闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

委員会議事録

●経済産業委員会質疑 平成15年3月19日

○田中(慶)委員 民主党の田中でございます。
 まず冒頭に、今回の再生法の機構の担当責任者というものは、総理ですよね。

○谷垣国務大臣 これは、法的には主務大臣という形で規定されておりまして、それは、内閣総理大臣それから財務大臣、経済産業大臣、このお三方が主務大臣ということになっております。

○田中(慶)委員 そこで、今日本の経済が大変窮地に陥っているわけでありますけれども、今回の法案の審議に当たって、少なくても責任者の一人であります総理がここでその質疑に加わらないということ自体が、私は、今の経済に対する認識、あるいは厳しい再生法の必要性等々について、そんなに感じていないんじゃないかな、こう思うんです。
 本来ならば、政府と議会という民主主義のあり方について、やはりこの再生法の必要性なりあるいは機構の必要性等々について言うならば、総理みずからが出てきて、そして自分のこの問題についての取り組み、考え方等を議会に要請するべきだろうと思うし、また議会は、少なくても今の総理のこのようなやり方は、ある面では議会軽視じゃないかな、こんなふうに思っているわけです。
 そのことについて、まあ谷垣さんに言ってもしようがないんですけれども、あなたは、総理の任命を受けて来ているわけでありますから、内閣府として、どう思いますか。

○谷垣国務大臣 小泉総理は、決して、この機構を、あるいは審議を通じてこの委員会を軽視するというお気持ちは、全くないものと思います。むしろ、今の経済状況の中で、少しでも早く立ち上げて、この機構の期待される役割を果たすべきだというふうにお考えだろうと思います。
 私は、総理から特命大臣として、総理のいわば調整権みたいなものを、総理をお助けして走り回れという仕事をいただいておりますので、役不足かもしれませんが、一生懸命務めさせていただきたい、また委員会におきましても懸命に議論をさせていただきたい、こう思っております。

○田中(慶)委員 谷垣さんのその考え方は評価をしますけれども、ただ、総理のスタンスとして、実はきのうも本会議が開かれましたね。そして、イラクの問題で十一時からブッシュ大統領があのような声明を出されて、マスコミについてはNHKの取材に、一生懸命テレビに映っているんですよ、考え方が。それならば、近々で開かれているこの本会議場で同じことを話をしても私はいいんだと思うんです。議会制民主主義ということを重要視するならば、本当に緊急かつ、そして今みずからが国民に対して、ラジオ、テレビを通じてアピールをしている、そのことが逆に議会側には何も伝わってこない、この感覚が、私は議会軽視じゃないかと。
 今回の法律も同じように、日本の経済が大変危機に陥っている、そのための再生機構としてこれを提案する、この考え方はいいんですけれども、現実に総理の政治感覚というものがどうしても、谷垣さんは総理大臣じゃないんですから、あなたにそう言ってもしようがないけれども、しかし、あなたは将来ある人ですから、谷垣さんにしても、そこにいる平沼さんにしても、私はやはり、政治家としてそのことをしっかり問いたいわけです。
 やはり議会制民主主義というものを感じた場合、もっとそういうことをしっかりと議論をしながら、日本の国家目標なりあるいはビジョンというものを明確に打ち出すべきだろう、こんなふうに思っています。こんなことはイデオロギーでも何でもない、与野党でもないんです、はっきり申し上げて。日本の経済をどうするか、政治家であるならばみんなで憂えながら、しっかりとしなければいけない。そのことに、はっきり申し上げて、総理の声が全然伝わってこないんです。
 あなたが命を受けてやっているということであるから、最初にそのことを申し上げておきたい。総理にしっかりと言っておいてくださいよ。

○谷垣国務大臣 余り長々とお答えすると越権にもなりますので、委員のその問題意識はしっかり受けとめさせていただきたいと思っております。

○田中(慶)委員 機構法に入る前に、まず経済再生の問題について若干伺って、それから機構法に入っていきたいと思います。
 特に今回は、二つの法案の審議をさせていただいているわけでありますけれども、しかし、一方においては、中小企業を含めて今回の再生支援といいますか、よくこういう法律、もう次から次へとつくるんですね。一生懸命やろうということはわかりますけれども、中小企業の人たちはそれを喜んでいるんでしょうか。私はそうじゃないと思うんです。
 この機構法は何のためにできたのか。民事再生法では三年も五年もかかる、だからスピードを持ってやろうとする。しかし、今度の中小企業の再生支援の問題等についても、いろいろな制度がいっぱいある、私ははっきり申し上げて、現行法でもできるんじゃないかなと思っている。しかし今回、この協議会なりをつくったり計画をつくったりいろいろなことをするわけでありますけれども、そういう中で、中途半端な部分がたくさんある。
 本来ならば、こういう再生支援の法律がなくても、現実問題として、この協議会あるいは協議会に類するような問題等については積極的にやっておかなければいけないことですね。例えば、相談や助言の問題や取引の政策金融等のあっせんなどというのは、デーリーワークでやっておかなければいけないことでしょう。しかし、あえてこういう枠組みをつくって、協議会だとかいうことでやろうとしている。こういう問題を含めて、私は、屋上屋を重ねることになるんじゃないかな、こんな心配をしておりますけれども、どうでしょうか。

