闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

委員会議事録

●総務委員会質疑 平成15年3月6日

○田中(慶)委員 私は、民主党の田中慶秋です。
 今般、外形標準課税の問題について、大臣に、その趣旨を含めて質問いたしたいと思います。
 御承知のように、今、日本の経済は、バブル崩壊後、大変な厳しい状態になっているわけであります。きょうも参議院の予算委員会で、経済政策や厳しい中小企業の実態等々を含めて、経済産業大臣初め関係閣僚の皆さん方が、本当にこの厳しい実態を国を挙げて何とかしなければいけない、こんなことを述べられておりました。
 日本の企業の九〇%以上が中小企業であります。そして、今般、資本金一億円以上のところに外形標準課税を導入される。このこと自体が、私は、税という考え方からすると、これだけ厳しい環境にあるときになぜ今税金を取るのか。本当に日本国民がこのデフレに悩まされている、こういう状態のときに改めて外形標準をかけるということ自体が、企業そのものの活動に大きく影響するだろう。
 大臣も御承知のように、中小企業の今の実態として、失業者が大体三百五十万、倒産が二万件、自殺者が三万二千人を超えている。これは、少なくとも経済によることの原因が大きいわけであります。こういうときに改めて外形標準をかけるというのは日本の経済をさらに悪化することになるだろう、このように考えておりますけれども、大臣の考え方をお伺いします。

○片山国務大臣 今、田中委員お話しのように、きょうはもう、一日参議院の予算委員会でいわば総括的質疑が行われたわけでありまして、言われるように、中小企業の問題も、相当質問があり、答弁がございました。日本に企業が五百万社ある、九九・七%が中小企業だ、経済産業省の中小企業の区分は業種ごとにばらばらですけれども、そういう話もありまして、私も、そういう中小企業の厳しい環境、状況は私なりに認識いたしております。
 そういうときに何で外形標準か、こういうことでございますけれども、外形標準については、もう政府税調でもあるいは各党の税調の関係でも、それはずっと議論してまいりまして、党の税調からいいますともう五年目なんですね。それで毎回、速やかなる導入を図ろう、こういうことなんだけれども、景気が悪いからもう少しと、こういうことでずっと延ばしてまいりました。
 今回もまさに田中委員が言われるような議論があったわけでありますけれども、我々は、これによって税をふやそうとか、増税ではないし増収でもない、税収中立で、平成三年度から十二年度までの十年間の平均を単位にしまして、法人事業税が昔は七兆円あったんですよ、ところが十四年度なんかは三兆四千億なんですね、半分になっている、その中の、いろいろな議論があったんですが、最終的には、資本金一億円超のいわば大法人を対象に四分の一だけ外形標準を入れさせてもらおう、しかもそれは平成十六年度からだ、こういうことにして大方の御了承をいただいたわけであります。
 そういう意味では、時期の議論は確かにありますけれども、私らは、それによるメリットもあるんで、この際、しかも大法人だけ、四分の一なら、これはこれとしてやはり意味があるんではなかろうかと。これはもう委員に釈迦に説法ですけれども、昭和二十五年、シャウプ勧告以来の五十三年に及ぶそういう関係者のいわば悲願でございまして、ずうっと議論してまいったわけで、私は、地方税は、やはり応益性、応益課税であるべきだ、こういうふうに思っておりまして、法人事業税がたまたま法人税と同じになったのは、これはもう大変議論があったんです、法人事業税をつくるときに。それがたまたま法人税と似たものになったばかりに、まあこういうことになったわけでございまして、いろいろな御意見はありますけれども、ぜひそこは御理解を賜れれば大変ありがたいと思っております。

