闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

委員会議事録

●衆院法務委員会質疑 平成17年5月13日

○塩崎委員長 次に、田中慶秋君。

○田中(慶)委員 民主党の田中でございます。
 今回、この会社法の問題で若干危惧している問題等について、大臣にまずお伺いしたいと思います。
 大臣、例えば現行の有限会社があるわけでありますが、これは昭和十三年に有限会社法が制定されて以来、今日まで続いている、これが実態であります。ところが、今回、この会社法が、一部では新しく統合される、しかし、現実にこの有限会社は存続を認める、こういうことになろうかと思いますけれども、一方においては新規は認めない、そして一方においては継続は認めるということになると、若干矛盾していないのかな、こんな気がしてならないわけであります。
 なぜそう言うかというと、やはり、この有限会社が今日まで中小企業等いろいろな形で育ってきた背景があるわけでありますし、そのことが存続することはそれなりに意義があると私は思いますけれども、今回認めないということになってくると、それぞれ、この有限会社そのものにある面ではハンディが生じるのではないか、不公平感があるのではないか、こういう形を危惧するわけでありますが、その辺どうでしょう。

○南野国務大臣 お答え申し上げます。
 会社法案は、株式会社と有限会社を統合いたしまして株式会社に一本化いたすということでございますが、これは、従来の株式会社と有限会社の区別が理念どおりに利用されておらず、形骸化していると見られる上、最近では、株主総会と取締役のみから成る最も基本的な形の会社を出発点として、その成長に応じて、取締役会、会計参与、監査役、会計監査人など、必要とされる機関を選択しながらステップアップしたいと思っておられる中小企業のニーズが出てきているなどの社会経済情勢の変化に対応するための措置であります。
 そして、新規の有限会社の設立を認めないということは、非公開の株式会社におきまして、取締役の人数制限や監査役の設置義務の廃止などを行うこととしました結果、これまで有限会社制度でしか実現できなかったことが株式会社として実現することができるようになりますために、有限会社を株式会社と独立の制度として存続させる意義がなくなったからということでございます。
 もっとも、既存の有限会社につきましては、有限会社法の廃止に伴う経過措置によりまして、現行の有限会社に関する規定とほぼ同等の規律に従えばよいこととして、負担がかからないように配慮いたしているわけでございます。

○田中(慶)委員 今大臣が言われていること、これは大変重要なことなんですよ。ということは、私はこのことで反対しているわけでも何でもない。要するに、今度の会社法で日の当たる部分をあなたが述べられているわけであります。
 一方、日の当たらない部分というか、心配される、危惧する部分というのが出てくるわけであります。そのことが、例えばこの現行の問題等についても、存続が認められて、例えば資金繰りその他のことで、現実には有限会社の資金繰りのアッパーが決まっているわけでありますから、そうすると、一方においては会社法に基づいて合併されたもの、あるいは名前、ネーミングが変わった部分と、一方においては有限会社が存続した部分について、この制度資金でも、ある面では、いろいろな資金繰りをお願いするときに、有限会社であるがゆえに不利な条件になってくる、私はそういうことを危惧するわけであります。
 それが今言われる裏の部分というか、影の部分になるわけでありますから、その辺をどう担保するのか、明確にしてください。

○南野国務大臣 その件につきましては、ある会社が経済社会で受け入れられるかどうかは、会社の組織形態を含めたさまざまな要素が考慮された上で決定されるというふうに思いますけれども、最も重要でありますのは、現在におけるその会社の状況であります。また、その会社がどのような事業をしているかということであると思っております。
 したがいまして、現行の有限会社が会社法施行後に有限会社として存続いたしたとしても、必ずしもこのことのみで差別的に見られるようなことはないものと考えております。

