国政リポートNo.454
2006年5月22日
中小企業の厳しい実態明らかに
企業が決算期を迎え、連日新聞やマスコミに「消費、投資が堅調。内需主導で景気回復。史上最高・夏のボーナス」などと報じられています。本当に業績は回復しているのでしょうか。中小企業の厳しい状況を表す数字はなかなか取り挙げられませんが、東京商工リサーチが行った四月の全国企業倒産状況で、倒産件数が前年同月比一四・九%増と、大型倒産が減る一方で小規模企業の倒産が増えていることがわかりました。また帝国データバンクの全国企業倒産集計でも、倒産は減るどころか三一・四%増となっているのです。
景気を下支えするのが中小企業。その中小企業の経営環境は厳しいままです。赤字決算が続くと銀行から融資を打ち切られると、売掛金を前倒しするなどして無理に黒字にしているところもあると言われています。政府は中小企業の厳しい実態を覆い隠し、一部企業の好業績を過大に取り挙げて、増税しやすい環境をつくり出しているのです。
自殺者は八年連続三万人を超え、その内、三分の一は中小企業経営者を中心とした経済苦によるものです。幸いにも死に至らず命をとりとめた人、また予備軍を加えたらかなりの数になると予測されます。小泉内閣になってからの五年間は改善の兆しすら見られません。私はこのような状態を危惧し、小渕内閣の時から「自殺者対策への取組みを急げ」と政府に提言してきました。政府・自民党もようやく本腰を入れ始めましたが遅過ぎます。自殺は国家の大損失です。自治体、病院、民間などが一体となったカウンセリング体制を整えるなど、予算措置を講じた早期の自殺対策が必要なのです。
大企業と中小下請け企業間の取引状況を調べた公取委の調査結果も発表されました。これによると二〇〇五年度の「下請けいじめ」への勧告・警告件数が前年度に比べて倍以上にも膨れ上がり、四千二十五件となっているのです。大企業は「下請けいじめ」や正規雇用を控えることで最高益を確保しています。また国際競争力をつけるためだと小泉内閣の執ってきたグローバルスタンダードは、実は米国至上主義であり、結果的に格差社会をつくり出してしまったのです。
競争社会の歪みを正せ
企業間、個人間、地域間、すべてに競争をあおり、弱者切り捨てで日本経済は良くなるどころか却って社会の歪みが表れ、「儲かれば何でもあり」の規範の乱れ、倫理観の欠如がいたるところに出始めています。格差社会を是正するための対策が必要なのです。
そのためには「モノ」、「カネ」から「人」を中心とした投資へと「人間を大切にする」仕組みの構築を急がなければならないのです。
「官から民へ、中央から地方へ」という小泉首相の改革も官僚主導の政治はそのままに、却って悪くなっています。郵政改革は競争原理の導入で地方の郵便局の減少、サービスの低下が現実のものとなっています。道路公団の民営化も無駄な道路がつくり続けられることになりました。過疎地と言われるところに多くの問題点が出始める一方、借金も増え続け、予算の無駄遣いも相変わらず改めることができずにいるのです。
国会ではいま、教育改革、国民投票法、共謀罪などの重要案件が審議されています。高齢者に負担を強いる医療制度改革が衆院で強行採決されてしまいましたが、審議時間もそこそこに政府・自民の提出法案は何でも通ってしまう、このような状況は民主政治の崩壊につながる危険性があるのです。
米国一辺倒で日本の安全・安心が守られるのでしょうか。中、韓、露などとの領土、海底資源、経済問題、協調関係は崩れようとしています。米国を基軸にしながらもアジア外交に力を注ぐべきです。靖国問題も相手国の立場を考えていかなければなりません。
本来、政治の役割は日本国民が自由で平等で、安心して暮らせる社会を築くことです。それなのに小泉首相は格差社会をつくりだし、国際協調も危うくしてしまいました。小泉政治の五年間を国民一人ひとりが厳しく受け止めていかなければならないのです。
日本が変わるために
五月十三日、大勢の支援者の皆さんにお集まり頂き、『田中けいしゅう連合後援会総会』を開催。お招きした渡部恒三国対委員長から国政についてのお話を頂きました。
渡部恒三国対委員長 民主主義政治が皆さんの一票で動くことが大事だ。それには政権担当能力を持った政党が二つなければならない。日本の政治で一番の間違いは、政権政党が自民党しかなかったことだ。それが政・財・官の癒着、税金の無駄遣いにつながった。
小泉内閣の五年間でどう変わったか。最近、理由なく金儲けをしている。その代表がホリエモンだった。これを自民党幹事長が「私の息子だ、弟だ」と昨年の選挙戦にだしておいて、拘置所に入ったら「何の関係もありません」と。これは通用する話ではない。
戦後六十年、資源のない狭い日本がここまできたのは汗を流して一生懸命働いたからだ。自由主義経済がここまできたのは市場経済の中で何の責任もなく落ちこぼれる人、負ける人が病気になったとき医者にかかれるように、就職できるように、老後は年金で安心して暮らせるようにしてきたからだ。「負けたものは死んでいけ」と言うなら国会議員も総理大臣もいらない。自由主義経済の中の歪みを直すのが政治だ。格差の是正、年金安心、病気になったら安心して医者にかかれる、また職場で安心して働けるようにしていかなければいけない」。次期選挙戦の勝利を誓い『総会』の幕を閉じました。
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