りが続いているのです。政府に対し、実情にそぐわない点を指摘し改善を促していますが、中小企業の実態を調べて早急に手を打たないと、深刻な状態に陥ってしまいます。地域を歩いて、政府の言う「景気は良くなった」との声は何処にも聞かれないのです。
 大企業など、一部の企業は業績を回復していることは確かです。しかし今後、原油の高騰などで、原材料の値上げが価格にどのように転嫁されていくか、大幅な値上げも予測されています。そのようになれば、値上げができる企業、できない企業との格差は広がる一方です。本格的な景気回復はまだまだです。景気対策最優先で安心、安全な暮らし、誰もが納得できる税制度、融資制度を整えていかなくてはならないのです。

 

日本再生への道をさぐる「徹底討論会」10月24日開催

 来る十月二十四日、民主党政権を実現し、日本再生への道をさぐるための「徹底討論会」を行うことが決まりました。パネラーに民主党代表・小沢一郎氏、国民新党代表代行・亀井静香氏、連合会長・高木剛氏、コーディネーターにミッキー安川氏の参加を予定しています。奮ってご参加下さい。(●問合せ・田中慶秋事務所/045-871-7600)