○田中(慶)委員 そうなれば一番いいわけですけれども、そうではない、現行でも有限会社と株式会社の制約があるわけでありますから、そのことを含めて、今度の会社法によってそれがさらに拡大なり不利にならないように担保しておかなければいけないんだろう、私はこのように思って申し上げているわけであります。
 特に、有限会社はほとんど中小企業でありますから、中小企業の皆さん方が、親がつくった有限会社、そのことを継承する、こういう形でずっと来ていて、今回の会社法に基づいて株式会社に移行したくても、いろいろな経過からして移行しない、結果として、それが今のような条件的な問題で不利なことが生じる。間違いなく、これは今の制度上、そういう条件が、ハンディがあるわけでありますから、そのことをしっかりと今回の制度の中ではある面では完全に担保しておく必要があるだろう、私はそう思っておりますので、ぜひそのことについては何らかの形で担保しておくように、せっかくつくる会社法によってそのようなハンディが生じてはいけないわけでありますから、ぜひそうしてほしい。これは要望しておきますが、お答えがもしあるんでしたら答えてください。――なければいいですよ。ぜひこれは何らかの形で担保しておくように重ねてお願いしておきたいと思います。
 特に、今回の資本金の問題、一円からという形で資本金が相当PRされております。しかし、資本金というものは、平成二年、政府が、当時の株式会社、有限会社の資本金、例えば株式会社は三十五万円から一千万円までアップされました。有限会社は十万円から三百万円までアップされたわけであります。それは、そのときの政府の答弁、社会的な信頼なり信用を得るためにということが大前提だったわけであります。
 ところが、一円という形になってくると、その辺、矛盾が生じませんか。大臣、答弁ください。

○南野国務大臣 最低の設立する資本金が一円ということでございまして、実際、その会社がどのように運営、経営していく、その経営状況によっては、それは一円では到底どうしようもないことであろうと思いますので、その中身について評価されるものと承知しております。

○田中(慶)委員 ちょっと私が言っていることを、十分理解が足りないと思います。ということは、政府が当時、株式会社についてなぜ資本金を一千万までしたんですか、有限会社を三百万までしたんですか。それは、グローバル社会がこれから来るよ、国際的な問題が来るから、それに十分信頼なり対応できるために、こういう政府の答弁だったんですよ。今、あなたの答弁とは若干違うのですよ、それは。

○南野国務大臣 先生が今平成二年というふうにお話しになられました。平成二年の最低資本金の引き上げについての改革、これは主としまして、大小会社区分立法の一つの項目として行われたというふうに存じ上げております。
 すなわち、株式会社のような機関設計がされる会社は一定の資産規模を有することがそのあるべき姿であると考えられた、その考え方に立っているものであり、株式会社の設立を有限会社の設立よりも難しくして、それにふさわしい資産規模を求めるという立法政策によるものであったのかなと思っております。
 しかしながら、平成二年以降の経済情勢の変化または外国の立法動向、また近年における起業の促進の必要性の増大、そういうものにかんがみまして、今般、大小区分立法の考え方は採用しないこととしまして、会社設立を促進する政策をとることといたしております。そこで、最低資本金制度は撤廃することとしたものでございますので、それで御報告できたと思っております。

○田中(慶)委員 御報告できたのではなくして、平成二年のときの政府の考え方が今回もう既に変わっているわけです。
 このこと自体、ある面では、インターナショナル的な考え方でするならば、要するに一円の資本金というものがとられている国というのは少ないわけです。むしろ、しっかりとした、六百万とか一千万とか、あるいは、こういう形でしっかりと資本金を担保している方が、EUあたりですと多いわけであります。
 こういうことを考えてくると、一円の資本金というものが、それは参加しやすいようでありますけれども、従来から社会的な信頼なり国際的な信頼を得るためにと言っていたことの言葉が、その表現が、一円ということになると、ちょっとおかしいんじゃないですか。
 それだったら、そのことを、一円に変える意味で、従来までこう言ってきた社会的な信頼なりあるいは世界的な信頼という問題等について、その言葉をちゃんと明確に言い直しなり翻して言わないと、矛盾を生じるんじゃないですか。そのことを私は申し上げているんですよ。大臣、答弁ください。