○平沼国務大臣 一九九九年にいわゆる産業再生法が成立をしました。そして、内容的にも十分いろいろ対応できるものがあるにもかかわらず、何でまた改正をするのか、また再生支援協議会というのをつくってそれを法律的に位置づける、そういうことをしなくてもいいんではないか、そういう御指摘だと私は思っています。
 一九九九年にできたときには、選択と集中をしてそして企業の再生を図ろう、こういうことでやってまいりました。しかし残念ながら、二〇〇一年ごろから一時持ち直した状況もさらに厳しい状況になってきて、そこで、やはり新たな対応をやらなければならない、こういう形で、今度の改正法案については、四つの点でお願いをしているところでございます。
 その中で、産業再生協議会というものを設置するという形で法律に位置づけましたのは、やはり中小企業の再生支援のための組織として法律上きっちりと位置づけて、そして協議会の委員を、中小企業の再生支援業務に係る実務経験または学識経験を有する者のうちから任命する、そういう形できちっと法律上位置づけることが必要だ、こういう一つの観点がございました。もう一つは、協議会の関係者については、いろいろ再生の御相談を受けるときにやはり秘密保持、そういう側面もございます。そして、再生に取り組んでいる中小企業が、風評などによって変な影響が出ないことが望ましいわけでございまして、そういう意味でも、法律上きちっと位置づける。
 ちょっとしゃくし定規だ、こういう御指摘があろうと思いますけれども、そういったような観点から、私どもは今回、改正法をお願いし、そして再生協議会は法律上きちっと位置づける、こういうことにさせていただいております。

○田中(慶)委員 私は、ある面では時代の逆を行っていると思うんですよ。ということは、これとは全然違いますけれども、例えば地方分権の問題を一つ考えてください。今、全部中央でしょう。そして二重行政みたいなことをやっているわけですよ、はっきり申し上げて。財政の問題もそうですね。権限、財源も地方に移譲しなければいけないということは、私は、もっとスリムでスピードのある行政の運営だと思う。ところが、今はそうじゃない。ここが問題なんですね。
 今度の中小企業の問題等についても、私は、法律なんてない方がいいと思う。もっとフレキシブルにして、それぞれ動きやすい制度をしっかり持ってやった方が運用がしやすいわけであります。法律があるために逆に運用ができなかったり、そういうことがあると思う。
 確かに今言われているように、いろいろな形の中で、助言をするあるいはまた政策を実行に移すについても、専門家の問題やらいろいろなことも検討されておりますけれども、本来は、今こういうものがなくてもやらなきゃいけないことなんですね。ところが、なかなかそのことについて、法律がなければ動かない、こういうことだと思います。
 ですけれども、今スピードが求められているときに、逆にその法律によって非常にスピードダウンする、法律があるために障害になる、こういうことが多くあるわけですから、そのことを十分配慮していかないと、仏つくって魂入れずという日本のことわざ、こんな形になってしまうおそれがあるということ、その辺はどう思いますか。

○平沼国務大臣 確かに、法律でがちがち縛って、そして一々条文どおりに運営をしていくと、今田中先生御指摘のようなそういう弊害があると思います。
 そういったことは十分我々は配慮しながら、やはり中小企業というのは非常に数が多うございまして、そしてそれぞれ地域性がありますし、またいろいろな多様な面もございます。ですから、そういう中で、地域にそういう形で窓口を置いて、そして御指摘のようなフレキシビリティー、これが大事ですから、そこは私どももよく指導しながら、硬直化しないように、しかしある意味では、日本は法治国家ですから、やはり法律の裏づけがあるということも利用される方々の安心にもつながるという面がありますから、その辺をうまく私どもは運営していかなければいけない。
 御指摘の点はしっかりと踏まえさせていただきたい、このように思います。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