○田中(慶)委員 限られた時間でありますんで、あなたとやっている時間帯が、時間が永遠にあるんだったら幾らでもやりますけれども、そうではない。
 税というものの仕組みから考えて、あなたは今、取れるところから取ろうという発想ですよ。ということは、少なくとも、この外形標準課税を含めて、厳しい今の経済実態を踏まえながら、税の応能などということでありますけれども、なぜ今までできなかったかというと、やはり厳しい経済環境なんです。
 きのうも塩川大臣が言っていたでしょう、減税、増税の問題を含めてそれは国会で決めるんだしということを言いながら、少なくとも今の経済、デフレを何とか脱出しなきゃいけないと。脱出するために、このようなあらゆる増税やあらゆる今の環境を含めて、中小企業は本当に苦しんでいるんですよ。貸し渋り、貸しはがしだけじゃない、あらゆること、土地が下がって、そして担保価値がなくなってきている、融資もできない状態で、さらにこの課税をすると、一社当たり大体もくろみとして百万円以上増税になるんですよ。あなたは増税じゃないと言っておりますけれども、これはあくまでも増税ですよ。まして、グロスで人件費までかかるんじゃないですか。
 今、日本の経済はどういう状態になっているんですか。少なくとも今、中国へ全部、ある面では企業ごと行っているでしょう。それは、税金が高いから、固定資産税が高いから、いろいろな規制があるからですよ。産業の空洞化を、一方の経済産業省ではそれを躍起になってとめようとしているけれども、一方では増税していたら、とまるわけないでしょう。ですから、このことはあくまでも、景気がいま少し見通しがちゃんとついて、政府見通しだって、今、二〇〇八年まで、ある面ではこれがずっと落ちていって、景気の見通しがつかないじゃないですか。
 こういうことも含めて、今の状態で外形標準課税は絶対にやるべきではない。あらゆる環境の悪いところに増税したらもっと悪くなるんですよ。あなたの言っていることは取る側の発想ですよ。答弁してください。

○片山国務大臣 いや、だから中小企業は外しているんですよ。一億円超の法人だけ、しかも四分の一ですよ。全法人について外形標準にするなら委員のような議論もあるいは成り立ちますよ。そうじゃないんですよ。基本的には今の税制なんですよ、部分的な手直しなんで。それは中小企業のことを十分考えているんですよ。しかし一方で、地方財政、都道府県の税収を安定させる、公平にやってもらうという必要があるんですよ。
 天下に有名な大法人が、一銭も、何年も納めずにやっているというようなことが公平とは言えないと私は思いますよ。都道府県のいろいろな行政サービスを受けながら、見返りは一銭も出していないんですよ。それは何でかというと、これは、連結や何かいろいろなことをやってそのグループなり会社が赤字なら、今は所得課税なんだから、かけないんですから。
 だから、中小企業は今までのままなんですよ。一億円を超える大法人についてだけ四分の一ですよ。そういう外形標準でございますから、ぜひ御理解を賜りたい。
 しかも、税収中立ですよ。平成三年―十二年度、それはきっちり計算してやっているんですから。

○田中(慶)委員 冗談じゃない。税収中立というのは、減税をし増税するから税収中立だ。そんな発想じゃないですよ。一億円が大企業ですか。そうじゃないですよ。
 まして、今、人件費まで今回はこの外形標準の中にかかるんですよ。アメリカでも、もうミシガン州では、この人件費を単一事業税の中で廃止をしている。ドイツでも、営業税の中で、少なくても人件費部分の廃止をしている。フランスでは、給与総合課税というところ、これも廃止している。
 日本は、今この厳しいときになぜ増税しなきゃいけないんですか。あなたは税収中立と言っておりますけれども、減税するから増税する、だから中立でしょう。こんな発想じゃないですよ。今の経済実態を、あなた自身あるいは役所自身が余りにも知らな過ぎる。知っていれば、こんなこと出るわけがないですよ。どれだけ苦しんでいるんですか、税を納める側。まして、少しは利益が出たと思うと銀行はまた、今までの融資に対する金利を上乗せを要求しているんじゃないですか。こういうことを含めて、今の政府初め役人は現場のことを何も知っていない。
 何も私は、未来永劫にこの外形標準課税をやっちゃいけないと言っているんじゃないんですよ。こういう今の時期に、役所は矛盾していることをやっているんですよ。一方において、デフレ対策だ、経済対策だ、あらゆること、いろいろなことをやろうとしている、一方において、こういうところに税金をかけたならばどうなっていくんですか。方向は同じ方向に全部、日本の方向は国家戦略として、今、日本の経済をしっかりさせる、そのための国家戦略として同じ方向に全部向けないと私はいけないと思いますよ。
 大臣の言っているのは、片方は同じ方向でやり、片方では足を引っ張ることですよ。税収中立と同じことですよ、あなたが言っているのは。増税をする、減税をする、だから税収中立だと。片方は一生懸命景気対策をやる、片方は足を引っ張る、こういうことですから。その辺を含めてしっかりと、今の状態であなたが幾らどう言おうとしても、現場は悲鳴を上げているんですから。そのことを含めて、この外形標準課税はまだ時期尚早であると思いますよ。