○南野国務大臣 一円のあれでも設立できるという意味といいますのは、会社設立時の最低資本金規制の撤廃をするということでございます。

○田中(慶)委員 そのことは存じ上げていますよ。そうではなく、従来から信頼関係とかいろいろなことを含めて言ってきたことが変わっているでしょう、そのことを申し上げているんです。
 では、例えば一円の会社に政府がどのような支援体制をとるんですか。恐らく、今の公的資金を見てくださいよ。資本金とかあるいは担保とか、こういう形で評価をされて、現実問題として、制度資金なりそういうものが出てくるんですよ。あなたが言っていることは矛盾していませんか。

○南野国務大臣 先生の御質問に的確に答えられているかどうかわかりませんが、会社法案におきましては、各会社がみずからの財産状況を明らかにする正確な計算書類を作成し、これを適切に開示することにより、その信用性を担保するものとの考え方に立っております。

○田中(慶)委員 質問しないことを答弁しなくていいですから。これから質問する問題ですから。(発言する者あり)親切といっても、それは、これから質問しようとする答弁を先にいただいたのではやりにくくて困りますから。いいですか。私の言っていることと違っているんですよ。
 私は、今の問題は、今回、会計参与制度の問題は会計参与の問題として、今大臣が言っているように、全部オープンにされる、フェアにされる、こういうことを含めていきますと、それはある面では、そのことはこれからの社会の中ですばらしいことだと私は思っておりますが、ただ、中小企業という立場で立っていくと、むしろそのことによって不利益をこうむるんじゃないですか。
 例えば、全部オープンになりますから、そういう点で、中小企業の皆さん方が制度資金を求めたときに、そのことによって、オープンにされたことによって、逆に資金に対する手当てができなくなるとか、あるいは、オープンになることによって、逆に増税ということもあるわけであります。
 そういう点では……(発言する者あり)いや、本当ですよ、これは。これははっきり申し上げて、そういうことが今まで中小企業のいい面でのうまみなり、やりくりなりということができていたわけでありますけれども、そういうこととあわせて、今のような問題の、影の部分というのが、そういう点があるわけですから。ただ何でもかんでも、いいものだ、いいものだと言っている部分と違う。
 まして、今の問題は、一番大切なことは、中小企業は、担保もない、技術がある、働くことに意欲がある、しかし、今のような形で資本金も一円とか少ない形で誕生していたものが、はっきり申し上げて、今回の制度資金の条件に合わなくなってきている、それをちゃんとこの際しっかりと担保してやる必要があるのではないか、こういうことを私は申し上げているのであって、今回の会社法をノーと言っているわけじゃない。影の部分をちゃんとしっかりしておかないと、中小企業の人たちが生きる道をふさいでしまう、こういうことを申し上げているんですから、はっきり答弁ください。

○滝副大臣 先ほど来先生が熱心に中小企業の実際の会計処理の影の部分ということを強調されているのを私どもなりに受けとめまして、これはやはり、確かに際どい表現ではございますけれども、それが恐らく実態だろうと思いますので、この点については、金融庁あるいは中小企業庁とも連携をとりながら、その辺のところは、こういう制度改正によって不利にならないようなことをどこかで表明していかなきゃいけない、こういうふうに思います。