○田中(慶)委員 ぜひ、そのことを十分検討しながらやっていただきたいと思いますよ。
 例えば、今回もいろいろな形で資金の問題等について、セーフティーネットの問題やいろいろなことを配慮しておりますけれども、借りかえの問題も含めていろいろな努力をされて、非常に評価をされておりますけれども、しかし、それも一定のところなんですね。
 設備費のところがどうなっているのかというと、はっきり申し上げて、がたがたの機械を法定償却のできない法、これは、極端なことを言えば法律が災いしているんですよ。減価償却じゃないですけれども、法定償却ができないために新しいものを買えない、こういうことであり、あるいはまた、今回、設備資金等に投入するためには、ではどこの部分を使ったらいいかというと、現実にそういうことが今問題になっている。確かに、今までの問題として、一番買いかえということが非常に問題になっている。
 重ねて、前々から言っているように、いろいろな形で中小企業の苦しみ、それはどこだというと、第三者保証ということが、あなたにも何回も言っていると思います。こういうものは世界のどこへ行ってもないわけでありますから、ほかの法律をつくるよりは、むしろそういうものを撤廃した方がよほどいいということで、財務省は、何かこの前、間違った答弁かどうか知りませんけれども、第三者保証を解くみたいでありますから、それは、本当に解くのなら解くとして、はっきりとそういうことをしてやることが、私は、ほかのこんな法律をつくるより、もっと具体的に中小企業の活性化のためになるだろうと。
 ですから、本当に役所の皆さん方がいろいろな形で現場をしっかりと認識して、今、どういう立場でどんなことを、どういう形ですればそういうところに価値があるのか、活力が出るのか、そうしていただきたい。再度そのことを答弁をお願い申し上げたいと思います。

○平沼国務大臣 確かに、田中先生から、第三者保証に関しては何回にもわたって御指摘をいただいております。
 今回の改正法の中では、やはり一つは、新規の、最新鋭のそういう設備投資をする場合には、税法上恩典を与えて、そういう意味ではパワーアップをしていただく、こういうことも入れさせていただきました。ですから、そういう形でいろいろ新鋭機械を入れる、そして力をつけていただく、こういう措置も今回盛り込ませていただいたこともちょっと付言をさせていただいて、第三者保証について、実は、調査をするというお約束もしておりまして、非常に膨大でございまして、一部結果が出てきておりますけれども、まだ全国まとまっておりません。そういう意味では、後刻御報告をさせていただきたいと思います。
 政府系金融機関である例えば商工中金、中小企業金融公庫では、貸出先企業の代表者でございますとか、実質的な経営に関与する役員に限って保証を求めておりまして、原則、第三者保証は求めないということはもう先生御承知のとおりでございます。
 それから、国金におきましても、一月末に、担保や第三者保証人がなくても一千万円までは、ただ、これはまたおしかりがあると思うんですけれども、〇・七%金利を上乗せしていただければ徴求しない、こういう制度をつくっておりますし、また信用保証制度の中にも、八千万円を限度額とする無担保保証制度の中では、運用上、五千万円までは第三者保証は要りません、こういう形で大分整備をしてきました。
 そういう意味で、我々としては、今こういう中小企業の皆様方が大変厳しい中で頑張っておられますので、この第三者保証制度というものに対しても、私どもとしてはさらに検討を進めていかなければならない、このように思っております。

○田中(慶)委員 ぜひ、そのことを含めて積極的に、また今の制度そのものが、はっきりと広報活動をしながら、それぞれ中小企業の皆さん方がせっかくのその制度を生かせるようにしていただきたいと申し上げておきたいと思います。
 さて、いよいよ機構法に入らせていただきます。
 今度の機構法の中で、私は、一番問題なのは、雇用の安定の配慮ということが大切だと思っています。もう既に御承知のとおり、失業者が三百五十万人、こういう形、求人倍率〇・六倍でありますから、こういうことを含めながら、今回の問題について、少なくてもこの再生法が施行されて以来、企業の再構築のために大変な人員整理、解雇ということにはなりませんけれども、希望退職という一部例がありますけれども、この数値の中でも、大手企業がこの再生法を受けながら、この報告書のデータの中では三万人のある面での離職者が出ている、リストラですよね。しかし、これは数字上三万人ですけれども、これを調べていったら五万人ぐらいいるんですね、はっきり申し上げて。こういうことが現実なんですから、こういう一連のことを含めながら、私は、今度の機構の中でも雇用の安定ということを大前提としていかなければいけないんだと思います。
 昔から、企業は人なりということを言われているわけであります。日本は、その文化を大切にして、その技術を大切にしてきたわけでありますけれども、昨今、その人というものが、価値観がだんだん薄れてきている。こういうときに、今回の機構法の中では、少なくても雇用の安定ということをどのように法律の中で位置づけ、しっかりとされているのか、まずお伺いしたいと思います。

