国政リポートNo.448
2006年2月27日
衆院予算委で、民主党は四点セット(ライブドア、耐震偽装、牛肉輸入、防衛施設庁)を争点に、政府・自民の政治姿勢をただしていかなければならないはずが、送金メール問題で追及の勢いが薄れようとしています。確証の乏しいメールに関する衆院予算委での質問が軽率であったことは否めません。
是々非々で臨め 追及の手は緩めるな
私は昨年の予算委で、政府の景気認識の間違いをただしたことがあります。政府の景気回復データと実際の景気認識にズレがあることを証明するため、緊急アンケートを行った上で質問に立ったのです。十分な調査があってこそ質問ができるのです。まず確証を取り、リサーチを行った上で証拠に基づいた質問をしていかなければならないのです。
確証のないメールに飛び付いた予算委での質問は民主党の信頼を損なうことになりました。国民に今までの経緯についての十分な説明と謝罪が必要です。策を弄し、逃げ場をつくって誤魔化そうとしていては信頼を失うだけです。送金メールが誤りであれば素直に謝るべきで、その上で問題の本質である政治とカネの関係をただしていくことが民主党の信頼回復には必要なのです。
自分のカネを引き出すにも証明が必要なほど銀行は厳しくなりました。個人情報保護法で、資金の流れを国会の場で追及しようにも、権力を持たない野党には限界があります。さらに先の衆院選で大敗を喫した民主党は大幅に国会での質疑時間を減らしてしまい、疑惑解明には痛手となっています。権力を持たない民主党が疑わしきカネの流れを解明するために、ただひとつ残された方法が国政調査権の発動なのです。
ライブドアの問題が政界にどのようなカネの流れをつくったのか、白黒つくまで追及の手を緩めてはならないのです。カネの流れがあったと疑われる口座はプライバシーの保護で明らかにできません。国政調査権を行使すればカネの流れ、架空名義など、疑いの持たれることへの疑念が払拭できます。自民党も疑念を晴らすためには是非国政調査権の下で納得できる答えをだして欲しいと思うのです。
小泉政権が進めるグローバル化の中で、日本は政治も経済も、そして社会秩序まで、何かおかしくなってきています。最大与党になった自民党が、国家権力を背景に何でもありの政治を進めていけば、この状況はさらに悪化してしまいます。そのようにならないために歯止めをかけるのが野党の役目でもあるのです。そのためにも、国政調査権の発動は譲れないところです。
ライブドアの粉飾決算や証券取引法違反は、社会規範を無視し実態のないマネーゲームによって引き起こされたものです。これをサポートしてきたのが金融界であり、都銀や農林中金までが不健全な投資を応援してきたのです。長期のゼロ金利政策が国民の資産の流れを投資へと向かわせました。小泉総理、竹中大臣が「貯蓄から投資へ」と、国民の投資熱を煽る政策を執ってきたことが過度にマネーゲームを加速させたのです。
自民党は先の衆院選で堀江氏を若者のヒーローに持ち上げ、武部幹事長は「我が息子、我が弟です」と言ってみたり、竹中大臣が応援に馳せ参じたことは、選挙戦を通して市場を欺き、株価操作を試みたライブドアの片棒を担いだと同じことなのです。党本部で記者会見までやったことは、国民にとって自民党公認と思っても不思議ではありません。自民党の軽率な行為が政治不審をつのらせる原因ともなってしまったのです。
耐震偽装問題を巡って、ヒューザーが国交省へ働きかけたとされる疑惑について、自民党伊藤公介議員の弁明が衆院政倫審で行われました。圧力、口利きは一切なかったと否定していますが、千六百万円のカネの流れは不透明なまま、弁明も矛盾点だらけです。疑惑がなければ証人喚問の求めに応じるべきです。しかし、これもライブドアの国政調査権同様、拒否の態度を崩していません。
一億円が橋本元総理に渡ったとされる日歯連の政治献金事件も、いまだウヤムヤのままです。ライブドアもヒューザーも、政治とカネについて解決の方向が見えないのです。
米国産牛肉輸入では、米国で新たに特定危険部位の除去記録がないなど、ずさんな管理実態が発覚し、改めて食の安全を脅かす原因となっています。政府の対応の甘さも追及していかなければなりません。
また防衛施設庁の官製談合、その背景をつくりだしている役人の天下り問題、これらは税金の無駄遣いにつながっています。防衛施設庁の問題は氷山の一角です。すべてにこのような仕組みがつくられているのです。
民主党はメール問題で追及の手を緩めてはいけないのです。国家国民のため、是々非々で「四点セット」に臨む覚悟が必要なのです。
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