○片山国務大臣 私が税収中立と言っているのは、この仕組みを変えることによって、大法人の四分の一だけ、増収はしないと言っているんですよ。今、三兆四千億か五千億の現在の法人事業税は、そのうちのほとんど八分の一ですけれども、それによって増収はしないと言っているんです。
 それは、委員の言われるように、中を見ると、税金を今まで払っていないところも少し払ってもらう、今まで払っている税収が少しまかる、こういうことはありますよ、プラスマイナスは。しかし、トータルでは、この外形標準課税によって法人事業税をふやそうなんということは一つも思っていない。
 我々は、安定化してこれを公平な税制にしたいので、中小企業法人は、中小企業については今委員の言われるようなお話ですから、まず大法人について、やはり公平の観点から少しは負担してもらってもいいではないか、こういうことで導入したわけでございまして、我々も経済の実態、わかっていますよ。私は岡山県ですが、帰ったらいっぱい相談に来ますよ。よくわかっています。
 そういうことを考えながら、今回の長い間の議論の一つの結論を出したわけでございまして、ぜひ、最終的にお決めになるのは国会でございますので、大いに議論していただければありがたいと思います。

○田中(慶)委員 あなた、消費税のときを見てください。最初三%でしょう。財源が少ないといって五%でしょう。同じなんですよ。日本の今までの税のあり方を見てください。今度、一億円がそのうちだんだん五千万になり一千万になっていく、こういう状態。過去の税のあり方、過去の日本のシステムを見てください。同じことでしょう。
 だから、私は、少なくても今の景気対策を最優先でやって、将来、未来永劫にこのことを言っているわけじゃないんですよ。日本が今どんな立場にいるんですか。今から十年前なり、あのときの状態であればまだともかくも、今、それこそバブルが崩壊した後に大変な状態になってきているわけですから。
 こういうことを含めて、地方自治体だって、この議会からの請願の中に、いいですか、この外形標準課税は反対だという請願が地方議会からも出ているんですよ。本来ならば、これは地方財源のことですから、促進するべきでしょう。現実問題としてこういうことが出てきている。このことも承知でしょうか、答弁してください。

○片山国務大臣 消費税は大分前、三パーになり、五パーになったんですが、あのときは、御承知のように、先行で法人税、所得税の大減税をやったんですよ。今税収にある程度穴があいてきているのは、まだそのときの後遺症がずっと残っているということでございます。
 それから、今、一億円超の法人について四分の一だけ導入したら将来必ず拡大するではないかと。それは国会がお決めになるんですよ、国権の最高機関で。我々は、当面はこの結果を十分見守りたい、こういうふうに思っております。
 それから、この外形標準に反対の請願というのは、あれは新潟県かどこかでございまして、後で新潟の知事さんや議長さんが来られまして、大分釈明がございました。
 しかし、これは全国知事会や議長会の御議論を田中委員も御承知だと思いますけれども、もう、とにかく決着をしてくれ、方向を出してくれと、強いあれだったですよ。全国知事会でどれだけの議論があったかということは、ぜひわかっていただきたい、こういうふうに思います。