○谷垣国務大臣 この機構の直接的な目的ということになりますと、それは、短期集中的に事業再生をして、そういうことを通じて経済の活性化を図っていくということだろうと思いますから、委員のおっしゃる雇用の確保というのは、第一次的には、政府全体の雇用対策として取り組まなければならないものだというふうに思います。
 しかしながら、この機構自体も、第一義的な目的はさっきのようなことであるとしても、例えば、事業再生に早期に着手して、早期に立て直すということによって雇用の安定を図るとか、あるいはきちっと立て直していくことによって経済を活性化させるとか、そのほか、いろいろな意味で雇用というものを配慮していくのは私は当然のことだろうと思いますから、この機構の運営上も雇用ということを十分意識しながら進めていく、委員の御指摘、私はそのとおりだと思います。

○田中(慶)委員 そういうことであるならば、私は今回の法案の中でいろいろと検討を読ませていただいておりますけれども、昨今の企業のあり方として、労働組合の経営の参加、あるいは労働組合が社会的責任という名のもとに、ですから、ことしあたりはベースアップも何も要求もしないわけですよ、はっきり申し上げて。そういう一つの、損益分岐とかいろいろなことを含めた問題は、経営者よりもむしろ組合の方が長期的な形の中で検討されている。
 しかし、今回の法案の中には、例えば産業再生委員会のメンバーの中に、私は先ほど言っているように、雇用という前提も含めながら、あるいはいろいろなことを考えたときに、事業経営に今度当たるときには、全体を代表する人たちのメンバーをその中に入れたっていい。
 今、大手企業の安定されている経営の中にはほとんど、重要なポイントのところには、組合出身者がそこには入っている。しかし、役所の皆さん方とか、大臣のように弁護士さんをやっていると、なかなかそういうことには気がつかないんだと思います。ですけれども、民間企業では、むしろそういう人たちの方がいろいろな形で全体を把握しておりますから、そういうメンバーには必ず配慮をされております。
 ところが、今回の再生委員会のメンバーの中にはそのような、どういう位置づけをされてその代表する人を検討されているのか、お伺いしたいと思います。

○谷垣国務大臣 産業再生委員会は、会社の業務執行の意思決定をする取締役会の中のインナーボードというような位置づけだろうと思うんですね。したがって、ここのメンバーも、いわゆる経営陣である取締役三名から七名ということで構成するように法で規定しております。
 そこで、この委員会は、企業再生、産業再生双方の観点から、再生計画や買い取り価格の適正性を総合的に、あるいは中立的と言っていいのかもしれませんが、そういう立場で判断していく。その中で、では、この人は組合を代表する、この人は経営側を代表するというような位置づけになりますと、なかなかここはちょっと難しいのかなと。したがって、法律的な意味で、そういう利害代表というか、立場を前提として位置づけるというのは、私は法律的には難しいのじゃないかと思います。
 しかし、他方、各企業が事業再生を行うに当たっては、その企業がやはり労働者の理解と協力を得なければ事業再生計画がきちっとしたものにならないというのは当然であろうと思いますし、実施していくにも、そういう理解がなければ実際は進まないんだろうと思います。したがいまして、機構としても、再生計画について事業者が労働者とどう協議をしているのか、そういう状況については十分注意を払って、意を用いていく必要があるというふうに思います。

○田中(慶)委員 例えば、民事再生法一つとっても、そこの場合においても、そこの従業員を代表する人たちの、あるいは労働組合の人たちの意向というものを非常に重要視されている。私は、そういう点では、今度の機構というものが本当にいざ実行段階に行ったときに、やはりそういうことを含めて、トータルとしてその企業等について十分に熟知しているのは、むしろ経営者よりもそこに働いている人たちの代表の方が私は熟知していると思うんです。経営者というのは時々かわるわけですし、あるいはある面ではよそから来るときもあるわけであります。
 私は、かつてこんなことを言ったわけであります。企業の経営はおれたちが守り、経営者とは心中することは絶対にない、企業はおれたちが絶対守る、経営者とは心中しない、こんなことをかつて若さの至りで言ったことがありますけれども、私は、そういうことが今度の再生のときにもいろいろなことを含めて必要だろうと思って今申し上げているわけでありまして、一番そのことが、ある面では、そういう意向を全部網羅する、別に労働組合の代表ということではなくても、そういう形でちゃんと配慮しておくことが、この機構のより有機的なつながりといいますか、あれができていくんだろうと思いますけれども、そのことを十分配慮していただきたい、このように思います。

○谷垣国務大臣 この機構が円滑に目的を達成していくためには、委員の問題意識、十分受けとめて、工夫をしていく必要があろうかと思います。

○田中(慶)委員 それから、これは本来ならば、この機構そのものが中小企業に対してどのような影響が出てくるのか。むしろ中小企業には余り関係ないのかなという、こんな議論もあるわけですね。むしろ、特定の大きい企業だけがこの機構のある面での影響といいますか、それこそ再生をするための手段になってくるんだろう、中小企業はそれに当たらないのじゃないかということをよく言われておりますけれども、その辺はどうでしょうか。