○田中(慶)委員 会社法は、少なくてもそれぞれの企業が活力なり元気を出すためにつくる法律だと私は思っているわけであります。
 ですけれども、今のような形で、国あるいは地方自治体の制度資金がそのことによって導入しにくくなってはいけない、私はそう思っているわけで、そういうことをしっかりと担保してやらないと、中小企業の人たちは専門家、働くこと、技術があること、物をつくることを、極端なことを言えば本当に生きがいにしているわけですから、あとは細かいことは余りわからない人たちが多いわけでありますから、みんなグロスで幾ら、極端なことを言えば、どんぶり勘定みたいになっているわけです。
 そういう形で、今回のような制度が、私は、ある面では非常にいい部分があると思いますけれども、どんぶり勘定をしていたその人たちにとってみれば大変なことになってくるな、こういう形になるんだろうと思いますので、そのことをしっかりとさせていただかないといけない。
 それから、もう一つは、会計参与の問題の中で、税理士さんなり公認会計士さんがある面では大きくこれから活躍をされる部分が出てくると思いますけれども、また一方においては、やはりこの問題についてしっかりとした研修制度というものをつくり上げておかないといけないんじゃないかな。仏つくって魂入れず、こういう形になりかねない部分があるわけでありますから、その辺を今回どう担保されていくのか。
 私は、はっきりと、決算書類等々の信用が一方においては高まるかもわかりません、しかし一方においてはやはりそれぞれグレーゾーンの部分によって損害を生じる、その責任というものも当然これは負荷される問題だと思いますから、そういう点で、いろいろな形でそのことをしっかりと研修をされる必要があるだろうと思います。それはどういうふうに担保されているのか、教えてください。

○南野国務大臣 先生おっしゃいますように、これから導入しようとしております会計参与というのは、株式会社における会計専門家としての役員であろうかと思いますし、社外取締役と同等の責任を負う者でございますから、相応の資質と能力が要求されるというふうに理解いたしております。
 このような観点に立ちますと、委員御指摘のとおり、会計参与となる公認会計士または税理士の方々の質の向上の方策の一つとして研修制度等が考えられるところでございます。それにつきましては、それぞれの団体等におきまして自主的な努力がされるものと期待いたしております。
 また、今後の会計参与制度のあり方につきましては、何分初めて導入する制度でございますから、施行後の運用の実態を踏まえながら、見直しの必要が生じた場合には適切に対応していく、フレキシビリティーにかかわっていきたいというふうに思っております。

○田中(慶)委員 このことは、法律あるいは何かのところで担保されているんですか。

○滝副大臣 基本的に、法律の具体的な条文で担保しているわけではありませんけれども、この問題につきましては、例えば税理士会とか関係団体が、先生御案内のとおり、もう随分前からこの問題をめぐっていろいろ議論をしてきてございますし、またその実績もおつくりになってきているというふうに聞いているわけでございます。
 私どもとしては、したがって、自主的にこの問題に取り組む、そういうようなものにつきましてできるだけの応援をしていきたい、こういうふうに思っております。

○田中(慶)委員 ぜひそういう問題を、やはり企業活動がさらに活発化できるための条件として整備をしてほしいと思います。
 そこで、今、一つの問題として、日本版のLLCの問題等が今回の制度の利用の中で大きく浮き彫りにされてきていると思います。こういう点で、ある面では従来のように、外国ではもう既にこのことが大きく取り上げられたりしておりますけれども、LLCすなわち合同会社と、LLPすなわち有限責任組合等の問題等について、どのような形でこれを区別し、さらにまたどのような形でこの問題等について指導されていくのか、お伺いをしたいと思います。

○南野国務大臣 お尋ねの件でございますが、合同会社と有限責任事業組合、この二つの違いについてでございますが、法人格があるかないかという点のほか、次のような違いがあると認識いたしております。
 すなわち、合同会社は社員が一人であっても設立することができるのに対し、有限責任事業組合は組合員が二人以上存在しなければならない。さらにまた、合同会社においては会社の業務の執行をしない社員がいるということもあり得ますが、有限責任事業組合においては組合員全員が業務を執行します。また、合同会社は他の会社と合併することや他の会社類型に組織変更をすることができますけれども、有限責任事業組合は合併や組織変更をすることができないということでございます。

