闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.530
2009年4月20日

 

「大幅減税の景気対策を」


 景気対策をどうするか、一番の関心事です。政府は将来にツケを回す赤字国債(借金)で選挙目当てのバラマキに等しい補正予算を組んでいますが、肝心の本予算は約88兆6000億円。その中身は借金の返済に充てる金利が約20兆、人件費や地方交付金に約50兆、肝心の景気対策としては残りの15兆円程度しか使えないことになります。100年に1度の経済危機に、これで景気が上向くか心配です。
 GDPの2%に当たる10兆円分を定率減税の復活や所得税、法人税など税制面で捻出すべきと考えます。そして外需依存の経済から内需拡大策に変える。ところが政府の今の政策では生活を維持するのが精一杯ではないでしょうか。景気浮揚のために消費にカネが回るか疑問です。特に裾野の広い基幹産業では減産が続き、3連休は当たり前。下請け、孫請けの稼働率については50%を切っています。厳しい経済実態をみれば消費にカネを回す大幅減税こそが景気対策につながります。

 

● 実態に即した経済対策

 かねてからエネルギー、環境、農林業、介護と、あらゆる分野を網羅する100万人の雇用がお互いをリンクし合い、内需拡大につながると考えています。
 資源が乏しく輸入に頼る日本にとってエネルギー問題は深刻です。産油国の国内情勢で供給が不安定になり危機に晒されて、何か生じれば即、原油価格に跳ね返り流通コストにも影響がでてきます。
 エネルギー、環境問題では、今後化石燃料中心から安定供給と環境対応型を中心に、太陽光発電によるクリーンエネルギー政策を広めていく必要があります。余剰電力は買い上げ制度ができて使いやすくもなっています。開発技術は世界トップレベルにあるとは言え、ドイツ、アメリカの巻き返しは強力です。今後、いかに国を挙げての後押しで特化させていくかが大きな課題となってきます。
 環境対応型のエコカーの買い替えについて、政府案は13年経過車が対象になっていますが、車検を2回程度経過した車、6年から8年くらいに対象車の期間を縮めないと現実には買い替え促進にはなりません。もっと実態に即したかたちでの対応が経済効果を高めていくのです。

 

 

●インフラ整備の公共投資

 インフラの整備が遅れています。特に社会的弱者である高齢者、障がい者への対応は不十分です。歩道の整備、段差の解消、そして点字ブロック(視覚障がい者誘導用)の歩道敷設に至っては施工率は一桁台です。交差点で点字ブロックが途切れていたら、それは事故を奨励しているようなもの。以前から要望が強いにもかかわらず思うように工事が進んでいない、これもまた現実です。早急な整備が必要です。
 台風、地震多発国日本は災害に対応していかなければなりません。例えば、電柱が倒れたら道路を遮断し緊急時の交通に支障をきたします。電気、電話、水道、ガスなどを埋設して共同溝によるライフライン整備を、この機会に一挙に進めるべきです。これによって地上ではバリアフリー化が進み、安心で安全な歩道を完成させることができます。インフラ整備事業が雇用につながることは間違いありません。
 日本は国土の7割が山林です。この山林を戦後63年間放置し続けて荒れ放題です。これを農業、林業とを合わせ、改めて環境整備を含めた事業展開を進めるべきです。農業なら食糧自給率を70%台まで回復させる。そして、今までの守りの農業から攻めの農業へと方向転換していく。また、農家が抱える大きな問題である後継者についての支援策。さらに食の安全については食糧安保の観点から国が積極的にサポートし、必要に応じて戸別補償をしながら消費者が安心できる仕組みをつくりだしていくことです。

 

 

●中長期的視野の景気対策

 山林を甦らせることによって保水能力を高め、河川の氾濫や山崩れを防ぐことができます。田畑の整備で自然環境を甦らせることもできます。ここにも新たな雇用をつくりだすことが可能です。
 林業だけで生活することは非常に困難です。昔は子どもが生まれたときに植林し、50年、60年後に伐採して清算する、いわば孫の代からお年寄りへとつながる生産サイクルがありました。このシステムをもう一度つくりだす。そのために国が強力に後押ししていく必要があります。
 年金、医療、介護をワンパッケージにした社会保障政策が必要です。「100年安心の年金」と言った厚労大臣の無責任答弁は現実味が乏しく、安心が真実ではないことがわかりました。年金資金の運用も失敗しています。施設の売却、社会保険庁のムダも半端なものではありません。ムダを含めて抜本的な見直しが必要です。健全な長寿社会であるために介護政策は最重点課題となります。業として30万人の雇用をつくりだしていきます。
 投機など、短期で高収入を得るような目先の金儲けばかりに走らず、コツコツ積み重ねて利益をあげる、この考え方に基づいてエネルギー、環境、福祉とをリンクさせながら、日本の新たな産業を開いていくことが、将来にわたり持続的な景気対策につながるものと考えています。