○谷垣国務大臣 機構にとりまして、唯一の関心事と言っていいかどうかわかりませんが、関心事は、企業の規模が大きいか小さいかということではなくて、その企業が有用な経営資源を持っていて再生が可能であるかどうかというのが機構にとって最大の関心事でございまして、それさえ我々の目から見て大丈夫だということになれば、企業の規模は問うものではなくて、再生のために真剣に取り組まなければならないことは当然だろうというふうに考えております。

○田中(慶)委員 日本の企業の中で、約六百万と言われる企業のほとんどが中小企業でありますから、特に今まで、技術を中心としてきた日本、物づくりを中心として技術を中心としてきたわけでありますから、そういう点では、大企業よりもむしろ中小企業に集積された技能、技術というのがあるわけです。ところが最近では、みんな中国へ行ってしまったり、いろいろなことを含めて中小企業の国家戦略がないために、中小企業がおかしくなってきている。
 ところがアメリカでは、日本の中小企業の技術や技能というものがどこにどういう形で分散されているか、全部リサーチしているんです、はっきり申し上げて。ですから、その技術を必要なときには少なくても蒲田のどこに行けばこういうものがある、こういう形のものがあるわけですけれども、日本はむしろ、今それがだんだん薄れてきている。
 そういう点では、今回の再生法なりこの機構の中で中小企業に配慮しながら、十分それが生かされていくと、これからの日本の経済やあるいは産業の活性化につながるだろう、私はそんなふうに思って、そのことを大切にして、ですから中小企業に対する配慮を十分してほしいという意味で申し上げておりますので、しっかりとその辺をやっていただきたいと思います。

○平沼国務大臣 私も立場上、幅広く産業を所管している立場から、主務大臣に相なっております。そういう意味で、この機構の範囲の中に中小企業が入ることは私は当然だと思っておりまして、そしてそういう中小企業が対象の中に入ってきたときには、合理的に判断をして、そしてそこに対して例えば国の資金を投入して救っていくということも私は必要なことだと思っておりまして、主務大臣としては基本的にそういう考え方を持っております。
 また、中小企業が大変幅広いそういう先端的な技術を担っているということもそのとおりだと思っておりまして、アメリカなんかがそういう意味では非常にそういうことをよく調べているということも承知しています。
 少し余談になりますけれども、例えばアメリカは、自国だけじゃなくて、世界にどういう技術があるかというところまで調査をして、そして日本に大変な先端技術があるということを利用しているという例も私は知っておりまして、私どもとしては、国としてもそういう視野を御指摘のとおり持っていかなければならない、このように思っております。

○田中(慶)委員 ぜひそういうところに今度の機構法が活用できるようにしていただきたい、このように思います。
 大体いつも、中小企業の皆さんがこういう法律ができても意外と日の目を見ない、これが実態でありますから、しかし、一番貢献度の高いのは、大企業よりも中小企業がみんなアセンブリーをしながら、最終的に形になるのは大企業として物ができていきますけれども、そういうところに技術があるわけですから、やはりそれをこれから日本の産業の再生という意味を含めてやる、ぜひそういうところにこの機構というものが生かせるようにしていっていただきたい。
 そこで、次にお願いしたいことは、これは一般的、国民的な素朴な考え方としてお聞きしたいのは、例えば、業務の公正さを確保するという観点から、これは今までも議論されてまいりました。重ねての質問になろうかと思いますけれども、大体、大手のところは、民事再生法であるとかいろいろな形で公的資金も導入されますよね、はっきり言って。ところが中小企業になると、なかなか今までそういう恩恵にもこうむっていない。しかし、今度の機構法ができてまいりますと、例えば、過去に公的資金が導入されたり、あるいはまた過去に民事再生法とかそういうことで、現在何とか立ち上がるようにしておりますけれども、再度、全体的な、この前の再生百九十のところを見ても、過去にそういうところがあったようなところもここの中にあるような気がするわけですね。
 そうすると、一般的に、中小企業の人たちが考えたときに、やはり自分たちはある面ではもう根こそぎすべてなくなってしまう、しかし、ここは責任の度合いがはっきりしていない、ある面では、企業責任、社会的責任ということをしっかりさせないで、また今度の機構法の中で、そのことで救うことに、手助けすることになるんじゃないか、こんなことが懸念をされておりますけれども、どうですか。