○田中(慶)委員 この両方についての問題で、例えば税制の問題、どちらがプラスかマイナスか。今大臣がおっしゃっているいい部分はわかりますけれども、もう一つの心配される部分もはっきりしておかないといけないと思います。リスクマネーといいますか、そのことはどうですか。
○滝副大臣 基本的には、合同会社の方は法人でございますし、有限事業組合の方は、これは個人というか、個人の機能もあるわけでございますけれども、そういう問題でございますから、基本の問題になりますのは、要するに配当課税の問題をどうするか、こういうことであろうかと存じます。
 これにつきましては、この法案が実行できる段階までに税制上の具体的な方針を決めていく、こういうのが政府の基本的な段取りだというふうに理解をいたしておりますので、少なくとも、この問題につきましては基本的に経済産業省を中心にして税制要望の中でこなしていく、こういうようなことを考えなければいけないと思っております。

○田中(慶)委員 私がなぜこういうことを申し上げているかというと、ここは法務委員会でありますから、経済産業委員会に非常に大きな影響が出てくるわけでありまして、こういうことを含めながら、特に、今一番日本で悪いのは、法律をつくっておきながら、後は政省令、結果的に法律の基本がおかしくなってくる、こういうことであります。
 今回も、今副大臣が言っているように、まだ法律の中では不備な点をまた実行に移るまでの間ということ。ですから、それぞれ議論をしていた、委員会でもそうでありますけれども、せっかく議論をしている、しかし答弁は、いろいろとこれからちゃんとした政省令で生かします。生かした結果とんでもない法律になっている部分が非常に多いわけでありますから、そのことを、そういうことにならないように、ぜひ注意してやってくださいね。
 特に、今度の法律の中では、一円以上の、起業家育成ということも非常にあろうと思いますけれども、そういう点では、私は、国が、一円以上で会社をつくることができますよ、大々的にPRをしているんですから、そういうことであるならば、やはり運転資金や制度資金もそれに十分対応できるような形をつくっておかないと片落ちだと思います。
 現実には、この一円からの、起業家育成といいますか、株式会社ができる。しかし、先ほど来申し上げているように、制度資金や政府資金、あるいは運転資金等について、恐らく、今のままで、国金であろうと商工中金であろうと、いろいろなところに行くと、はっきり申し上げて門前払いですから、それをどのような形で整合性をとっておやりになるつもりなのか、お伺いします。

○南野国務大臣 起業家に対しましての、安定的に運転資金を調達することができる環境が整備されることは、おっしゃるとおり重要であろうというふうに考えております。具体的な支援の方策につきましては、法務省というより政府として対応することの方がいいのではないかと考えております。

○田中(慶)委員 だから、先ほど言った、法律をつくるときにそのことも想定しながらやっていかないと、法律はつくりましたけれども、結果的にはそのことが障害になってだめだということがあるわけです。政省令で、こういう形。今、日本で一番この官僚社会の中で問題になっているのは政省令なんですよ、はっきり申し上げて。その政省令が、次から次と勝手につくられると言っては大変失礼ですけれども、局あって省なし、省あって国なし、これが政省令の、ある面では悪い表現かもわかりませんけれども、そういうことなんですよ。
 ですから、今大臣が言っているように、政府一体となってということでありますけれども、つくられたことにより、今、これは経済産業省にも大きな影響力があるんですから、当然そういう打ち合わせをしながらやっていかないと、後々これは大きな問題になりますよ。せっかくつくって、そしてその制度が、国がつくった制度資金等々、運転資金等々全部、行っても利用できない、門前払い、こういう形。どうするんですか。答弁ください。

○滝副大臣 確かに、実際の法律を運用するに当たって、政省令の段階になりますと、立法者の意図がどこかで食い違ってくるということは大変心配をされるわけでございます。今度のこの会社法におきましても、そういうことのないように考えなきゃいけないと思っておるのでございます。
 特に、合同会社と有限事業組合につきましては、これは経産省ともども、こういうことでやろうということで同時に企画してきたものでございますし、また経産省も、いかに新会社を創設してくるか、こういうことの中でやってきた問題でございますから、先生の御意向につきましては、当委員会の議事録でも再三出てきている問題でございますから、それをベースにして、政省令の中でそれに食い違いのないような格好でフォローしていくべきだというふうには思っております。

