闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

『改革者』2002年4月号特別インタビュー「21世紀の日本が求める民主社会主義」

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■現実的な代替エネルギーの追求

 エネルギーも大切な問題だ。京都議定書が1997年に、地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択された。これを契機に、環境問題でさらに踏み込んだ議論がなされるようになった。そのときに、例えば二酸化炭素を排出しない、代替エネルギー、クリーンエネルギーヘの転換を行わなければならないという問題がどうしても出てくる。太陽エネルギーも風力エネルギーも、もちろん大事だ。しかし実用的な面からは、やはり原子力エネルギーの利用は避けては通れない。ところが、原子力エネルギーに、民主党のなかにもアレルギーを持つ人が、まだいるという現状がある。
 しかし日本のエネルギー政策は、国民生活、企業活動と密接に関わっている。だとすれば、現実的な政策をしっかりと持っていなければならない。私たち民主党が政権をとるということを前提とするならば、その議論も避けては通れない。
 もう一つは教育の問題が挙げられる。今の教育環境は昔と違っている。例えば、学校はこの4月から、完全に週休2日制になる。そうなると、子供達を取り巻く環境がどうなるのか、家庭教育や社会教育、それらの改革を行わなければならないはずだ。中高一貫教育の問題もある。また欧米に比べて日本の大学教育が、ある意味で質が低下していると言われている。これらの問題を総合的に解決するための、政策提言も必要だ。

■政研フォーラムとの連携が強み

 私たちは民社党時代から、行政改革を主張してきた。企業においても、生産性向上運動を進めてきたわけだ。民間企業の生産性向上運動は否応なく定着し、国際競争力の向上に大きく貢献した。しかし納税者にご苦労をかける一方で、税金を使う行政側は何一つ改革していない。改革させる為にも、私たちはしっかりしたビジョンを示していかなくてはならない。しかし民主党には官公労出身の人達もいるので、市町村合併、広域行政推進などについて、行政改革推進に一本化された政策は、現状では民主党には生まれにくいような気がしている。
 今の民主党は、若く理想に燃えた、当選1、2回の新人議員が多く活躍している。しかし彼らには、現場感覚とは、若干の隔たりがあることは、残念ながら否定できない。民社協会の人達は、現場の代表者という形で、地に足が着いた活動をしてきている。そういう点では現場主義と言っていい。この考え方が民主党の主流になったとき、初めて自民党に代わるべき政権の受け皿になれるのではないか。民社協会・友愛連絡会の推薦議員にはそういう若い人達もいる。少なくとも今、56名になったメンバーは、一枚岩となって、民主党のなかで発展的な起爆剤となるような役割を果たしたいと思っている。幸いにして、政研フォーラムの先生方が今、グループとしてまとまっておられる。そのなかには、加藤寛先生のように政府税制調査会会長をやっておられた先生もいれば、堀江湛先生のように、第8次選挙制度審議会で、現行の小選挙区比例代表並立制への選挙制度改革を答申された先生もいる。この強力なグループと連携を取ってやっていけるのが、我々「政研21」の強みである。

     「政策研究・フォーラム21世紀」の主張

       ●日本の経済再生
       ●社会保障制度の確立(高齢化社会への対応・少子化対策)
       ●個性とゆとり教育、国力を上げる教育改革
       ●国の再編、中央から地方へ、官から民へ
       ●危機意識の欠如・一国平和主義からの脱却
       ●環境問題への取り組み
       ●憲法改正

■問われる政治のリーダーシップ

 また、今日本で一番憂慮すべき問題は、産業の空洞化現象だ。空洞化が大変なことは、理屈ではわかっていても、役所の人間は、その実態をわかっていない。中小企業の問題でも、言葉ではわかったようなことを言っているが、現場の状況をわかっていない。私たちの中には、現場主義を積み重ねてきた人達が多い。昔、我々は「雑巾がけ」といって、現場を歩けと言われた。現場をきちんと把握していないと、国民から信頼を得ることは不可能だ。
 米国では、9・11テロで、自国の経済がおかしくなってはいけないと、与野党一体となって何とか景気を良くしようと努力している。それを国民が信頼し、一体となって米国経済を支えようとしている。2月18日に、ブッシュ大統領が訪日したが、日本の不良債権処理の遅れが、米国の景気回復の足を引っ張らないようにと、小泉首相は首脳会談でクギをさされているではないか。
 今、円安、株安、債券安のトリプル安が基調となっている。これを解決するのは、やはり政治のリーダーシップをおいて他にはない。ブッシュ大統領は、就任してまだ1年経っていないのに、強いリーダーシップを発揮している。小泉さんは「まだ10ケ月しか経っていない」と言っているが、逆にいえば、もう10ケ月も経っている。日本の首相が仮に2年サイクルで替わるとしても、もう半分しかない。日米の危機感の違いがハッキリ表れている。
 10ケ月も経っていれば、具体的な政策の実行段階に入らないといけないのに、、、、。ロシアはプーチン大統領になる前、経済はマイナス成長だった。それが若いプーチン大統領になって1年足らずでプラス成長に転じている。リーダーシップがどれほど重要かということだ。
 小泉首相は特殊法人改革でも、本丸に手を付けないで、「できるところから手をつける」と言っているが、実際は何もしていないのが現実だ。掛け声だけでどこにも、リーダーシップが見えてこない

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