○谷垣国務大臣 この機構は大企業のためのものであるという、私から言わせれば誤解が広くあると思います。それで、その誤解を払拭するためには、先ほどの委員のお話でもありますが、早い段階で中小企業を適切に早期再生させたなというような事案が出せたらなと思っておりまして、これはもちろんお申し込みにもよるわけですが、そういうことを少し督励したいなという気持ちがございます。
 それはそれとしまして、今までにいろいろ支援を受けたり債務放棄なんかを受けていながら、またぞろずうずうしくというお気持ちもあろうかと思うんですね。それで、過剰債務に陥って、過去に債務免除や債務の株式化というようなことを、そういった金融支援を受けた企業であったとしても、我々の観点からいいますと、コアの事業はやはりしっかりした経営資源を持っている、そして十分な競争力がある場合であれば、このコア事業を早期に再生することで雇用や取引先への影響を含めて我が国経済の活性化を図っていくことは、私はこの機構としてあらかじめ拒否するということであってはならないんだろうと思います。
 しかし、この支援基準について、再生委員会が厳格に判断することになるわけですけれども、やはり、過去にいろいろ債権放棄を受けながら、また何とかしてくれというようなところについては、それはまた、では、今度どういう再生計画にするのかということについては、おのずからやはり何か厳格な視点といいますか、きちっと見ていくということがなければずるずるの関係が続いてしまう。そんなことではこの機構が信用を得られないのではないか、こう思っております。

○田中(慶)委員 谷垣大臣はそういう考え方でおられていても、一般的な見方として、はっきり申し上げて、今あなたが言っているようなこととは違った意味で心配されていることは事実であります。
 特に、今までもそうです。例えば銀行一つとっても、銀行がどういう形で、今度の機構と金融機関との関係、最終的には金融機関がこれは口出しをするわけですから、そういう点で、従来も同じようなあり方として、金融機関が少なくても国からの公的資金を導入しながら、本来であるならば中小企業にその分の回らなければいけない資金が現実に回っていないで、そして国債を買ったり、あるいは外債を買ったりしながら、貸し渋り、貸しはがし。しかし、国は、現実問題として中小企業やそういうところに資金繰りのために公的資金やあるいは融資の条件の緩和やいろいろなことをしているわけですけれども、現実には、金融機関はそうでない。こういうことが行われているわけでありますから、そのことを含めて、大臣が考えていることと現場というものが、そういう違う方向が間違いなくあるんだろう。そのときの縛りは何かあるんですか。

○谷垣国務大臣 まず第一に、その縛りとしては、産業再生委員会にやはり見識のある方に入っていただいて再生計画の適確性を判断していただくということだと思いますし、それからさらには、具体的にその計画を立てていく場合については、いわゆるデューデリジェンスみたいなことにアウトソーシングしていくような場合もあると思いますが、民間の知恵を生かしていくということであろうかと思いますし、さらには、支援を決定する場合に、主務大臣等のあるいは事業所管大臣の意見も徴して、過剰供給みたいなものを温存してお互いゾンビを生かして足を引っ張り合っていくというようなことがやはりないようにしていく、そういうことが歯どめではないかと思います。

○田中(慶)委員 そういう歯どめで本当にできるんだろうか、私は若干懸念をしていますね。
 ですから、例えば、今までも我々の仲間が主張していると思いますけれども、過去十年なら十年以内に金融機関からの債務免除を受けたようなところ、あるいは債務の株式化を行ったことのある事業は再生支援を申し込むことができないとか。しかし、今まではそうじゃなく、そういうところも救うんだ、こういう前提で話されておりますけれども、やはり何らかのことをしておかないといけないんじゃないかな、こんな心配をしているんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

○谷垣国務大臣 やや繰り返しになりますが、やはりそこでも、それだったら、そういうところは有用な経営資源や有用な人材や有用な技術開発力を持っていても全部それはだめですよというのは、ややつらいなという気がするんです。せっかくの有用なそういう、まとまりがあってこそ雇用も維持でき、技術も維持できるわけですから、それは生かしたいという気持ちが我々の気持ちの中にございます。
 ただ、これは先ほども申しましたけれども、では、前の計画は何だったのかと。やはり、前の計画では、あなたたちは新しい付加価値を生むような戦略性というのか、そういうものが見つけられなかったんだね、一体今度の計画では新たな戦略性をあなたはどうやって出していくんですか、新たな付加価値をどうやってつけていくんですか、ここの議論をしっかりやるというしか今委員にちょっとお答えするすべがないんですが、そこをしっかりやるということになるのではないかと思います。

○田中(慶)委員 私は、そのことがよりベターではないと思うんですよ。
 極端なことを言えば、さっきから申し上げているように、社会的責任と企業責任をどうとる、それが担保されていないでしょう。やはり、今からは、ある面では規制というものが、撤廃をしながらも、そこには個人責任なり社会的責任、企業責任というものを付加して、そしてやっていかないといけないんだろうと思っているから申し上げているんですよ、はっきり申し上げて。
 例えば、かつて大手ゼネコンさんが倒産したときに、小泉総理、何と言ったんですか。改革が進んだから、こんなことを言いましたよね、はっきり申し上げて。それはそうかもわかりませんけれども、しかし、今大臣の言っていることと総理の言っていることとは若干違いますよね。