○田中(慶)委員 それは、地方自治体は財源という形で、今全体的に、少なくても法人税もダウンしているわけですから、このことになるでしょう。
 しかし、どうですか、固定資産税を見てくださいよ。十分の一に地価が下がっていても、固定資産税を下げていますか。若干の見直しはしていますよ、はっきり言って。ところが、本来の、一番最初の固定資産税は少なくてもスライドと同じですから、土地が上がれば上がる、下がれば下がる。ところが、今十分の一に下がっても、せいぜい一割程度しか、ことしも約四千億ぐらいですか、そうなると一割程度の見直ししかない、これが実態なんですよ。だから、一回取ってしまうと、そのことは絶対見直しをしない。
 まして大臣は、国会が決めることですと。それは当然ですよ。だから私は、ここで反対をしているし、今時期尚早だと言っているわけであります。
 特に、やはり問題は、ボタンというのはかけ違いすると失敗するんですよ、大臣。あなた、背広を裏返しにして町の真ん中を歩けますか。そうでしょう。
 やはり、そのことを含めて、これから国際競争を含めて、日本が国家戦略として日本の経済はどうあるべきかと今やろうとしている最中にこんな外形標準をかけたら、次々と、税の応能負担だということで、税金を取ることしか考えていないじゃないですか。もう少し元気を出すようなことを考えて、黙って税金を課税することじゃなくして、税金が入るようなことをみんなで考えりゃいいじゃないですか。私はそう思いますよ。答弁してください。

○片山国務大臣 今委員から固定資産税の話がありましたが、固定資産税というのは、過去はこれはばらばらだったんですね、本当に。これは、日本で高いところ、安いところが入り組んで相当差があるというのは、やはり問題なんですよ。そこで、地価公示の、公示価格の七割を一つの評価の目安にしようと。その結果、ある程度そろうことになりました。現在も、本当はそのままの課税標準をかければいいんですけれども、七割を頭打ちにしています。実際は七割を上限にして、その中で調整をやっているんですよ。今までは、正直に言いまして、大都市が安くて地方が高かったんですよ。だから、そういう意味では今一種の調整過程なんです、まだ。だから、大都市にとってみれば、それは前よりは幾らか高くなっているという感じはあると思いますよ。地方にとっては安くなっているんですよ。
 そういうことでございまして、これが市町村の根幹的な、もう十分御承知だと思いますけれども、基幹的な税制なんですね。そこで地価が下がっていますから、来年度は四千五百億も下がるんですよ、固定資産税が。悲鳴を上げているんです、全国の市長会、町村会が。これはさらなる調整として、今上限を七割にしていますけれども、それを六割とか五割五分には絶対しないでくれ、こういう強い議論と、しかし一方では、まけてくれまけてくれという大議論があって、そこで我々もいろいろな努力をいたしましたし、政府税調その他で現在のような結論になったわけでございまして、ぜひそれは御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
 何度も言いますけれども、大きな国家戦略が私は必要だと思います。税も、グローバルということは、だんだんよその国にそろえていく、こういうことでございまして、そういう意味では、法人税も所得税も、法人事業税を含めまして、もう四〇%になっているんですから。昔は五五%や六〇%に近かった法人税が、今四〇で、この外形標準をやることによってまた下がるわけですよ、下がってくるわけですよ。まあ一億円超で四分の一ですから一%ぐらいしか下がりませんけれども、これで何%か下がってくるわけです。もし仮に全部やれば、三パーか四パーか。
 そういうことで、委員の言われることは私もよくわかっておりますが、今回は税収中立でございまして、法人事業税全部の八分の一でございまして、国の税全部からいうと何十分の一でございますので、これによって都道府県の税収が安定してくる、公平になる、こういうメリットもぜひお考えいただきたい、こういうふうに思います。

