闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.598
2011年11月21日

 

             3次補正で復興本格化


 東日本大震災から8ヶ月が経過。後半国会を迎えての最重要課題は震災からの復興を実現するための12兆1000億円余の3次補正の成立です。これから本格的な寒さを迎えます。予算執行で被災地のみなさんには一刻も早く安心をお届けしなくてはなりません。

 

●復興予算は有効に

 補正の中には震災による中小企業、商店などの事業者が抱える2重債務に対し、その債権を支援機構が銀行や農漁協から買い取る「2重ローン救済法案」が含まれ、生活の基盤となる事業再建を支援することになっています。
 その他にも、産業の空洞化対策、再生可能エネルギーの促進、民間活力の活用、市街地整備事業の実施、被災者の住宅確保、三陸縦貫道などのインフラ整備、学校施設の災害復旧、使い勝手のよい復興交付金も含まれ、復興基本法に沿った内容になっています。
 予算がより迅速に執行できるように国が中心となる総合特区も、また地方自治体に任せる特区も、被災地からの要請を第一として策定されたもので、私のもとに届いた要望などもしっかりと組み込まれています。
 ただ、予算が決まっても雪の季節は作業効率も悪くなり、予算の使い残しも懸念されます。現場主義でタイムリーに対処していかなければなりません。
 震災からの復旧、復興事業を中心に組まれた補正は1、2、3次と合わせて約19兆円。復興財源に充てられる国の借金は、ツケを後世に残さないためにも、そしてムダのない予算にするためにも徹底的な財政の見直しが必要となります。そのために行政のムダを洗い出す事業仕分けと、今回から新たに政策仕分けも行われています。仕分け結果は来年度の概算要求に反映されていくことになりますが、ムダ遣いについては会計検査院の調査報告で、緊急経済対策として全国の自治体に2〜3年かけて使える基金の執行状況調査でも実際に使われたのは40%と半分以下。結果的にムダ遣いにつながったケースが指摘されたばかりです。
 公務員官舎の建て替えも、直ぐに必要としないものは凍結をするなど、徹底的な見直しが必要になっています。

 

●守るべき主張は明確に

 TPP交渉参加について、反対・慎重派からの懸念されることばかりが問題視されていますが、参加もせずに反対を言い続け、逃げてばかりいては国際国家日本の役割は果たせません。ハワイでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で野田総理は交渉参加を明確に打ち出し、続いて行なわれたインドネシア・バリ島でのASEAN(東南アジア諸国連合)+3の首脳会議でも、総理は「東アジアでの貿易投資自由化への検討を加速させたい」と、アジア太平洋戦略への思いを述べています。民主主義国家である以上は、まず交渉に参加して日本の立場を主張することです。
 アメリカはパンの食文化。これに対し日本の食文化はコメが中心です。農家の高齢化が進み、若者、後継者が途絶え、衰退することのないようにコメ文化を守る交渉が必要です。合わせて国内でも成長性と競争力で農業再生を進めていかなければなりません。また、同様に国民皆保険も堅持していくことが大切です。日本が築き上げてきたよき制度は、他国にとってもよき制度になるはず。それを理解させることも大切な交渉力であり外交政策です。
 金融についても、日本では都市銀行はインターナショナルとしてのと役割があり、信金・信組などの地方銀行は中小企業や地元商店街との強い絆を保つ役割があります。99%以上の中小企業が日本経済を支えていることを認識し、世界の潮流の中で、日本独自の中小企業金融政策はしっかり守っていかなければなりません。
 過剰な規制や保護政策は却って国力を衰えさせてしまいます。また、一国平和主義では世界の中で生きていくことはできません。TPPをはじめとする国際交流の中に積極的に参加してアメリカ主導ではなく、日本が主体的立場を確保していくくらいの強い覚悟が必要になっています。躊躇していては日本の弱みをさらけ出すばかりです。
 アジア地域は地球の総人口の約半分、面積も半分を占めています。アジアの影響力は今後増々大きくなっていくことは確かです。だからこそ、アメリカは戦略的にアジア経済への取り込みを加速させているのです。今こそ、日本はアジア太平洋地域のリーダーとして、その資質を発揮していく時。このような時にこそ、総理は信頼されるアジアのリーダーとして、強い決断力のもとで交渉参加を進めて欲しいと思います。