闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.604
2012年2月13日

 

         「政治の信頼失う政局絡みの国会」




 2兆5300億円余の第4次補正予算案が成立。4次補正予算は震災によって被った2重ローンや中小企業の資金繰りなど、復興事業を後押しする重要な予算となっています。加えて、一刻も早い復興を成し遂げられるようにと、被災地に寄り添いながら、前例にとらわれることなく、果断に復興事業を実施するための組織として復興庁が創設され、いよいよ始動します。
 復興庁は各省庁の一段上にランクされ、ワンストップサービスで対応できるように取り組んでいこうとするものです。このような重要案件が今後も数多く控えているのに、国会ではこれらの法案審議が十分に機能せず、逆に政局絡みに問題をすり替えようとする野党の思惑が感じられてなりません。



 第4次補正予算案の成立で復興事業が加速していきます。その過程において国会では東日本大震災をはじめ、円高・景気対策、年金、外交などの議論が満足にされていたでしょうか。
 民主党は2014年4月に8%、15年に10%の増税案を示し、それまでは消費税は上げないとしています。それなのに消費税が直ぐにでも上がるような議論ばかりが先行し、政策よりもむしろ政局絡みで国会運営が展開されているように思います。
 年金、医療、介護などの社会保障の議論のなかで消費税をどのような形で財源にしていくか、その前提にたって景気対策を進めなければならないはず。そして国会議員の定数と歳費の削減、公務員改革、さらに税金のムダ遣いの元凶となっている特殊法人、独立行政法人の改革を、真っ先に行っていかなければなりません。
 今国会では、大臣答弁の失言や言葉尻ばかりを捉えて本来の審議が進まずに時間だけが費やされる委員会が目立ち、国民の政治に対する信頼を著しく損ねる結果となっています。このことは、特に消費税、沖縄基地、外交・防衛問題の質議で顕著に表れていると思います。
 今は国難を克服するとき。与野党力をあわせて大震災からの復興と疲弊する日本の景気・経済、中小企業の活力を復活し、国民の期待に応える政治が必要なのです。信頼回復に全力をあげて取り組んでいかなければなりません。

 

●国益を重視したTPP事前協議

 TPP(環大平洋経済連携協定)の事前協議の初会合がワシントンで始まりました。ここで重要な点は、日本の文化、伝統、そして国益を守ることを前提とした主張を徹底的に行っていくことです。このことが今後のT PP参加の是非につながっていきます。しかし、残念なのは今の議論が、「貿易が自由化したら大変だ」と、懸念される想定だけが余りにも先走っているように思います。
 円高による為替レート、デフレ、株安など経済環境が悪化し、モノづくりを中心の大企業は勿論、中小企業に至るまで国内産業は軒並み減収減益となり、厳しさが増しています。このような状況であるからこそ、TPP の参加問題は避けて通れないところまできているのです。
 対象分野のモノづくり、農産物、医療、保険など、守るべきは当然守っていかなければなりません。その上で皆保険制度など、日本が築き上げてきた良き制度は参加国に見習ってもらうように努力すべきで、参加協議もせずに最初から消極姿勢で臨んだら、それこそ足もとを見透かされ国益を損なうことになってしまいます。
「言うは易し、行なうは難し」と言われるように、多くの困難が待ち受けていると思います。日本の経済発展を考えていくならば、還太平洋を中心とするアジアの経済圏がEU経済圏などに遅れをとらずに発展していく施策が必要で、今や経済大国の中国も日本の動きを注視しています。
 アジア大平洋地域には全世界の6割の人口が集中し大きなマーケットになっていきます。世界の潮流に乗り遅れないためにも、またTPPへの参加を不利なものにしないためにも、大局的見地にたった経済圏の構築を日本が率先してその中心に位置していかなければならないのです。