○田中(慶)委員 それは、幾ら大臣がそう言っても私は納得していないんですよ。あなたは取る側、私は取られる側の発想で物を言っているわけですから。
 やらなきゃいけないことは、この国の、日本の経済がどうなっているのか、物づくりがどうなっているのか。ある面では、一億円、資本金。工場を見てくださいよ。空洞化という名のもとに、全部、中国を初めとする海外に企業進出していってごらんなさいよ。だから日本には失業者が余計ふえているでしょう。こういうことを含めて、あなたは税率が安くなったと言っても、現実に国際競争に勝てるような状態に今ないんですよ、はっきり言って。それは、収入が少ない。それはあなた、経済政策の失敗から税の収入が少なくなったことを棚に上げて、そしてこういうところで、課税をする、こんな理由、絶対に成り立たないですよ。みんなで、総意で、税収がふえるような経済対策、景気対策、このことに努力しないで、次から次といろいろな形で。見てくださいよ、景気が悪いから、あるいは年金の問題にしても、いろいろなことを含めて皆さんが自己防衛をするから消費が拡大しないんでしょう。そういう一つの政策をしておきながら、片方では増税をする。こんなことはだれが見ても納得しないですよ。
 あなたたちは、一つの審議会とか、あるいは政府・与党だとか、そういう取る側の発想ですよ。役所の発想でやめてくださいよ。役所というところは役に立つ所なんですよ。そうですよ。今のあなたの発想は役に立たない所ですから、はっきり申し上げて。そんな形でいじめちゃいかぬですよ、納税者を。
 いや、本当ですよ。みんなで景気をよくして税金が納められるような環境をつくるべきだろうと思うんですよ。あなたは税金を取ることしか考えていない。地方は税収がおっこっているけれども、しかし、固定資産税で何とか、あの引っ込みを見てごらんなさい、固定資産税を中心としているところはそんなに税の落ち込みがない。むしろ県の方が、どうしても法人税を中心とするから税収が非常に厳しい。だから、みんなで景気をよくすれば県の地方税だって上がるんですよ。そのことを本来ならば政策としてちゃんとすべき国が、それをしないで増税路線を歩むということは決してよくないことだと思いますよ。答弁してください。

○片山国務大臣 田中委員の言われることで大変共感するところもあるんですよ。やはり総合的な経済対策をやって景気回復を図る、デフレを阻止するということは私も必要だと思います。今懸命な努力を、予算委員会で総理初めみんな答弁いたしておりますけれども、そういう景気回復の努力は今後とも私は続けていく必要があると思いますしね。
 それから、やはり企業立地の空洞化が今地方を直撃しているんですね。昔は、地方のいいところへ来てくれたんですよ。今は、企業は地方も一応念頭に置きますけれども、トータルでは海外の方がいいということで、中国を初めそういうところに立地している。そういう意味での立地の空洞化が起こっていますね。
 それは、私は、税も一つ幾らか原因があると思いますけれども、やはりトータルで高コストな国ですから、日本はまだ。高コスト構造でございまして、規制やいろいろなことがまだまだ大変な国ですから、やはり日本から出ていく企業にも残ってもらう、海外からの企業に来てもらうような総合的な魅力をこれからみんなで考えていく必要があるんではなかろうか、私もそういうふうに思っております。
 それで、何度も外形標準のことを言いますけれども、これは増税じゃありませんし、仮に大変きついところがあれば一定の条件のもとで六年間の徴収猶予、六年間待ってもよろしい、こういうことも考えておりますし、それは、それぞれの地域の知事さんの御意見も聞きながら、我々としては、これが中小企業やそれぞれの地域の、あるいはいろいろな立地企業にとっていいような方向になるような運用もあわせて考えてまいりたいと思っております。