○田中(慶)委員 ぜひこれは何らかの形で担保するようにしておかないと、必ず出てくるんですから。大臣は余り経験がないかもわからないけれども、副大臣はそういう点でいろいろな形で実態にぶつかっていると思いますね、はっきりと。そういうことで必ずぶつかって、我々がいろいろな中小企業の相談事をしていると、そういうことにたびたびぶつかるわけであります。そうですよ。大臣、よく覚えておきなさい。
 ということは、制度資金、せっかく国がいろいろな制度をつくる。わかりにくい、使い勝手、しかし、それをクリアしても、では、現場に行くと、今のような担保の、無担保無保証制度が既に大々的に打ち上げられていながらも、現場では、担保がないとか保証人を出せとか、これが今の社会なんですから、やはりそのことをこの際はっきりさせておかないといけないことではないか。では、何のための会社法だったか、こういう形になりますから、ぜひそのことをしっかりと何らかの形で担保できるようにしておいていただきたい、このように思います。
 そこで、次は、敵対的買収というものが、ある面では、テレビその他を含めて、ライブドアあるいはニッポン放送、フジテレビ等々含めて、三カ月、四カ月非常に毎日のように報道されましたから、相当、敵対的買収といいますか、マネーゲームと言った方がいいかもわかりませんけれども、そういうことを含めて非常に関心の持たれたことだと思いますが、今回の合併、組織等の問題等について、この辺についてはどんな配慮をされ、あるいはまたその辺についてどのような検討をされたか、お聞きしたいと思います。

○南野国務大臣 先生のお問い合わせは、敵対的買収防衛策についてどのような制度を設けているかということであろうと思っております。
 会社法案では、種類株式や新株予約権の内容を現行商法よりも自由に定めることができるものといたしております。敵対的買収への防衛策としまして、まず、公開会社において譲渡制限がされた拒否権つき株式、いわゆる黄金株を友好的な企業に対して発行することを認めております。
 また、アメリカではポイズンピルと呼ばれている手段に相当するものとしまして、既存企業におきまして、一定割合以上の株式を買い占めた買収者の株式を強制的に取得して、議決権制限株式に転換できるような種類株式を発行することや、買収者が一定割合以上の株式を買い占めた場合には、買収者の新株予約権が消滅し、かつ、買収者以外の株主に対して自動的に株式が発行されるような新株予約権を発行することも認めております。
 さらに、会社法案におきましては、株主総会の決議要件を加重することができるということを明確にしておりまして、敵対的買収者が過半数または三分の二以上の株式を買い集めた場合に備えまして、合併契約の承認を初めとする株主総会の各種決議要件を定款で加重することができることといたしております。

○田中(慶)委員 この際、私は、せっかく会社法というものがつくられるわけでありますから、ある面で、非常にこれからフェアとオープンという形になってくると、外国からの外資というものが非常に投資をしやすくなってくると思いますね。しかし、無防備であってはいけないわけでありますから、今大臣が言われておりますけれども、具体的に、今の日本の状態をどのように見ておやりになっているのか、どういう検討をされたのか。
 もう既に、見てくださいよ、ゴルフ場は半分近い形で外資が入っていますよ。ホテルあるいは旅館等についても、非常に大きくこれがされております。今進んできているのは、さらにスーパーとか、あるいは物づくりの分野の小さい企業であっても、制度的に、社会的に大きく評価されているようなところまでリサーチをされて、そこまで突っ込んでいるわけですから、こういう問題を考えてくると、今の大臣が言っているような形だけではそれに対抗できないと思うんです、はっきり申し上げて。
 ですから、それをどう対抗手段として、別に私は外資をノーと言っているわけじゃないですけれども、しかし、より以上のものが今の日本の物づくりにまで今もじわりじわりと入ってきているわけですから、技術国日本が今崩壊をされつつある、こういうことをかんがみたときに、この問題を会社法という形の中で十分議論をし、それに対抗できるような措置をとったのかどうかということを重ねて質問したいと思います。

