闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.449
2006年3月13日

 

特別会計廃止で借金返済、増税も不要

 財政中心の来年度予算案(七十九兆六千八百六十億円)が衆院を通過しました。景気対策にはほど遠いものとなっています。税制面では配偶者特別控除の廃止、年金、介護保険、雇用保険の引き上げ、定率減税の縮小・廃止、六十五歳以上の高齢者の所得控除の廃止など、増税がめじろ押しで国民の暮らしは厳しさを増しています。また、一部の企業業績がよくなってきたとはいえ、勝ち組・負け組の格差社会が景気回復の足を引っ張ることになりかねません。日銀は量的緩和の解除によって、デフレからインフレ傾向へと日本経済を誘導しようとしていますが、末端まで浸透してしまった景気の冷え込みを解決させられるかは疑問です。
 来年度の一般会計予算案は前年比三パーセント減、新規国債発行(借金)も二十九兆九千七百億円余で十二・八パーセント減となり政府目標の三十兆円を切るものになっていますが、国会でのチェック機能が働かない特別会計(特会)に関しては、二百兆円以上の予算がつけられたままになっているのです.特会は単年度決算でないために累計で四百兆円以上のカネがだぶついています。これが「母屋でお粥をすすり、離れですき焼きを食っている」といわしめた特会の実態なのです。
 当初、特会予算は一般会計予算よりも少なく、二十年前の一九八五年には、予算規模で一般会計の一・七倍に過ぎませんでした。それが年々拡大を続け、今では歳出ベースで約五倍にも膨れ上がってしまったのです。
 役人が肥大化させた特会予算は、彼らが管理する省庁の権限の下で特殊法人・公益法人、さらには財団、独立行政法人にまで資金が流されています。これらの資金の殆どは、国会のチェックが及ばないことを良いことに彼らが意のままに動かせる「貴重な資金源」となっているのです。年金や雇用保険の積立金が、補助金や委託費として供給され無駄に使われていることは新聞、テレビ等、報道で既に明らかになっています。しかしこれも氷山の一角に過ぎません。民主党の要請で衆院調査局が特殊、公益の四千法人を対象にした調査結果で、国庫からの補助金も年間五・五兆円に達していることが分かりました。(国政リポート四四七で掲載)この状況は地方でも同じです。財政が厳しいといわれながら役人の大盤振る舞いが繰り返されているのです。これらが財政の悪化を招いていることは確かです。そして特会資金の流れた先は、いずれも役人の天下り先として確保されているところばかりなのです。
 政府・自民与党は道路、年金財源など三十一ある特会への切り込みを始めていますが、族議員のしがらみも断ち切れず対応が十分ではありません。各省庁の抜け道、隠し予算がこれだけ肥大化してしまうと自民与党にとっては手のつけようがないのが本音なのです。財務省主計局は「特会の削減余地は限定的だ」と、官僚の抵抗も激しいものがあります。財政の健全化のためにも透明性とチェック機能が働く一般会計に統合するか、またはスクラップアンドビルドで徹底的な見直しが必要になっているのです。
 特会を廃止し、そしてだぶついた特会の余剰金を借金の返済に充て、特殊・公益法人の天下りを徹底的に改革すれば消費税を始めとする増税政策を根本から改善することが可能となるのです。

効率的な企業経営と新・会社法

 五月から新・会社法が施行されます。今まで株式会社の設立資本金に最低一千万円が必要でしたが、多くの企業参入を目的として、一円での起業が可能となりました。チャレンジしやすい反面、企業の信頼性を考えると実質、資本金を必要としないことで安易な起業につながらないか心配されます。
 起業家の育成は国家の経済政策として大切なことですが、会社は株主・社員、取引先、そして世間の三方が丸くおさまって初めて成り立つもの。今の日本は社会規範が乱れ、何かおかしくなっています。起業家自身にもモラルと責任の自覚が欲しいものです。