○田中(慶)委員 あなたの言っていることは矛盾しているんですよ。いいですか。高コスト構造、今回の外形標準課税には人件費も入っているんですよ。高コスト構造が、ある面では企業誘致ができない。高コスト構造が、海外に企業進出をするんですよ。こういうことを含めながら、言っていることと今やろうとしていることは矛盾していますよ、いや本当に。まして、経済戦略会議で言っていることは、税金取ろうなんて、新たな増税路線じゃないですよ、はっきり申し上げて。日本のこれからの経済をどうしていくか、経済戦略会議でいろいろなことを。
 では、なぜ、経済再生機構あるいは産業再生法案、今ごろ国が出してくるんですか。最重要法案として出してきているんでしょう。それぐらい厳しい経済だからドッキングさせよう、いろいろなことを含めてやろうとしているときに、ここで増税路線を歩んできたらば、そんなことは現実に、あなたが言っていることは矛盾していますよ、はっきり申し上げて。取ろうという発想ですから、そういうことで言うかもわかりませんけれども、高コスト構造、この何物でもない、その原因を誘発しますよ。必ずそれが、日本のこれから物づくりを初めとする産業が沈滞しますから。
 私たちは、それを憂えて、今何とかこれを体質改善をしよう、政府が出している経済産業機構の問題も、前向きに、いろいろなことを含めてどうしたらと。しかし、これも、少なくても、日本の経済をあるいは日本のこれからの産業をしっかりとさせるためには、こんな議論を、いろいろな勉強会をしている最中に、あそこに増税路線なんて一言も書いてないですよ。経済産業含めて、この戦略会議の中で、そんなこと一言も出ていないでしょう。答弁してください。

○片山国務大臣 今委員が言われたのが経済財政諮問会議なら、経済財政諮問会議は外形標準課税を入れようということを意思決定しております。それから、産業再生機構は、これはまた釈迦に説法になりますけれども、生き残れる企業は不採算部門や伸びない部門を外してもらって、伸びるところだけでやってもらおうという、そのための買い取りをやる、こういうことですね。だから、これも総合的な経済政策の一環でございましてね。
 そこで、その企業体の、外形標準に何をとるかというと、いろいろな議論があるんですよ。一番合理的な議論は、学識経験者に言わせると付加価値だと言うんです、付加価値。法人の事業活動、最も正確になるのは付加価値だと。付加価値は、結局どう分けるかというと、一部は人件費に行ったり、一部は配当に行ったり、一部は利子に行ったり、そうでしょう、一部は利益として残ったり。
 だから、我々が対象にしているのは人件費じゃないですよ。付加価値全部なんですよ。ただ、人件費については、委員みたいな御心配がありますから、もし七割を超える割合を人件費が持つとすれば、七割で頭打ちにします、こういういわゆる控除制度、人件費の控除制度を中に組み込んでおりまして、相当今まで、委員、議論して考えてきているんですよ。ひとつそこはぜひ総合的に御理解を賜りたいと思います。

○田中(慶)委員 時間がありませんけれども、少なくとも、産業再生法というものをなぜつくらなきゃいけないのか。その原因というものは、あなたも御存じだと思いますけれども、やはり、これだけ日本の経済、産業が死んでいるからですよ。そして、その原因というのは、あなたも知っているでしょう、今言っているように、人件費が高いということも一つの原因なんですよ。付加価値の中で人件費のウエートというのは大きいんですから、それをくくりとして外形標準課税をしたら、また全体的に負担が多くなるんですよ。だから、私は、今回の外形標準課税というものは、時期尚早でありますし、今やっちゃいかぬと、日本がこれから、中小企業を含めて全部影響が出てくるんですから。
 日本の経済がどうなってもいいというんだったらば、それでいいでしょう。しかし、そうじゃない。何とかみんなで知恵を出し、何とかしようと言っている先に、こんなことをやっちゃいかぬですよ。経済財政諮問会議というのは税金を取ることも考えているけれども……

○遠藤委員長 そろそろ終結してください。

○田中(慶)委員 はい。
 ですけれども、経済戦略会議には増税路線は入っていないんですよ。ちゃんとそのことをしっかりと踏まえて答弁してください。

○遠藤委員長 次に、安住淳君。(田中(慶)委員「最後、答弁してくださいよ」と呼ぶ)
 安住君、指名しました。

○安住委員 大臣、答弁したいんじゃないですか。(片山国務大臣「いやいや、今委員長が言われましたから」と呼ぶ)
 では、今のことを答弁してください、大臣。

○片山国務大臣 何度も言いますが、外形標準課税は増税じゃございません。増税路線ではございません。地方の要望にこたえて、都道府県の税収を公平にして安定化して性格を明確にするものでございまして、ただ、委員の言われるような御懸念も私もわかりますので、十分御意見は心して受けとめさせていただきます。

衆議院ホームページより転載