○南野国務大臣 合併対価の柔軟化というものが実現しますと、合併がやりやすくなるというので、投資家が日本の企業を買収したいという意欲を増す可能性があります。それは、今先生がお話しなされたことであろうかと思います。
 その点につきまして、我が国の経済界には、買収意欲が強まる結果、いわゆる敵対的買収も増加するのではないかとの懸念がありましたので、それぞれの会社が、株主総会において、敵対的買収に対する防衛策を導入するかどうかを決める機会を与えようということになりまして、合併対価の柔軟化に関する規定の施行を一年おくらせることとしたのがその結果でございます。
 また、一年延期しました後に合併対価の柔軟化を解禁して問題がないかとのお尋ねでございますけれども、合併対価の柔軟化は友好的な合併を行いやすくするために有用な制度であり、その制度自体が敵対的買収をやりやすくするものではないというふうにも思われております。
 また、施行時期を一年おくらせております間に、防衛策を必要とする会社はこれを施すことが可能でございますので、仮に敵対的買収が増加することとなったとしても、特に問題はない、食いとめていけるものと思っております。
    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

○田中(慶)委員 大臣が、一年延ばされて、その間にある程度の準備作業という形でできる、こういうことだと思います。
 ライブドアとニッポン放送の関係以来、三月の決算期あるいはそれ以降も日本では企業防衛というものが相当いろいろと検討されているわけでありますけれども、こういう問題を含めながら、大企業はそれでいいかもわかりません。しかし、中小企業はそこまでしっかりと啓蒙なりいろいろな準備なりされていない。
 しかし、外国の企業が買収するというときに、物すごいリサーチをされて、日本で全然わからないようなことも全部リサーチをされている。そうですよ。だから、こういう問題をちゃんと何らかの形で、ブラックボックスではありませんけれども、そのことをしっかりと担保しておかないと大変なことになってしまう、物づくりはもはやそのことによって根底から崩れる、こういうことになっていきはせぬかと思っているわけであります。
 そのことをこれから十分、今度の一年間の中でしっかりと、施行までの間にまた問題点が生じたならば、実行に移す前に法律をまた変えるなんというようなことはあってはならないかもわかりませんけれども、そのぐらいの柔軟さを持ってこの会社法というものはやっていくべきじゃないか、私はこのように思っておりますので、それらについてどう対応されるのか、お聞きしたいと思います。

○南野国務大臣 本当に先生の御懸念もこれありというふうに思いますし、我々としても、その一年間の間にどのような形で担保していく方策が見つかるか、いろいろな努力が積み上げられていくと思いますので、そこら辺を注視しながら、できる限りのことをしていきたいというふうに思っております。

○田中(慶)委員 それから、私は、今回の問題で一番心配されていくのは、日本の企業の従来までの大きな、社会的といいますか、そういうものが、ある意味では慣習というものがこれで崩れる可能性がありますね。そのときに、一年の準備期間みたいな形の中で本当にそれに対応できるのかどうか、そのときにはさらに経過措置として何らかのことを考えているのかどうか、お伺いしたいと思います。

○滝副大臣 やはり先生が御心配されますように、この新しい会社法の施行によって、各企業がそれぞれ、自分の実態と法律の仕組みというものを照らし合わせながら考えていっていただかなきゃならぬ。そういうことも含めて、この法律につきましては原則一年半後に施行されるわけでございますけれども、特定の、今の三角合併という部分については、外国株式の交換の問題についてはさらにそれから一年先に施行する、こういうような慎重な仕組みをとっているわけでございます。
 したがって、先生の御心配のように、これはやはり日本の企業が根本的に自分のところを見詰めてもらうということでもなければ意味がないわけでございますので、さような意味においては、大変な努力を経営者の皆さん方にしていただく、こういうことだろうと思っております。
    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

