闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.595
2011年10月10日

 

          「税負担少ない復興財源確保を」




●20年、30年先を見据えて

 野田総理の誕生となった臨時国会が閉会。総理は東日本大震災以来、大変厳しい経済環境の中で復興に向けて国政に取り組んでいくことになりました。
 私は被災地の道路、河川、港などのインフラ整備、放射能除染などに、補正予算の復興財源には約20兆円が必要と見込んでいます。国民に法人税や所得税などの臨時増税をお願いするとしても、税外収入として国保有の株式売却、財投、特別会計、朝霞の公務員宿舎、地方の合同庁舎の建て替え凍結など、税負担を少なくするための徹底した見直しが必要になっていると思います。
 風評被害、デフレ、円高で苦境に立たされる中小企業はじめ、モノづくり産業に対する資金繰り支援にも十分な手立てを講じていかなければなりません。
 脱・原発がいわれていますが、不安定なエネルギー供給は日本経済に深刻な影響をもたらします。現時点で太陽光、風力などの再生可能エネルギーですべてを賄うことは困難です。0か100かの脱・原発論ではなく、20、30年後を見据えた減・原発によって、大きな目標を掲げていくことが必要です。
 また、TPP(環太平洋パートナーシップ)への参加を急がなければ産業の空洞化が急加速し、日本の輸出産業は壊滅的状態となってしまいます。
 食料自給率については40%と、先進国中最低です。食料安保の観点からは生産量を増やし、当面は自給率を70%台に、というのが私の考えです。大切にしていかなけれがならない農・漁業ですが、株式化を含めTPP参加へは反対意見が根強くいわれています。しかし、高齢化が進む農・漁業を継続していくための後継者問題を考えれば株式化も一つの形であることは確かです。
 株主、また働き手として歩合制を加味するなど、どのようにするかの知恵を出し合っていくことが、これからの時代の流れには必要だと思います。

 

●スポーツ基本法成立後、初の体育の日

 10日は体育の日。子どもからお年寄りまで各地から元気な声が聞こえてきます。健全なスポーツの育成に対し、1961年にスポーツ振興法が成立しました。当初のスポーツ振興法は、学校教育を通じてスポーツの復旧をめざすとする行政側の立場にたったものでした。その後、健康志向の高まりやプロスポーツの発展など、スポーツ環境の変化によって成人になってもスポーツに参加する人たちが増え、従来の振興法では合わない点が多くなり、見直しの必要性が生じていました。
 私は以前からスポーツ省の設置を含め、スポーツのもつ新たな可能性を引き出すためのスポーツ立国戦略の重要性を訴え、スポーツ議員連盟を立ち上げてこの問題に取り組んできました。
 この流れの中、昨年8月に民主党スポーツ議員連盟の総会を開催。スポーツ振興のための基本法改定に向けて会議を重ね、自民党など他党へも呼びかけを行って6月17日、超党派による新たなスポーツ基本法が全会一致で可決、成立しました。
 基本法の前文には「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことはすべての人々の権利」と明記し、ユネスコの体育スポーツ国際憲章で定められているスポーツ権をすべての人に認める内容にもなっています。

 

●外交面で大きな力発揮

 私が法案の策定に携わり50年ぶりに見直しが行われたスポーツ基本法ですが、特に法案の策定には健康スポーツ、青少年・高齢者スポーツなどを通じて地域スポーツの振興と競技スポーツの強化が「国の責務」と位置づけ、さらに外交面からも国際交流に貢献できるものと捉えています。
 女子サッカーで、なでしこジャパンの快挙は東日本大震災で憔悴しきった被災地や、多くの国民に夢と希望を与え、国際的にも高い評価を得るなど、外交面からも注目されることとなりました。
 私が今も精進を重ねる柔道はロシアのプーチン首相が道場を構える程と聞きます。また、フランスのシラク前大統領の相撲好きも有名な話です。オリンピックは勿論のこと、スポーツは政治を超えて世界を一つにする大きな力を持っていることは確かです。スポーツの強化、振興によって世界で競い合うアスリートを育成することは、国力を高めるための国家戦略の一つに位置づけても間違いではないと思っています。