○谷垣国務大臣 総理からこの仕事を命を受けております私としては、違うという答えはあらかじめないのでございますが、今おっしゃったことは、やはり一つは甘いものであってはならないということだろうと思います。
 それで、やはりこれは結局、一つは、先ほど申しましたように、せっかく有用な経営資源、あるいは雇用、あるいは技術力、これを雲散霧消してしまうのは日本経済にとって余りにもむだだという気持ちが私たちに確かにございます。
 しかし、では、そういう有用なものがあるからといって、何の痛みもなくということにはやはりならないのであって、病院に例えれば、あなたのところにはがんがあるじゃないか、有能な体を持っておられるけれども、がんもあるじゃないか、そのときにはやはりそれなりの苦しみも味わっていただく必要があるわけであります。
 責任をとらないというふうにおっしゃいましたけれども、現実には、これもたびたび御答弁をしておりますが、思い切った再生計画を立てるということは、同時に、従来の経営者に退陣をしていただくような場合が、これは通常はそういうことになると思いますし、それから、それに責任を持ってきた金融機関というのも、債権放棄や何かをしていただく必要がある。それから、株主についても、大概の場合はやはりこれは減資をして責任を持っていただくというようなことがあるのが普通だろうと思います。
 ただ、先ほども規模は問わないというふうに申しましたけれども、大中小いろいろな事情がございますから、どうやって付加価値を立てる戦略性を見つけ出していくかというと、ややそれは個別になるかとも思いますが、しかし、モラルハザードを起こさないように注意していくというのは、当然のことだろうと思います。

○田中(慶)委員 大臣がそのような形で述べられているのは、理解はするんですけれども、先ほど中小企業の問題で、法律はやはりある程度なきゃいけないということでしょう。そうすると、まして、責任なんというものについては、みんなとりたがらないわけですから、はっきり申し上げて。そうでしょう。だから、何かで担保しておかないと、私は、責任論というのは、ただ言葉だけに終わってしまう、こういうことじゃないでしょうか。本当にしっかりと責任をとっていく、こういうことで、モラルハザードを起こした場合はちゃんと責任をとらなきゃいけないようなことがないと、できないんだろうと思いますよ、はっきり申し上げて。

○谷垣国務大臣 田中委員の問題意識にお答えしながら、私も、ある意味でジレンマを感じますのは、やはり一方で、秋霜烈日のごとくあらねばならないという気持ちもあるわけでございます。しかし、では、全部それを法で縛って、法的整理、倒産した場合と同じようないろいろな措置を盛り込んでしまうと、なかなか個々の企業を、生き物のどこを生かしていくのかという判断が縛られてしまって難しいなという、両面の気持ちにジレンマを感じながらお答えをしているのも率直なところでございます。
 それで、究極の答えということになりますと、やはり、初期に扱う案件で、なるほど、あそこの産業再生機構に行くと、きちっとした手術はしてくれるけれども、しかし、食事療法とかいろいろなことで相当厳しい再生のための苦労もさせられるぞ、そうしてちゃんと病気を治していたという事例を出さないと、なるほどそうだということには実際はならないんだろうと思います。
 私どもとしては、第一号案件だけではありませんけれども、初期にそういう、なるほど、あそこはああいう手術をしてきちっと再生されるんだという案といいますか実例を出すことに全力を傾けたい、こう思っております。

○田中(慶)委員 ぜひ、そのような甘えがならないように、しっかりと対応していただきたい、このように思っております。
 特に、先般、高木参考人が述べられた中で、際立って関心を持っていたのが、中小企業は対象外じゃないかという考え方が述べられていましたよね。ですから、これから委員長になる人がそんなことを述べられたような気がしてならないわけで、やはり、そういうこともしっかりと対応していかないと、これから現実にその業務に当たる人が中小企業に対する感覚がずれていたのでは何もならぬと思いますから、前後して申しわけないけれども、そのことについて、担当大臣としてしっかりと、この前のお話のような形で、中小企業についてより差別のないようなことをしていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。

○谷垣国務大臣 もちろん、中小企業だからといって基準を緩めるというようなことになりますと、中小企業塩漬け機関とかいうようなことになって、これはまた本末転倒なことになってしまいますので、きちっとした基準を持ちながら、しかし、その視野は決して大企業を温存させるためじゃないんだと。
 先ほどおっしゃいましたように、ちょっと話が脱線して申しわけありませんが、私も科学技術庁長官をやらせていただきましたときに、やはり日本の科学技術の水準を支えているのは、蒲田や東大阪の中小企業、どんなに小さなところでも、きらっとしたものを磨きつつやっているねというのを私自身も痛感いたしました。
 そういうようなところを安易にばさばさやっていくようなことでは日本はもちませんから、私は、こういう機構をつくる以上は、そういうところのきらっとしたものをきちっとすくい上げていく、この視点だけはきちっと持ってやらなければいかぬと思っております。