○田中(慶)委員 外資による三角合併その他についても、今政府の答弁があったわけでありますけれども、三角合併というものがまだ日本の社会でなじんでいないわけですから、やはりそのためには十分なPRなりというものをちゃんとしていかないと大変なことになってくる心配が出てきております。
 一方、どうでしょう。今回のような形の中で、仮にこの配当の問題を含めながら、連結決算というものがあったと思いますが、従来まで政府は、系列のある、すべて連結された中での決算をされてきたと思います。今回それが、連結決算は外れているわけでありますけれども、その辺はどういう形で外したのか、教えていただきたいと思います。

○南野国務大臣 連結配当というお言葉でございましたので、連結配当を認めるということは、例えば、親会社の単体では欠損があるのに、子会社に剰余金があることを根拠に親会社が配当してもよいということにほかならない問題でございます。この場合、親会社の債権者は、親会社の資産だけしか引き当てにすることができないにもかかわらず、連結配当ということによりまして親会社の資産が目減りしてしまうわけでございますので、親会社の債権者が害されるおそれが出てくることでございます。
 このように、連結配当は、親会社と子会社のそれぞれの債権者をどのように保護するかということなどについてでございますので、慎重な検討を要するということでございます。

○田中(慶)委員 今のような大臣の考え方も当然あると思いますが、制度が新しくできるわけでありますから、そういう点で、やはり若干そこまで踏み込む必要もあったかなと思います。
 一方、配当政策が自由度を増し、そして株主配当が重要視されるために、逆に、従業員を軽視といいますか、そういうことになりはせぬかなということもあります。どちらかというと弱者がいつもしわ寄せを食うようなことになってはいけないと思いますが、その辺をどう担保されているのか、お伺いしたいと思います。

○南野国務大臣 先生御心配の従業員へのかかわりということでございます。
 従業員への給与と株主配当をそれぞれ幾らにするかということにつきましては、会社の自治にゆだねられているところでございますが、会社法案では、配当の回数を自由にするなど、配当に関する会社の自由度を増しているものの、分配可能額を超える配当が許されないという本質的な点は現行法と同じでございますので、会社法の成立によって従業員への給与が軽視されるということは考えられていないと思います。

○田中(慶)委員 いないのではなく、配当をより重要視するという、大体、従来までは三つです。株主があり、経営者があり、そこに働く従業員がありで、大体、三等分しながら利益配分をする、これが順当なやり方だと言われてきておりますけれども、今回会社法を制定することによって、今のような問題、従業員にしわ寄せが来てはいけないと思うし、また一方においては株主に逆にしわ寄せをしてはいけない。従来型の日本の企業の中におけるある面での三等分の慣習というか、そういうものがこの会社法によって大きく変わることになりはせぬかな、こんな危惧もしたものですから質問させていただいているわけでありますが、その辺は今の大臣の答弁では若干理解に苦しむんですけれども、もう一度、再度答弁をお願いしたいと思います。

○滝副大臣 確かに、この買収問題に関連いたしまして、経営者の皆さん方が考え方を改める、どういう方向で改めるかというと、まず自分のところの株価を上げなきゃいかぬ、配当も上げなきゃいかぬ、そういうような一つの選択の仕方があったわけでございます。そういう中で、配当を上げ株価が上がってくれば買収が非常に難しくなる、こういうような計算があったものですから、そういう方向が一つの選択かなということの中では、先生御心配のように、いかに労働の対価を抑えていくかというようなことも考えられないではなかったと思います。
 しかし、しょせんは、人的資産というものは企業価値等を高めるための大きなエネルギーでございますから、そういうことを忘れて、ただ単に配当を上げる、それだけでは企業価値を高めることにならないと思いますので、そういうものをやはり経営者の皆さん方がじっくりと考えていただくということだろうと思っております。

○田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、今副大臣が言ったことが一番大切なことですから、やはりそのことを会社法の精神の中にしっかりと組み込まれるように対応していただくように要望し、私の質問を終わります。

衆議院ホームページより転載