闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.523
2009年1月12日

 

「甦れ 日本の底力」

 昨年は、年初来原油が高騰を続け、7月には史上最高値をつけました。これに関連して投機マネーが穀物相場を押し上げて、食料品が軒並み値上がりし家庭の台所を直撃しました。加えて政府が3月までにはすべて照合すると公約していた「宙に浮いた年金」は解決の目処すら未だにたたず、却って「消された年金」など、新たな不安材料が噴出した年でもありました。  
 また、老後の不安が増す中、リーマンショックによるアメリカ発の金融危機が日本経済に大津波となって押し寄せ、雇用問題に深刻な影を落とすなど、大変な1年だったと思います。  
 100年に1度といわれる世界大恐慌に政府・自民党与党は「景気対策最優先」と臨時国会を延長し、急ぐはずの2次補正を先送りしてしまいました。この間に「派遣切り、雇い止め」など、雇用環境は悪くなるばかり。厳しい年の瀬を凌ぐために日比谷公園には民間などによる「派遣村」が設置され、地方自治体も素早い対応をみせた反面、政府の対応は遅れてばかりでした。国民の信任を得ずに誕生した3人目の麻生総理の下、定額給付金が生活救済なのか景気対策なのかも決められず、決断力不足の総理に景気回復を託すことは困難です。この状況は総理の著しい支持率低下でもハッキリしました。即刻解散すべきなのです。

 

●救国の原点はモノづくり

 雲ひとつない元旦の日の出は、明るい未来を予感させる素晴らしいものでした。まさに日が昇るように、日本の景気、経済をこれ以上落ち込ませてはいけません。「100年に1度」といわれる災いを転じ、しっかりとした「国家100年の計」を示して、今年こそ「力強い日本の幕開け元年」にしていかなければならないのです。
 小泉・竹中路線が執り続けてきたアメリカ追従のグローバルスタンダード。カネがカネを生む実態経済無視の金融至上主義は、日本経済を間違った方向へと扇動してしまいました。それが今回の金融危機によってアメリカ一極主義の限界が明らかにされたのです。経済危機に終わりを告げるため、資源の乏しい日本がとるべき道を考え直す時です。原材料を輸入し、それを加工して付加価値を高め、国内で使うものと輸出するものとに振り分ける。投機に頼らず額に汗して働く「モノづくり」の原点を、激動の今こそ見直す好機と捉えるべきなのです。

 

 

●共助の精神が国を再生

 ペットボトルのキャップが開発途上国の子どもをポリオの感染から救うことを前回のリポートで報告しました。私の事務所では過酷な環境で生きる小さな命を救うためにキャップの回収を続けていますが、要は、お互いに助け合う気持ちが大切だということです。ところが、グローバルスタンダードには「儲かれば何でもあり」の利己的考えが根底に巣くい、この結果、お互いの助け合い、支え合いの心が希薄になって弱肉強食、格差社会が顕在化してきてしまったのです。
 今年こそ健常者も障がい者も、若者もお年寄りも、忘れかけていた共に生きる社会をつくりあげていかなければなりません。
 安心して暮らすことのできる共助・共生の社会、その原点は人づくりにあります。人づくりの根幹は教育であり、特に「三つ子の魂百までも」といわれるように、幼児期を大切にする育児、そして教育政策こそが不可欠になってきます。国の活力、国民の元気を取り戻すには安心して暮らせる確かな政策を実践していくことこそ大事なのです。

 

 

●新たな技術力で甦る日本

 国の安全保障のひとつは軍事力に頼る安全保障です。しかし、力によって人間の心を押さえつけることはできません。もうひとつは食糧の安全保障です。食糧危機を乗り越えるために国民の同意を得ることは難しくありません。今、食糧生産がカロリーベースで39%。これを70%程度にまで引き上げることが必要になっています。先進国では100%近く、またはそれ以上が確保されています。休耕田を見直すなど、食糧増産政策は雇用の拡大にもつながっていきます。
 日本は国土の7割が山林です。災害、環境対策を考える上で森林の枝下ろしは欠かせません。その枝もバイオに使う、あるいは山林の整備によって自然のダムもできてきます。ところが、林野が放置されてきたことで雨水が土中に浸透せず、鉄砲水となって洪水を引き起こしたり、花粉症などによる被害がおきているのです。対策が急務です。
 日本の高い技術力は「自然界」と向き合うことで新たな産業を掘り起こします。尖閣諸島、竹島問題など中途半端にしてきたことで難しい問題も内包していますが、海洋国家日本としての海底資源の開発も進めるべきです。この国を築き上げてきた先人の知恵を活かし、地震や災害などの厳しい立地条件をむしろ好条件と捉え、公共性の高い事業にも取り組むことです。そうすれば日本の未来は力強く甦るはずです。