○田中(慶)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。
 あなたは科学技術庁長官をやったから申し上げるわけですけれども、「もんじゅ」のことを思い出してくださいね。あのとき処理が間違っていたでしょう。「もんじゅ」を事故としての扱い方をしたものですから、いまだにそれが尾を引いている。あれは事故じゃないですよ、事件ですよ。少なくても、バケツで処理をするようなことをやったわけですから、あれが事件として処理されていたならば、「もんじゅ」の問題の解決方法がはっきり言って別途に進んでいたと思う。それが事故としての扱い。
 ですから、最初が肝心ですから、そういう意味で、過去の例を申し上げて申しわけないですけれども、やはり、そういう処理の仕方がこの機構法が十分生かされるかどうかということにつながっていくわけですから、そんなことのないように、重ねてこれはお願いをしておきたいと思います。
 特に、今回の機構法は、ある面では銀行救済法じゃないかとか、ある面ではリストラ法じゃないか、こんなことを言われているんですよ。そういう点で、銀行救済法にならないように、まして、銀行には都市銀行も地銀も信金もあります。それぞれの態様が違うわけでありますから、そのことを十分念頭に置きながらこの問題を処理していきませんといけない、私はそう思っておりますけれども、大臣の考え方を聞かせていただきたい。

○谷垣国務大臣 今の点は、まさにおっしゃるとおりだと思います。
 この機構は、確かに、本来民間でやれればそれが一番いいものに乗り出していくわけですから、ある意味でいろいろな御批判もあるシステムだろうというふうに思います。運用を誤れば、大銀行救済機関であったり、債権を塩漬けにして国民負担をうんとふやすようなことにもなりかねない面が確かにあると思います。他方、余り、石橋をたたいて渡らないというぐらい慎重になりますと、これは何のためにこんなものをつくったのかわからないというそしりも受けるかもしれません。
 要するに、運用のよろしきを得ることがいかに難しいかということであろうかと思いますし、同時に、その運用のよろしきを得るためには、これは一種のリスクをとるという覚悟がなければ運用のよろしきも達成できない、まことに、ある意味では難しい仕組みであるということも私は十分承知もしております。また、こういう委員会だからといって恐れずにそういうことも申し上げなきゃならぬのかなとも思っているわけでありますが、よき人を得て真っすぐな道を歩めるように、私も担当閣僚として十分注意もし、督励もし、努力もしたい、こう思っております。

○田中(慶)委員 時間も余りないわけでありますけれども、ぜひ今のことを念頭に置きながらしていただきたいと思います。
 そこで、例えば、今回の機構法等について、具体的にこれから実行するわけでありますけれども、その段階で委員会に、こういう形で、成功例はこうでしたとか、あるいは、失敗例を今から言うことはないでしょうけれども、そういうことを含めて、何か報告の機会を考えていますか。

○谷垣国務大臣 これは、支援を決定したような場合には速やかにその概要を発表するということに法律もしてございますので、それは当然やらなければならないことだろうと思います。それからもう一つは、やはり先ほど来の御懸念もいろいろある、それもよくわかるところでございますので、この御懸念を払拭するためには透明度ということが必要だろうと私は思います。
 ただ、他方、一度入院してきた患者さんは、同時に今度は元気になって経済社会の中で働いていただかなきゃならないとなりますと、そこでの営業の秘密、ノウハウというものも当然あるわけでございますから、そこらあたりをどうバランスをとるかというのは、これからきちっと詰めなきゃいけないな、こういうふうに思っております。

○田中(慶)委員 企業秘密もあるでしょうし、そこにはいろいろなことがあろうと思います。しかし、やはりこの機構が生かされ、そしてこれからも、限られた期間ではありますけれども、この国の産業を再生するためには、一つの生きた例としてそれが大きく評価を得る、そして皆さん方に、この機構法の不安を払拭して、これが申請をされるような形をとっていかないと、ある面では、この法律ができてもせいぜい十本の指にしか入らないじゃないかなんというようなことまで言われているわけですから、そのためにこんな時間あるいはこんな苦労もしているわけですから、そんなふうにならないようにする意味でも、私は、企業秘密は別にしても、成功を祈りながら、また成功した例というものはやはりある程度オープンにする必要があるだろう、このようにして、より元気の出るような形にしていただきたい、このことをお願い申し上げながら、最後に決意を聞かせていただいて、質問を終わります。

衆議院ホームページより転載